南国秘湯『樹霊の恵み』

「リッカちゃん、南谷プロデューサー、おめでとうございます! いつかこうなると思っていました」(28歳 男性)
「二人がヤるところをしっかり見ました! 私も彼氏をあの温泉へ連れて行って……
hearts;」(19歳 サキュバス)
「ようやく来るべき日がきたか。職務があるとはいえ真面目すぎる男も考えものだな」(287歳 ドラゴン)
「ジェラシー感じるけど祝福します。末永く爆発しろ!」(18歳 男性)
「コントローラーを床の上に置いてみろ。いいか、できるだけ平らな床だ」(17歳 マンティス)




 ……タブレット端末でファンからのコメントを確認しつつ、俺はため息を吐いた。なんでみんなこの展開を期待していたんだ。普通大スキャンダルだろうに。というか最後のマンティスは一体何が言いたいんだ。リッカちゃん関係ないだろ。

「プロデューサー、あと十分で目的地だ」

 操縦席から山瀬・夫が告げた。運転席ではなく操縦席である。何せ俺たちは今、ヘリコプターで南の空を飛んでいるのだ。眼下には広大な青い海が広がり、その中に緑に覆われた島が点在している。この島の中に、これから向かうジャングルの秘湯があるというのだが、イエティを熱帯へ連れて行くというのがそもそも心配だ。あのタヌキ社長はときどきこのような無茶ぶりをしてくる。

「そうか。しかしお前らがヘリを操縦できるとは思わなかったな」
「……まあな」
「昔取った杵柄ってやつよ」

 副操縦士席に座る山瀬・妻が笑う。こいつら一体何者なんだ。時々二人でCQC(近接格闘)の練習をしていたり、盗撮しようとするカメラ小僧をいち早く見つけ出したり、明らかにただ者ではないことは前から気づいていたが。
 まあ、それはそれとして……。

「プロデューサーさん、ぎゅ〜っ」

 リッカちゃんは今日も平常運転だ。一度ヤってしまってからはますます遠慮が無くなり、もふもふの手足で容赦なく抱きついてくる。柔らかな体毛だけでなく、露出している褐色の素肌にムニムニ攻撃され、俺の体は嬉しい悲鳴を上げはじめた。ことに彼女の体の中で最もムニムニした箇所の威力が凄まじい。

「り、リッカちゃん、胸が……!」
「むね?」

 俺の腕を挟み込んでひしゃげる褐色のおっぱい。ダンスのときには上下左右によく揺れるそれが、ぐっと圧力をかけてくる。そのボリューム感と自在に形を変える様子は凶悪な興奮材料だった。
 そんな自分の胸を、リッカちゃんは丸い目で見つめ……ニコリと笑った。

「おっぱいこーげきー!」
「ぶほぉっ!?」

 突如、そのおっぱいが顔面に襲いかかってきた。チョコレート色の巨乳で視界が覆われ、思い切り押し付けられる。昇天しそうな柔らかさとリッカちゃんの汗のニオイで頭がクラクラしてきた。あれから何回もヤっているが、それでもこの刺激はたまらない。
 当然の如く、その刺激に反応してしまう愚息。

「あ、おちんちんがおっきした! えっちしようね!」
「ちょ!? もうすぐ着陸するんだから!」
「うん、だからはやくシちゃおう!」

 もふもふの手で器用にズボンを脱がせようとしてくるリッカちゃん。自分の股間の毛皮も消し去り、奇麗な割れ目が露になった。ヤること自体はもう構わないのだが、勃起した瞬間所構わずヤろうとするのは勘弁して欲しい。ヘリが降りるときに何かあったら洒落にならない。

「や、山瀬!」

 一縷の望みを託し、俺は操縦士の名を呼んだ。

「……貴方と一緒にヘリに乗るなんて、三年ぶりね」
「あの頃とは違う。ここは地獄の空じゃない」
「ふふっ、そうね。生きて還れたもの……貴方と出会ったおかげで」
「……出会えて幸運だったのは俺の方だ」

 ……こいつらマジで何者なんだ。

「いれるね
hearts; ……ん、ふああうぅ
hearts;」
「ええい、どうにでもなれぇぇぇぇ!」












………







……

















「みなさん、こんにちは……わたしはいまぁ……みなみの……しまの……」

 何ということだ。普段素晴らしい笑顔をカメラに向けている元気娘のリッカちゃんが、今回に限ってはぐったりしている。当然と言えば当然だろう、寒冷地の魔物である彼女が熱帯のジャングルのど真ん中に入り込んだのだから。
 辺りにはツタや樹木が生い茂り、日本では見られない色鮮やかな花が咲き乱れている。太陽はサディスティックなまでに照りつけてくるし、湿度もやたらと高い。俺もすでに汗だくだ。ここへの道中でワニが日なたぼっこしているのを見かけもした。やはりこんな場所にリッカちゃんを連れてくるのは間違いだったのではないか……そんな考えが頭をよぎる。

 だが健気な彼女は今も使命を果たそうとしていた。緑に囲まれた大地に、湯気を立てて湧き出る温泉
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