赤。
赤。赤。
酩酊赤染とはよく言ったもんだ。刀を振るたびに異人どもは倒れ、真っ赤に染まる。白い肌を斬りつける度にそれが赤くなるのは壮観だった。俺は廊下の燭台に火を灯し、そいつらの姿を肴に酒を飲んでいた。何故だか廊下の脇に酒がたんまり置いてあったもんだから、無性に飲みたくてたまらねぇ。徳利に入った熱燗だけでなくでかい酒樽まで置いてあるもんだから、こりゃ当分楽しめそうだ。酔ってくるともう倒れている女どもの肌がますます真っ赤に見えてくる。それが十人も倒れてるもんだから、辺り一面真っ赤な海だ。
「絶景かな、絶景かなァ」
徳利に直接口をつけ、グビリと飲む。ああ、美味ぇ。今まで酒がこんなに美味いと思ったことはなかったぜ。教団の連中は禁欲禁欲とそればっかり言うらしいが、酒は飲むんだろうか。
「おら、飲めや。クックック……」
近くに倒れている女の口を開けさせ、おもむろに酒を流し込む。顔や首まで真っ赤になってるが、なかなかいい女だ。なのに俺に斬られに来やがって、馬鹿な奴め。俺も相当酔っているんだな、女の額に角が生えてるように見えてきた。
「んぐっ!」
「お?」
くぐもった声がしたかと思うと、ピクリとも動かなかった女が突然徳利を掴んだ。がばっと身を起こし、徳利ごと飲み込みそうな勢いでぐびぐび飲みやがる。
「……ぷっはー! おいし〜!」
空の徳利を転がし、教団兵の女は豪快に息を吐いた。目が蕩けてやがるが、手足も全部赤に染まってる割には元気そうだ。斬った手応えは確かにあったんだがなぁ……。
酔った頭で状況を理解しようとしていると、もっととんでもないことが起きた。赤く染まって倒れている女兵士たちが次々に起き上がり、俺の方……というか、置いてある酒の方へ這って来やがった。どいつもこいつも目が据わって、俺と視線が合うと『にやーっ』と笑う。なんだこりゃ、酩酊赤染で斬られると真っ赤になるだけじゃなくて酔っ払うってのか。
「お酒ちょうだいよぉ〜」
「飲む飲むー」
「んぐっ、んぐっ……ほらぁ、あんたも飲みなよぉ」
にっこり笑いながら、半分飲んだ徳利を俺に差し出してくる奴もいる。異人にも気の効く女はいるんだなぁ。案外可愛いもんだ。真っ赤だが。
「異人のは血まみれでも酒が飲めるってのかぁ……?」
「へ? あははっ、なーに言ってんの!」
つり目がちの気の強そうな女が、豪快に俺の背中を叩いた。
「あたしらの何処が血まみれなのさぁ?」
「そーですよぉ。どこも痛くも痒くもないですよぉ」
きゃらきゃらと笑いながら、女どもは酒を浴びるように飲みやがる。どうなってんだ一体。肌全部真っ赤に染まってるのは血じゃねぇってのか。俺が少し酔いすぎてそう見えるだけか。そういやこいつらの頭に、何かニョキッとしたものが……
「……うわははは!」
「んぅ? どうしたんれすかぁ、おサムライさぁん?」
髪の長いしとやかそうな女が俺の顔を覗き込んだ。美人だがこいつの顔にも。
「はははっ。酔ってきたせいか、お前らの額に角が生えてるように見えるぞ! お前ら全員、鬼娘だ!」
「うわっ、ひど〜い!」
「失礼ねー! 主神さまの天罰が下るぞー!」
「そんなこと言うのはこの口かぁ〜?」
女の一人に唇を奪われた。柔らかくて酒の味がする唇を味わわされ、舌を無理矢理ねじ込まれる。
「んちゅっ、じゅるっ、じゅるるっ……
#9829;」
音を立てながら互いに唇を吸っていると、他の連中も俺の顔だの胸だのに口づけを始めた。十人もいればやり方も少しずつ違ってくる。ただ柔らけぇ唇を押し付けてくる女、舌で舐め回してくる女、激しく吸い付いてくる女とよりどりみどりだ。口の方も交代でされる。
「れろっ……んっ、美味しい……
#9829;」
「お酒かけちゃお……ちゅるるっ
#9829;」
「んっ、はぁ……ちゅぅ……っ
#9829;」
胸元をはだけさせられて、そこに酒を垂らされて、舐めとられる。何だこりゃ、気持ちいい。
口に吸い付く女が離れたかと思うと、別の女が唇を奪ってくる。今度は酒を口移しで飲ませてきやがった。女の口で人肌の温度になった酒を飲み下し、俺はその女の顔を掴んで引きはがす。
「ぷはっ」
よく見るとこいつ、最初に斬った女だ。目のくりくりした幼い顔つきで、肌が赤くなって角が生えてはいるが顔つきは変わっちゃいねぇ。でもって顔の割に出るところは出ている体のようだ。
「えへへ
#9829; 私のお酒は美味しかったかなぁ〜?」
「おう、美味かったぞ。もっと飲ませろや!」
無邪気に笑うそいつを押し倒し、穿いている『すかーと』とかいうのに手をかける。強引にひっぺがすと三角形の下着が現れたのでそれも無理矢理はぎ取った。布が破れ、真っ赤な割れ目が露わになる。
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