貴方がデレるまで私はスペシャルパフェをやめません

 喫茶店の大きな窓から見える景色には、今日もまたトンボが飛び回っていた。つがいを探す奴、ランデブー飛行をする奴……町の凪いだ風の中をふわふわと飛んでいる。
 夏の終わり。今着ている夏用の制服も、学校帰りに食べるこの店のパフェも、今年はもうすぐお別れだ。

「氷雨の新作パフェを考えましたの。つー君、試食してくれますか?」

 だから喫茶店で働く幼なじみの誘いに、俺は二つ返事で食いついた。

 彼女……風花氷雨(かざはな ひさめ)はゆきおんなで、俺の幼なじみ。小さい頃近所に引っ越してきて、一緒に遊ぶようになった。あの頃はまだ魔物が珍しかったから、子供の間では「魔物と友達になる=かっこいい」という理屈がまかり通っていたのだ。中学に入る頃には友達というより、何かと世話を焼いてくる女の子になっていた。今でも俺の制服のネクタイが曲がっていると直そうとしたり、パフェのクリームが頬につくと拭こうとしたり……俺が学友たちにからかわれる原因を作っている。

 そんな彼女は中学を卒業した後、進学せずに家業の喫茶店を手伝うことにした。魔物は学歴がなくても暮らしていけることが多いし、教師たちも氷雨が成績優秀なことを惜しんでも咎めはしなかった。俺が学校帰りに喫茶店に寄るようになたのは氷雨の作るパフェが絶品なのと、会いに行かないと俺の家に押し掛けてくるためである。だがそのパフェは見た目・味ともに本当に絶品で、学友たちにも人気だ。さすがゆきおんなだけに氷菓は大得意らしい。

「で、氷雨」
「なんですか?」

 ボウルに入ったクリームをかき混ぜながら、氷雨は穏やかに微笑んでいる。冷たそうな青白い肌に、温かい笑顔がよく映えている。作っているところを見るのは久しぶりだが、昔からお菓子作りのときは本当に楽しそうだ。
 しかし。

「どうして新作の試食をするのが氷雨の部屋なのさ?」
「ふふっ、これは試作品ですもの……他のお客様には秘密です」
「じゃあ、どうしてお前は裸なのさ!?」

 そう、氷雨は百パーセント全裸で調理していた。エプロンすらつけておらず(裸エプロンならいいというわけじゃなくて)、ふっくらと豊かな胸がたぷたぷ揺れている。滑らかな背中、丸いお尻、妙にエロい鎖骨のラインや腋の下……その全てが、最初に見たときは少し怖かった青白い肌で構成されている。そのヒンヤリした肌は凄く滑らかで、柔らかく吸い付きそうな質感だ。そして真正面から見れば、股の大事なワレメまで見えてしまう。
 そんな姿を、俺の前で堂々とさらしているのだ。

「小さい頃は一緒にお風呂へ入ったでしょう。つー君てば氷雨の体が冷たくて気持ちいいからと、湯船の中で抱きついて……」
「そんなこといつまでも覚えていないでくれ。恥ずかしいから!」
「つー君との大切な思い出を忘れろと? それはあんまりですわ」

 口を尖らせ、氷雨は俺の方を向いた。胸がたゆんと揺れる。青い肌なのに乳首はピンク色で目立ち、かなりいやらしく見える。

 今にも鼻血を吹きそうな俺を前に、氷雨はクリームをへらですくい取った。頬を赤らめている辺り、こいつも少しは恥ずかしいのだろう。
 だがその後氷雨がとった行動は、羞恥心のかけらもないものだった。その奇麗な、たゆんたゆんの胸に生クリームを塗り始めたのだ。

「な、何やってるの!?」
「パフェ作りです」

 平然と答えながら、氷雨はぷるぷる揺れるおっぱいをクリームまみれにしていく。青い肌がどんどん白で彩られ、眼をそらしたいのにその光景に釘付けになってしまう俺。全体を生クリームでコーティングすると、氷雨はその上に半分に切ったイチゴを乗せ、チョコ味のコーンフレークをまぶしていった。谷間にウェハースチョコをはさみ、ミントをトッピングし、手際よくチョコレートソースをかける。生クリームの上がどんどん賑やかになり、最後にさくらんぼを左右の胸に一つずつ……ご丁寧にも乳首の位置にくっつけた。

「できましたわよ。特製パフェ」

 デコレートされた胸をたぷんと持ち上げ、氷雨は微笑んだ。

「何考えてるんだよ!?」
「氷雨の体は冷たくて、アイスみたいでしょ。だから甘くすれば、美味しいパフェになると思いましたの。……召し上がれ?」
「召し上がれって……!」
「食べてくださらないのなら、このまま抱きつきますわよ……?」

 ずいっ、と胸を突き出し迫ってくる氷雨。満点のボリュームが目の前に……!

「わ、分かったよ! 食べるよ!」

 制服を汚したら親に殺される。それよりは氷雨に少しだけ付き合ってやった方がマシだ。言われた通りにしてやれば、それ以上のことはされないだろうし……されないはずだ、多分。恐る恐る指でクリームをすくいとろうとすると、彼女は俺の手を掴んで悪戯っぽく笑った。

「……口で直接、食べてくださいな」
「くっ
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