後ろの席の同級生ハクタク先生との学習的セックス

んんん、と声を噛み殺しながら振り向いた俺を、志貴野はニヤニヤしながら見ていた。

いきなり背中をつついてきたのだ。
いや、もう彼女の趣味が俺の背中をつつくことだと言っていいかもしれない。それくらい、志貴野は俺の背中をつついてくる。しかも授業中に。

「やめ、ろっつってんだろ!」

授業中なので俺が小声で言っても彼女はくすくす笑うばかりである。
俺はやきもきした。

「声出そうなの! 背中弱いって知ってんだろ」

「うん、知ってる」

志貴野が顔色ひとつ変えずに言うのにおののいていると、「坂本」と先生が俺を呼んだ。

「なんですか?」

「なんですかじゃない。授業中にイチャつくな。授業中だぞ」

「えぇ……俺悪くない……」

やや理不尽な先生の言葉に前を向くと、後ろから動く気配がして咄嗟に振り向いた。
楽しげに口を歪める志貴野がそこにいた。

「つついてほしかった?」

俺はむすっとして前を見た。
現状こそ問題ないが、志貴野のたび重なる授業妨害で、成績がいつ落ちるかと不安なのだ。



志貴野はハクタクだ。だから、というのもあるかもしれない。
成績が非常に優秀なのだ。成績さえあればいいという進学校だからか、優秀すぎて先生も手がつけられない厄介な存在となっている。

一方俺ときたら。
背中をつつかれていなくても成績は常に中の下だ。
背中をつつかれ始めてから授業に集中するようになったので成績がちょっと上がったという度し難い存在なのだ。
自然と自主勉強もするようになった。

そしてその助けとなるのも彼女だ。
志貴野は勉強するときにとても頼り甲斐がある存在なのだ。
普段俺の背をつついて授業妨害する弱みがあるからか、快く先生役を引き受けてくれるのだが。

「体勢がおかしい……」

「いつもこうじゃん」

図書館で。

彼女は俺の隣に座っている。
ここまではいい。

椅子を少し俺の方に傾けている。
問題を一緒に見るためだ。何もおかしくはない。

手を俺の背もたれに乗せている。
なんだこれ。

「んんぃっ……」

そして俺がミスをするとつついてくる。

「いやおかしいだろ!」

志貴野がジト目を浮かべる。

「声大きいよ。ここ図書館だよ?」

「わかってるわい!」

俺はひそひそと叫んだ。我ながら器用だ。だいたいこんなことをいつもやっているから、慣れてしまったのだ。

うちの学校の図書館はややアクセスが悪いからか、人は少ない。とはいえ普通に話すのはご法度だ。それが図書館というものだ。

俺が真面目に勉強しようとしてるのにこいつときたら。
しかし最早俺の真面目な勉強には必要不可欠な存在になっているのだ。背中をたびたびつつかれたとしても効率が違いすぎる。

彼女が心を読んだかのようにドヤ顔を決めた。
うざ……。
彼女が心を読んだかのように背中をぐりぐりしてきて痛い痛い「痛い!」俺は堪り兼ねて志貴野の手を掴んだ。

「え、ちょ。なに……? なんで?」

「別に心は読んでないからね」

「がっつり読んでんじゃねーか」

彼女はやれやれと言わんばかりにため息をついた。

「確かに私たちハクタクは情報のやり取りできるけど、触ってないとダメだからね」

「へー、そうなん……あ、もしかしてつついてるときに情報くれたりしてんの?」

そうだとすれば成績が上がるのも当然だ。
目の前の志貴野が突然すごくいい奴に見えてくる。それどころか美少女がさらに美しくなった気さえする。夕焼けに染まる白い髪も相まって、どこかの神と言われても信じられそうなほど。
彼女はんー、と指を立てて口元に当てると悪戯っぽくクスリと笑った。その笑みは背筋を何かがぞくりと伝うほどに美しい。

「いや? そんなことしてないよ。そんなのズルじゃん」

「でもそれじゃただの迷惑な人じゃん!」

感動が霧散したのは一瞬だった。

「ていうか何? じゃあなんでノータッチで心読んじゃったわけ?」

「顔にでかでかと書いてあるんだもん」

「書いてねーよバッチリ洗顔済みだわ」

「油性ペンなんでしょ」

彼女はバッサリと切って捨て、「ほらほら問題集やらなくていいの?」と煽り倒してくる。
俺はぐぅんと唸り声をあげて正論に負けた。
そして志貴野の手を離して学生の本分に取り組み始めたのだ。

とすん、と背もたれに手が置かれる。振動が伝わってくる。
横目でチラリと見た志貴野は、どうしようもなく楽しそうだった。



「んひぁっ」

授業中に突然背中をつついてくる生態を持つ魔物娘。それが俺の後ろの席にいる魔物娘だ。
奇妙な魔物娘は常にニコニコしていて、お姉さん風の大人びた顔立ちをしていてとてもかわいい。そして牛っぽいツノと牛っぽくないふわふわくるくるした尻尾を持ち、牛の魔物娘らしく巨乳を誇っている。
後ろの席の魔物娘に新
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