メリッサの治療のお陰で、俺の傷はすでに癒着した。それでも剣術などの激しい運動は控えるようにと言われているが、普通に生活する分には全く問題ない。つくづく彼女には感謝しなくてはならない。もちろん窮地を救ってくれたヅギや、その仲間たちにもだ。
つい最近まで教団の側にいた俺でも、病院の中を自由に歩き回ることを許されている。昨日までは監視の目を感じることもあったが、それもなくなった。知り合った医者や患者と挨拶を交わしつつ、目的地の病室へ到着した。
ドアをノックすると、すぐに「どうぞ」という返事が返ってきた。メリッサの声だ。
まだ新しいそのドアを開けると、魔法陣の描かれた病室には二人のダークスライムがいた。一人はメリッサ、もう一人はくりくりした目の、小生意気そうな少女の形をしたスライム……生まれ変わった、俺の妹である。
「……マナ、ヴィンデンだ。分かるか?」
ゆっくりと問いかける。マナは粘液でできた目で、じっと俺を見つめていた。
「いきなり何言ってるの? 兄の顔を忘れるわけないでしょ。兄さんこそメリッサ先生に、脳の検査でもしてもらったら?」
……久しぶりに聞いた妹の声は、以前通りの生意気なものだった。
安堵混じりの苦笑が溢れる。やっぱりヅギの言ったことは正しかった。例え魔物になっても、紫色の粘液でできた体になっても、マナの根本的なところは変わっていない。俺の決断も一先ず、正しかったと言えるのかもしれない。少なくとも、目的は達成できた。
「ちょっと、兄さん」
ずいっと、マナは近寄ってくる。
「せっかく呪いが解けたのに、何よその顔。ここはぎゅって抱きしめたりするところじゃないの?」
そう言って、俺に体を擦り寄せる妹。口を尖らせた表情を見て、彼女の思っていることが何となく想像できた。
俺にできることは一つだ。ダークスライムとなったマナの体をそっと抱き寄せ、しっかりと抱擁する。メリッサと同じスライムの体はひんやりとしていて、それでいて心臓の鼓動に似た微かな脈打ちがあった。生あるものであることを感じさせる微細な動きが。
マナもそれを受け入れ、ゆったりと俺の背中に手を回してくる。腕の中で俺を見上げ、微笑んでいた。
「……何となくだけど、覚えてるよ。兄さんが一生懸命、私を守ってくれたこと」
少し背伸びして、マナは言った。目線が同じ位置へ来る。幽閉されていた彼女の意思は解き放たれた。感情が戻った。それが何よりも嬉しい。
よかった……そう言おうとしたとき。
「んっ
hearts;」
「っ……!?」
突然だった。マナに唇を奪われたのだ。子供の頃に遊びでしたのとは違う、舌まで使った濃厚なキスを。
驚いて引きはがそうとしたとき、口の中に押し入ってきたそれが舌ではないことに気づいた。とても甘い、ぷるぷるとしたゼリーを口移しで食べさせられている。それを次々と押し込まれ、喉が勝手に嚥下していく。
この味には覚えがあった。メリッサに食べさせられた、彼女の体の一部である。
ひとしきり飲み込まされた後、マナはゆっくりと口を離した。
「メリッサ先生、食べさせたよ!」
「よくできましたね。じゃあヴィンデンさんは……こっちに!」
メリッサの体が広がり、俺の体に絡み付いてくる。次の瞬間には完全に抱き上げられ、ベッドの上に乗せられた。そのまま粘液が指先のように器用に動き、俺の服を脱がせてくる。
「な、何をする気なんだ!?」
「マナさんのリハビリのためです。とっても気持ちいいですよー」
その言葉で、何をされるのか察しがつく自分が悲しかった。彼女の「気持ちいいですよ」発言は大抵、診察と称して淫らな行為をするという宣言なのだ。
メリッサのことは愛している。だが今回は状況が違う。妹の目の前で裸に剥かれてそういう『医療行為』をされるのだ。だが脱出しようと藻掻いたとき、すでに下着まで脱がされ、股間が露出してしまっていた。
「に、兄さんの……お、おち……おちん……」
マナにそこを凝視されている。自分でも驚いたことに、いつのまにか完全に勃起していた。極限まで怒張してしまっている。先ほど食べさせられたスライムのせいか。むしろそうだと思いたい。でなければ妹の前で脱がされて興奮したことになってしまう。
だが焦る俺を他所に、マナは目を見開いてそれを見つめていた。顔が亀頭に触れそうなくらい、間近から。まるで発情した獣のように。
「ま、マナ……むぐっ!?」
口にメリッサの指が押し込まれた。出そうとした声を封じられてしまう。
「それじゃあマナさん。お兄さんのおちんちんから精をもらう練習をしましょうね。これは魔物にとって、とても大事なことなんですよー」
「うんっ! 兄さんのためにも、立派な魔物になれるように……私、頑
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