さくさくと小気味良い音を立てる新雪を追いかけて、薄明りの中山道を分け入ること数時間。
この辺りのはずなのだが、と僕はあたりを見回した。雪に包まれた木々がひっそりと佇むばかりで、僕のお目当てのものはなさそうである。
僕が探しているのは温泉だ。俗に言う秘湯であった。
僕と同じく温泉マニアの友人が、この辺りに温泉があるという情報を教えてくれたのだ。
温泉があれば、湯気が上がるし湿気のせいで雪の質も変わるはずで、近くにあればいくら木々で視界が遮られているとはいえ発見は難しくない。
つまり、この辺りにはないということだ。
友人がくれる情報はこういうところがあるのだ。すぐに情報を教えてくれるのは心底嬉しいのだが、何分情報が早すぎて本人が確認していないことも多い。
無駄足ではあったが、幸い雪も降らないでいい天気だし散歩にはよかったかもしれない。
一応この林も広いみたいだから、もう少し回ってみようか。
そんなことを思いながらため息をついて、またさくさくと足を進めた。
日もてっぺんが近いころ、そろそろ帰ろうかと思い始めたころである。
もくもくと立ち上る湯気の中、僕はしゃがみ込んで湯を確かめていた。
ついに見つけたのである。
湯はかなりぬめりが強い。それに湯が微かに橙色を帯びている。見たことのない質のものだ。
温度もほどほどに熱くちょうどいいくらいだ。冬でなければもうちょっと熱かっただろうか。
こういう自然法則的にありえない温泉が湧くようになったのは、魔物娘が現れてかららしい。地下に何かしらの変化があったのだろう。
僕は軽装になり、しばしその周囲を確かめた。
人がいると流石に裸になるのは抵抗があるからだ。いくら木々が視界を遮っていようとも、人の気配があると落ち着けない。
周囲に誰もいないことを確認すると、僕は服を脱いで、身体を震わせながらゆっくりと湯に浸かった。
以前に来た誰かが削ったのだろう、一部の岩肌がなだらかに傾けた椅子のような形につるつるに削られているのがありがたい。もたれても痛くない、というのは大きい。
湯はとろみが強く、沈めた身体をほぐすようにのしかかってきている。朝から歩き通した身体は疲れて冷えて散々だったから、心にまで染み渡るような思いだ。湯と気温の差が心地いい。
しかし。
おそらく魔物娘の影響があるであろう湯には、困った共通する特徴があるのだ。
股間の陰茎が恐ろしいほどに勃起している。
リラックスしたから、というのもあるだろうが、身体が非常に火照っているのだ。間違いなく湯の効能だろう。
僕は以前聞きかじった知識を確かめるために、湯を少し口に含んだ。
うん。甘い。間違いなく魔物娘の影響だな。甘い湯は魔物娘の影響を受けた場合にそうなるらしいのだ。
こうなると一度二度抜いたところで収まるものでもない。ちょうど椅子の角度もいい感じなことだし、こういう時にやるべきことは一つだ。
僕は目を閉じた。そう、居眠りである。
ちょうど疲れが眠気に替わってきたころなので、都合よく僕は眠りへと落ちていった。
温泉とは違う奇妙な熱に身体が包まれている。
身体をよじろうとしても動かない違和感に目を覚ますと、目の前に女の子の顔があった。薄いこげ茶色の肌をしている魔物娘だ。
「あ、起きた」
「え……えと、君は?」
寝そべる僕にのしかかっているその子の大きな橙色の目が何度か瞬いた。
「私、あかり。ラーヴァゴーレム」
ぽつぽつと話す彼女に僕は違和感を覚えた。
ラーヴァゴーレムという名は何度か聞いたことがあるが、確かかなり気性が荒い魔物娘だったはずだ。彼女は一見して大人しいと分かる。
あかりはぽへっと笑った。
「そう。そうだけどあなたに乗ったら空気が冷たくて」
彼女らは体温の変化で気性と身体の質が変わるらしい。
それで、僕にぴったりくっついているわけだ。潰れた大きい胸が卑猥だ。身体を起こすと、きっと身体が冷えて固まってしまうのだろう。そうなると性格が完全に内向的になるそうだ。
「今も背中が寒いからテンション上がらない。水じゃなくて温泉だからまだマシだけど、それでも冷える」
そういう彼女の下半身はどろどろに溶けて、湯に拡散しているようだった。濃い橙色が光を放ち、まるで溶岩に腰から下が呑まれているようだ。
いや、彼女らは溶岩のゴーレムなのだ。まさしく溶岩に呑まれているのである。
そして、僕の肉棒もその溶岩の中でみっしりと包まれている。
しかしあかりが動かないため、快感は少ししか生まれておらず、もどかしさがつのるばかりだ。
僕の身体を動かそうとしても、彼女から離れた
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