「……ごちそうさま」
ずれた眼鏡を直し、委員長は笑った。いつもと同じ、優しい委員長の笑顔。だが今夜は月明かりに照らされて、口元についた赤い液が見えた。
僕の血だ。ちらりと見える糸切り歯にも付着している。先ほどこの牙で首筋に穴を空けられ、吸い出された。
足下がふらつく。立っているのが辛くなり、その場に座り込んでしまった。見下ろしてくる委員長の上に、真円の月が見えた。いつもより眩しい、真っ白な月だ。その月光を受けながら、委員長は眼鏡のレンズ越しに僕を見つめている。制服の上に黒いポンチョのような物を着た、見慣れた姿だ。普段と同じなのに、唇についた血を舌で舐めたときの表情はぞくりとした。全く違う顔に見えたのだ。
彼女は少し屈んで、僕の首……血を吸われた所をそっと撫でてきた。細い指先だった。
「大丈夫よ、ちゃんと舐めておいたから。ヴァンパイアの涎には止血作用があるの」
柔らかな微笑を浮かべる委員長・小宮山瑞香。彼女はいつもこの笑顔でクラスメイトを労り、みんなから慕われている。僕も何度、この微笑みに癒されてきたことか。だから寮の屋上で、一人月を見ている彼女を見つけたとき、自然と声をかけたくなった。別に下心があったわけでもない、ただの挨拶みたいなものだった。
次の瞬間、委員長は牙を剥き、僕の血を吸った。
今は彼女のことがとても怖くて、逃げたいとさえ思っている。それでも体が動かないのは単に血を抜かれたからではなく、気持ち良さが全身を駆け巡っているせいだ。ヴァンパイアの吸血は相手に快楽を与えると授業で教わった。委員長に吸われたらどんな快楽を感じるのかと一瞬妄想したのは、恐らく僕だけではない。だが実際に自分がその立場になるなんて思ってもみなかった。
僕を見下ろしながら、彼女は不意に上履きを脱いだ。三日月のワンポイントが入った黒のニーソックスを履いている。その足をすっと上げ……僕の下半身、股間に乗せて来た。
「う……!?」
思わず声を出してしまった。牙の快感を与えられ、僕のそこはすでに隆起していた。ズボン越しに足で踏まれ、表面をさわさわと撫でられる。むず痒いような感触がじわじわと広がった。勃起していることを足で確認され、顔から火が出そうなほど恥ずかしい。だが彼女の足の動きから目が離せない。
「こ、小宮山さ……!」
「南原くん、おちんちん見せてよ」
その言葉にはっと顔を上げると、委員長はクスッと笑った。途端に股間を強く踏まれる。強くと言っても痛みを感じないレベルで、ズボン越しにつま先でぐりぐりと刺激された。
「あ、あああっ、止めて……!」
「見・せ・て?」
「み、見せる! 見せるから……!」
言葉に併せて強めに股間を踏まれ、反射的にズボンを脱ぐ。委員長がそんなことをするはずがないと分かっていても、踏みつぶされるのではという危機感が湧いてしまった。彼女はそれも分かった上でやっているのだと感じた。掌の上でいいように踊らされてしまっているのだ。
パンツを降ろした途端、バネ仕掛けのようにペニスが飛び出す。すると委員長は僕の目を見ながら、そっと頭を撫でてきた。まるで小さな子供か、犬や猫にするように。
「いい子ね、南原くんは。そのままじっとしてなさい」
そして露出したペニスに、今度は直接足が乗せられた。ニーソックスの布が擦れ、真上を向いた竿が前方向へ倒される。その後は先端部分、亀頭をつま先でつつくように刺激された。敏感な所を攻撃され、ペニスがぴくぴくと反応する。
いつも真面目な彼女が、どうしてこんなことをするのか。それもどうして、いつもと同じ優しい眼差しをしながらこんなことができるのか。混乱しながらも、先端から溢れる先走りの液を止めることはできない。それを見る委員長はとても楽しそうだった。
「ヌルヌルが出てきたね。南原くんのヘンタイ」
「ち、違うよっ!」
反論してもペニスを強めに踏まれ、僕の言葉も一緒にねじ伏せられてしまう。亀頭をつつくのを止め、彼女は竿全体を足でマッサージするかのように踏み始めた。靴下との摩擦と優しい圧迫感、そして背徳感が恥ずかしいほど気持ちいい。
「違わないわ。血を吸われて勃起して、女の子におちんちんを踏まれて、カウパーを垂らして気持ちいい。ね、立派なヘンタイさんでしょう?」
罵倒するでもなく、叱りつけるでもなく、諭すような口調で委員長は言う。普段クラスで喧嘩を仲裁するときのように。
そして彼女は両手でスカートをつまみ、じっと僕の顔を覗き込んだ。
「この中、どうなってると思う?」
悪戯っぽく言われたとき、一瞬何のことか分からなかった。股間を踏まれながら三秒ほど間を置いて、スカートの中のことだと分かった。
気づいた瞬間、スカートの裾とニーソックスの間に見える白い太ももに
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