あまずっぱいサハギン

 校舎の前を歩きながら、何気なく右を見る。放課後の閑散とした教室の中が見えた。
 白い髪をした可愛い女の子が机の上に座り、褐色の美脚を大きく開いている。さらにスカートをまくり上げ、純白のパンティを露出させた。その前に跪く男子がそこに顔を近づけ、布地越しにそこへ舌を這わせた。女の子は気持ち良さそうに目を細めながら、鞭を片手に男子に語りかけている。脚でその顔をがっちり押さえて、逃げたら許さないと言うかのように股間を舐めさせていた。ふいにその瞳がちらりと俺を見たので、慌てて左へ視線を逸らした。

 左側はグラウンドで、野球部員たちが汗を流している。しかしボールを打った軽快な音やかけ声に混じって、喘ぎ声が聞こえてきた。グラウンドの隅、道具置き場の辺りで、女教師と野球部員が激しく運動していた。野球とは全く無関係の運動を。赤い尻尾に炎を纏った女教師が四つん這いになり、ユニフォームのズボンを降ろしている。そこへ野球部員が股間の物を挿入し、むっちりしたお尻に腰を打ち付けていた。

 再び視線を逸らし、右を見る。今度は違う教室の中が目に入った。こっちは女子が机の角に股間部を押し付けている。カマキリのような鎌を両手に備えた魔物で、その顔はガスマスクで隠されて見えない。しかし体つきは制服の上からでも分かるスレンダーな腹部、それに対してちゃんと出ている胸、すらりとした白い脚など、モデルになれそうな体型だ。
 いわゆる角オナを続けていたガスマスク姿のカマキリ女は、教室に入ってきた男子を見てはっと振り向く。彼はカマキリの彼女に歩み寄り、丁寧にガスマスクを脱がした。色白のえらい美人がそこにいた。二人は目をつむり、ゆっくりと顔を近づけ……。

「うおっ……」

 唇が触れる瞬間、カマキリ女子が俺の方に片手をかざしてきた。俺は大慌てで心の中でコントローラー端子を繋ぎ替え、教室の前を足早に通り過ぎた。
 まったく、この学校に転入してきてから毎日こんな光景を見るはめになっている。見て見ぬ振りをするのが暗黙の了解になっているようだが、魔物の少ない地域から転校してきた俺には目の毒だ。寮で暮らせるということで、家族から離れたい俺、俺を遠ざけたい家族両方に都合がよかったわけだが、魔物だらけの学校に慣れるのは時間がかかりそうだ。

「いっそ俺も、彼女作れればなあ……」

 ぼやいてみたところで、ちょっと前まで家庭崩壊のただ中にいた俺に恋愛というのはハードルが高い。飛び越えようとしても顔面からぶち当たるくらい、高い。それでもようやく家から解放されたわけだから、自由に青春を謳歌してもいいような気がする。
 とりあえず寮に戻って、自転車でどこかへ出かけてみるか。学校内にいてはムラムラするものを見せつけられるだけだし。

 その後も一年生を集団逆レイプする狼女たちや、背中に彼氏を乗せ胸を揉まれているケンタウロス、作業着の男子といちゃついている幽霊の女の子などを見かけた。何とか平常心を保ちつつ足を前に運び、寮の自転車置き場に到着した。俺が家から持ち出した物で一番大事なのは自転車だと言っていい。今日も相棒に乗り、町へ漕ぎ出すとしよう。

 だが自転車置き場の中に、うずくまっている女子を見つけた。後ろ姿なのでよくわからないが、鉤爪状になった紺色の手足が見える。リザードマンとかいう魔物の仲間だろうか、長い尻尾もあった。自転車の前にうずくまり、手にした工具とタイヤとを交互に見つめている。
 どうやらパンク修理をしたいようだが、まずどうしたらいいのか分からないようだ。

「あの……」

 声をかけると、彼女は立ち上がり、くるりと俺の方を向いた。可愛い顔立ちだがどことなくジトッとした目つきで、表情がない。よく見ると手足には水かきがついており、トカゲというよりも半魚人に近い魔物のようだ。制服の校章の色から三年生であることが分かる。俺は二年、つまり彼女は先輩だ。
 硬い無表情に少し尻込みしたが、話しかけてしまった以上「何でもありません」とは言いたくない。

「よかったら、俺が……」

 直しましょうか、と言おうとしたとき。近くの木々が大きくざわめき、ぶわっと強い風が吹いてきた。木の葉や砂が飛んで来て、思わず腕で顔を庇う。

「!」

 その強風の中で、俺は見てしまった。先輩のスカートが大きくめくれ上がるのを。そしてその内側にある細めのふとももを。
 そして彼女が履いているのは下着ではなく、紺色のぴっちりとした……水着であることを。

 男が目の前にいるにも関わらず、彼女はスカートを押さえようとする気配が全くなかった。だから風が止むまでの二秒ほど、その光景に釘付けになってしまった。制服の下にある、水着の股間部に。
 ゆっくりと風が収まり、スカートも、靡いていた長い髪も元通りになる。そして相変わらずの無
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