町に入る=レッドスライムにレイプされる

「はぁ〜、やっと着いた……」

町への入り口となる門の前で、サイカは安堵したように溜息をついた。
彼は門の横に設置された守衛所に行き、中にいる守衛に対して、

「あの……町に入りたいんですけど」

と遠慮がちに質問した。

「……身分証明書は?」

守衛は無愛想にサイカを見ると、筆記の手を止めて質問した。

(まずい……)

サイカは焦った。
この世界に召喚されてから、まだろくにこの世界の事も分かっていなかった。
サイカは慌ててリュックサックをおろし、中から身分証明書を探そうとしたが―

「うわっ!?」

リュックの中にはスラ子がミッチリと詰まっており、とても身分証明書を探せるような状態ではなかった。
仮にスラ子を取り出して探すことは出来ても、守衛にスラ子の姿を見られたらどうなるか分かったものではない。

「……何か?」
「い、いえ、なんでもないです!」

サイカは守衛の訝しむ視線に苦笑いで答えると、小声でスラ子に頼み込んだ。

「ねぇ、スラ子。
 僕の身分証明書ってない?」
「……ん」

スラ子は中でモソモソと動き、触手の先に羊皮紙を持ってサイカに手渡した。

「ありがとう!」

サイカはそう言ってリュックを背負い直し、羊皮紙を守衛に手渡した。
守衛はその羊皮紙を黙って見つめる……
正直、サイカは不安だった。
スラ子がはたして身分証明書という存在を分かっていたかどうか……
だが、サイカの憂いは無意味なものとなった。

「結構、しばし待たれよ」

そう言って守衛は羊皮紙をサイカに返し、門を開く装置と連動した取っ手を引いた。
すると、目の前の門が音を立てて上に開き、町に入ることができた。

「ありがとうございます!」

サイカは守衛にお礼を言って、町へと入っていった。

               ※

(すごい……)

サイカは町に入って辺りを見渡し、素直にそう思った。
門に掲げられた木製の看板には『テルシオ』と書かれていた。
恐らく、この町の名前だろう。
町の規模としては中規模だが、町内からは商店からの威勢のいい声や広場で何かの談議に花を咲かせる声など、非常に活気に溢れている様子だった。

(ひぅ!?)

その時、町内に風が吹き、サイカの肌を撫でつける。
と同時に、サイカの全身にしびれるような快楽が与えられる。

(そう、だった……体、洗わなきゃ…)

未だにアルラウネの蜜の効果が効いていることを認識すると、サイカはその場で浴場や宿泊施設のようなものがないかを探したが、どこにも見当たらない。
ただ、この世界の言葉が分からないというわけではない。
辺りには武器屋、防具屋と表記された看板が掲げられているが、その文字はサイカにはよく読める。
ただ単に、浴場や宿が見つからないだけだ。
仕方ないので、サイカは近くにいた町人の女性に声を掛けた。

「あの……」
「はい?」

女性はサイカの声に振り返った。

(わぁ……)

サイカは思わずその女性に見とれてしまった。
その女性はこの世のものと思えないほど美しく、まるで天使がこの世に舞い降りたような印象を受けた。

「あ、あの、浴場や宿のような場所はどこにありますか?」
「あぁ、それでしたら―」

そう言いながら、女性は目の前の通りを指さす。

「この通りを進んで、三つ目の角を左に曲がって進むと、公衆浴場があります。
 宿はその隣にあるから、すぐに分かると思いますよ?」
「あ、ありがとうございます!」

サイカがお礼を言うと、女性はニッコリと微笑んでサイカの横を通り過ぎた。

「頑張って」
「え?」

女性が横を通る時にそう聞こえたと思ったが、サイカが女性の方を見た時には、すでに女性の姿は無かった。

(……なんだったんだろう?)

あまりの事態にしばらく呆然とするサイカだったが、再び吹き付ける風に身を悶えさせ、仕方なく浴場へと向かうことにした。
海産物や農産物、民芸品などが所狭しと並ぶ商店街を抜け、三つ目の角を左に曲がる。
そこは裏路地のようになっていたが、構わずに進んで反対の通りに出ると、目の前に木造の、巨大な施設が目に入った。

「うわぁ!」

サイカは思わず感嘆の声を漏らしてしまった。
彼が元いた世界には温泉街というものがあり、そこの施設もかなり巨大だったが、今目の前に見える施設も負けてはいなかった。
自分が慣れ親しんだモノに初めて出会った感動を胸に、サイカは心躍らせて浴場へ向かった。
正面玄関となる場所には扉がなく、そのまま中に入れる。
すると、施設の床は一段高くなっていた。
ふと周りを見渡すと、両隣に設置された木の棚の中には、どちらも靴が二足入るように仕切られた空間があり、中には靴が入っているものもあった。
ここもサイカが元いた世界、正確に言えば元いた国の風習と変わらないため
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