ルージュ街の、ある鬼教官

「では、この部屋を使ってください。僕は寝ますので」

 ベルアンの町から亡命してきた背信者に、僕はそう言った。
 料理人だとか言うその男は、牛の角を生やした女を連れていた。おどおどした態度だが、所詮は男を誘惑して堕落させる魔物だ。やたらとでかい胸が、それを象徴している。

 彼らを残して、僕は一般兵士の寝室へと向かう。この城塞には人間と魔物の兵士が混在しており、いたる所に魔物がいる。
 このルージュ・シティ自体『人間と魔物の完全な共存』なんていうプロパガンダを掲げているのだ。領主はヴァンパイアだというが、人間を餌としか見ていないくせにふざけた話だ。この街にいる人間は皆、堕落の一途を辿る奴らである。
 僕はもちろん、好きでこんな街の私設軍にいるわけではない。僕は教会の信徒であり、仲間にこの街の情報を流すのが仕事だ。ここの軍備は想像以上に強力で、僕はそれらを詳しく分析し、ベルアンにいる同士たちに伝えなければならない。いつか僕ら教団が、この街を浄化するために。

 しかし先日、僕との連絡のため忍び込んできた仲間が、この街の兵士に捕らえられた。サバト局とやらに引き渡されたらしいが、僕からベルアンへの連絡手段はこれで途絶えてしまったのである。
 だからいずれ、自力で街から脱走するしかない。同士達への手土産として、掴めるだけの情報を掴んだ上で、だ。その目的のために、僕は魔物だらけの穢れた城砦で、背信者になりすまして生活している。
 ……なんだけど。

「おう、ソラ! こんなところにいたか!」

 粗野な、それでいてスカッとするような女声が、廊下に響く。
 二本の尖った角、薄緑色の肌、勝気な釣り目。大柄で優雅な肢体を持つ美女がそこにいた。

「……セシリア教官、何か……?」
「便所に起きたら目が冴えちまってな。せっかくだから風呂場で稽古つけてやろうかと思ってよ」
「ええっ!? 今からですか!?」

 現在時刻は夜二時を過ぎており、僕も眠くて仕方がない。だがこの人は、僕の都合なんて気にしてはくれない。

「つべこべ言うな! ほら行くぜ!」

 彼女は僕の腕を掴み、強引に引っ張る。彼女の腕力に対抗できるわけがないので、大人しく従うしかない。ああ、今晩の安眠は諦めた方がよさそうだ……。

 大浴場の更衣室で、セシリア教官は露出度の高い服を脱ぎ捨てた。
 彼女はオーガと呼ばれる魔物で、魔力は低いものの直接戦闘においては無類の強さを発揮する。魔物が全て女の姿となった今でも、その凶暴性は衰えていない。
 しかしそれでも、裸体の美しさには息をのんでしまう。無駄な肉が一切なく、それでいて出るところは出ている。

「おっ、勃ってるじゃん。準備万端だな」

 同じく全裸になった僕のペニスを、セシリア教官が指先でつつく。毎日毎日、強制的に彼女の『訓練』を受けさせられているせいで、その薄緑色の裸体を見るだけで勃起するようになってしまった。
 彼女は忌むべき魔物なのに。そして僕は教会の使途なのに。いくら自分に言い聞かせても、体は言うことを聞いてくれなかった。
 セシリア教官は教導部隊の所属で、その卓越した戦闘技術を兵士に教えるのが仕事だ。僕はどういうわけか彼女に気に入られ、毎日訓練を受けているのだが、それは戦闘だけでは済まなかった。

 浴場に入ると、いつも通りの目を覆いたくなるような光景。城塞にいる人間と魔物とが、思うがままに、淫乱に交わっていた。セックスは子を為すための神聖な行為のはずなのに、それを理解できないくらい堕落した連中なのだ。しかし、僕も……。

「行くぜソラ、状況開始!」

 その瞬間、僕はセシリア教官に押し倒された。僕の上に彼女が覆いかぶさり、股を開く。緑色の皮膚に白い陰毛、その奥にあるピンク色の花園が、ぱっくりと開いて僕のペニスを見下ろしている。

「うりゃ!」

 片手でペニスの角度を調整しつつ、教官は勢いよく腰を沈める。ずぬっ、と一気に根元までくわえ込まれたかと思うと、きつい締めつけがペニスを襲った。

「くぅっ……!」

 彼女の膣はすでに臨戦態勢だったのか、十分濡れていた。
 オーガというのは打撃の戦闘のみならず、性的に相手を制圧することに喜びを感じる習性があるらしい。なのでこれは愛からのセックスではなく、僕に対する戦闘訓練なのだ。

 セシリア教官が激しく、暴力的に腰を振り始めた。
 彼女の太ももやお尻が打ちつけらる。ペニスが膣に摩擦される!
 僕も下から突き上げる。しかし彼女はそれを楽しむかのような目つきで、僕を見下ろしていた。

「オラオラどうした!? お前のチンポはその程度かぁ!?」

 叱咤され、僕は魔物の膣を必死で突き上げた。腰が痛み始める。
 突くたびに、膣がキュッと収縮してペニスを圧迫する。そして彼女も腰を振り、さらにくね
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