いつ終わるのかも分からない程の長い射精の間精液が出やすいように逸物を吸い続けた穂積は、脈動をやめて力が抜けた逸物を離れがたい身を押して喉奥から抜いた。
 幹に残った精液を舌で舐めた後に全体を石鹸で洗うと、最後には湯をかけて清潔な状態に仕上げる。
 その間、長い射精で放心状態になっていた盛一郎が妙に愛おしく、ずっと眺めていたくなった。

(ああ、いけません。このままでは体を冷やしてしまいますね)

 そっと盛一郎の手を握って強めに妖気を流すと、盛一郎は敏感に反応して目の焦点を穂積に合せた。
 未だ夢見心地の様をどこか可愛らしいと思いながら、穂積は彼の身を起こしてやる。

「さあ、綺麗になりましたよ。この湯に浮かべた果実は傷にもよいものですから全身ゆっくりと浸かってきてください」
「ん、む……ああ」

 盛一郎がどこかふらふらとした様子で椅子から立ち上って湯に浸かるのを見届けると、穂積は湯殿から出た。
 濡れた体をそのままに結界を解いて外に出る。
 体が震えるのは外気に晒されて体温が下がったからではない。
 無言で足が歩を刻む股から粘着質な水音がして、その音が耳に入るたびに、どうしようもない切なさが募っていく。
 気を抜くとそのまま湯へと取って返して盛一郎を襲ってしまいそうになる我が身を意識して抑えつけ、穂積は家の傍を流れる川の縁に立つ。

「皆さんの話にあった通りに満足させることができました」

 呟く声は、彼女のことを知る者が聞いたら発情していることがそれだけで分かるほど情欲に塗れていた。
 口の中には盛一郎の精の味がまだ残っている。
 これまで感じたこともない程の味覚と嗅覚の快楽が脳裏によみがえって思わず体を抱きしめる。
 自身を戒め、あるいは労わるように抱きながら、穂積は家を振り返ってぽつりと漏らした。

「私、もうあの方を行かせてしまうことはできませんね」

 声は誰に届くでもなく川の音に紛れていく。
 彼女は月に視線を転じ、金色の光を見つめながら「ごめんなさい」と呟いた。
 決まり悪そうに川に視線を転じ、そこにおぼろげに浮かぶ自らの影に申し開きするように彼女は言う。

「でも、いつまでもあのような方を根付かせないでいるから悪いのですよ」

 思ったよりも拗ねた口調になった言葉を打ち消すように、穂積は川に飛び込んだ。

   ●

 湯に浸かっている内に、盛一郎は正気を取り戻した。

 先程自分の身に降りかかったことの全てが夢だったのではないかとすら考えてしまう。
 しかし、逸物に未だ色濃く残っているあの感触は忘れがたく、一時は出すものを出し切って落ち着いていた逸物も今ではまた硬さを取り戻しつつある。
 深呼吸しようと湯に頭を浸そうと、硬さは一切なくならない。
 目をつむることで穂積の媚態を思い出してしまい、余計に悪いことになった。
 このままでは出づらい。他人の家だがこのまま洗い場でもう一度処理しようかと真剣に考えていると、外から声がかかった。

「盛一郎様。のぼせておられませんか?」
「あ、ああ、大事ない。すぐに上がる」

 答えてしまった手前、いつまでも湯に浸かって逸物が鎮まるのを待つわけにもいかない。
 ええい、ままよ。と盛一郎が湯から上がると、脱衣所には女性用の大きい湯帷子(ゆかたびら)が置いてあった。
 大きさ的に穂積が着るものではない。わざわざ客用のものを出してきたのだろう。

(元の服でもよかったのだが)

 そこは彼女の矜持が許さなかったのだろう。
 出された服が女性用なのは、彼女の話を聞くに、男性用の服がない為だろうか。
 盛一郎はありがたく清潔な湯帷子を着ると、湯殿を出た。
 居間には新しそうな布団が敷いてあり、枕を抱えた穂積が傍に居た。
 いつの間にか着替えたのか、先程着ていた襦袢とは別の、所々に飾りがついた湯帷子を着ている彼女は盛一郎を見て枕を置き、

「このような場所で申し訳ございません。
 お客様用のお部屋もあるのですが、そちらはまれにやってくる妖怪のお客様用のお部屋になっておりまして、様々な妖気の残滓が残っているのです。盛一郎様は妖気に敏感なお方ですのでそちらでお泊りになるよりもこちらの方がよいかと思いまして」
「御心遣い感謝する」
「いえ、これは私一人が気を浴びせたいと思い準備したことでございますので、感謝されることではないと申しますか……」

 ぼそぼそと穂積が言っていることの意味を受け取り損ね、盛一郎は少し考えた。

(居間である程度気が捌けるとはいえ、穂積殿自身の気が残っていることを言っているのか?)

 穂積の気が残留している中で眠らせることになったことをへりくだって言っているのではと判断した盛一郎は「気にしないでくれ」と前置きして、

「穂積殿の妖気なら、まあ、湯殿でのこと
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