あの儀式(?)の後の落下で俺が落ちたのは森のようだった。
腰が痛いが、不思議とヤバいという感じはしないな。
辺りを見回すとかなり深い森であることが解る。背の高い木々、伸びる蔦、鳥の声もまぁまぁ聞こえる。
ザァアアアア…
森がざわめく
森は慣れていたが、ここまで大規模だと少し気分が高揚するな…
斜めに背負ったリュックは健在、無論中身も。食料に、ナイフ…何故か持ってきた携帯電話。
一日二日は過ごせそうだ、歩いて人通りの有りそうな所へ出よう。…この世界に人と呼べる物が存在していれば…だが。
宛もなく歩く…、木々をよけ、草をかき分け時に獣とにらみ合い…
緑と黄色の綺麗な森だ。暖かい故に忘れていたが、今は冬、真冬だったな。
「ああー、ったくケンはどこいったんだよ〜」
言葉の上では文句だが、心では大して気にしていなかった。別行動な気がしていたんだ。
しばらく歩くと音が聞こえた…
さらさら…
水の音、日があたり輝く。
川だな、ソコソコの大きさの川だ膝くらいまでの深さ、水を飲み体力の回復を図る。
川の近くには小屋が、中を見るも誰もいない、現状持っていけそうなものもないのでスルーだ。
またしばらく歩く…、少し踏み均された道だ。きっと人なり獣なりがよく通る道なのだろう。
そのうちに家の集団、村を発見した。
村の入り口には女性と男性一人ずつ。見張り番か、話を聞こう。
「あの、この村は…」
かなりマイルドに声をかけたつもりだが、女性にいきなり睨まれた
「立ち去れ、ここはエルフの村だ!」
敵意丸出し過ぎ、右の男性がフォローを入れるように声をかける。
「すまないがここはエルフの村、よそ者を嫌うんだ。他を当たってくれないか」
事情は分かったがなにか釈然としない…
「そ、そうですか、すいません…」
一応謝っておく、なにか悪いことをしたのであれば謝っておくのがいい。
そろりそろり立ち去る事にした、が。空も茜色、このあたりは良いだろうが夜の森は明らかに危険だ、暗いだけならまだしも獣が多くいる。
ひとまず先程の小屋に戻ることにした。
小屋はやはり誰もいない、と、いうか誰も来ないだろう。
そう思った理由は単純明快。
「埃たまってんだよな、積もってるっていうか…」
空が微妙に明るい今のうちに小屋の端の方に発見した布切れで掃除をすることにした。
といっても川の水に浸して雑巾代わり程度だが、それでも寝床と窓の掃除には十分だった。
幸い毛布はあった、これも埃を多少被っていたが気に吊るしてひっぱたき、埃をとばし
明日辺り洗おうと思った。
少しの間、ここには滞在しそうだ。水があり、獣がいて、ナイフがある。ここは可哀想などと言ってられない、レッツ狩だ。
毛布をひっぱたき終わり、木製のベッドに敷いて掃除が終わった頃、ノックがあった。
まずい、読み違えたか。ここには先客がいたかと警戒しつつドアに近づきお門違いの一言
「…どちら様で?」
まるで自分の家かのようないいぶりだ。自分で違和感を感じる。
「あんた、さっき村に来た人でしょ。気になったからつけてきたの、入れて?」
つけられてたか。ていうか、ここに来てから結構掃除してたが…
「もしかしてここの準備が終わるまで待ってた?」
「うん」
なんと、律儀なやつ。いや、律儀とは違うか。
ガチャ、 立て付けの悪いドアを開き声の主を小屋に入れた
「ふー、おじゃまします。かな?」
金髪長髪の少女はニッコリ笑った
「いや、俺の家じゃないし言わなくてもいいんじゃないか?」
誰が住んでいたのか、そもそも人はいたのかすら俺には分からないわけで
「そか、じゃこんばんわだね」
笑顔の可愛らしい娘だと思った
「ふーん、ほー。変わった格好してるね、旅装束?」
フードつきジャンパーにジーンズがそんなに珍しいか、と思ったがここはいつもの世界じゃない
改めて実感した。
一つ気になったから聞いてみた
「なぁ、エルフはどうしてあんなによそ者を嫌うんだ?単なる村の方針であそこまで嫌えるものか?」
まるで親のかたきのような顔をされては気にならずにいられない
涼しい顔で少女は答えた
「それだけじゃないね、うん」
「やっぱりか」
少し聞くことを躊躇したが、思いきっ何があったのかて聞いた。
少女はあまり気に留めた様子もなく話始めた
少女は色々な事を教えてくれた
エルフの村が昔は人間と暮らす珍しい村であったこと
村に人間の襲撃者が来て子を拐っていった事件の事
エルフの特性のこと。
「なぁ、魔力ってのは俺ら人間にも使えるのか?」
気になったし、使えるものなら使ったほうが有意義だ
「うーん、あなたからはあまり魔力を感じないわ…あっ、でもでも使えないってわけじゃないわ」
やっぱあっちの住人は魔力なんて持ってないか。
「これ、あげる。エルフの子が魔術を練習するのに使う道具。」
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