夜も更け、店を閉めてリビングで一息つけるようになった頃、ヴァイスは咲夜に話しかけた。
「初日にしちゃ、なかなかの手際の良さだったな」
「皆さんから教えていただきましたから」
ありがとうございます。と付け加えてにこやかに微笑む。
「そうか。……話は変わるが、昼間にお前さん言ってたよな?神になる存在だ。と、あれはどういう意味だ?」
「…言葉通りの意味ですよ。私はいずれ神となる存在です」
「詳しく教えてくれ」
「九尾の狐というものをご存知ですか?」
「九尾の狐?」
「私聞いたことがあるわ。極東の地に現れし九つの尾を持つ狐、神に等しき力を持ち、その力は国を滅ぼし、また国を創る事が出来るほどのもの…と」
疲れて先に寝てしまったフィリアを寝室へ運んでいたシャリルが戻ってきた。
「またスケールのデカい話になったな」
「はい。私はその九尾の子孫なのです」
「本当なのか?」
咲夜は頷くと静かに語りだした。
「私の母…月(ゆえ)様は天狐と呼ばれ、神の遣いとして人間からも魔物からも崇められていました。そして、より人間との親睦をより深める為にと、結婚する事になりました。それが私の父…御薙 刹那(みなぎ せつな)様です。父は古来より魔物と縁のある桜乃杜(さくらのもり)神社で神主を生業としていた故、母を快く受け入れてくれました。そして二人の間に生まれたのが私です」
「神社って言うと…教会みたいなモンか」
「そうですね。ただ、教会と違う点は、祀っているものの中には動物や魔物もあるという点でしょうか。龍や狐、狗等を崇めていますので、極端な反魔は余りありません」
「なるほどな」
「父も母も強い力をお持ちなので、二人の力を受け継いだ私は、生まれた時から既に尻尾が3本ありました」
「確か…妖狐や稲荷は力の強さに比例して尻尾が増えるのよね?」
「えぇ。通常生まれた時は1本なのですが、3本であった事により、九尾の狐になる可能性がかなり高いのです」
「なるほどな。だが、単に年月を重ねれば良いってワケじゃないんだろ?修業とかで力をつけていくのか?」
「それもありますが…一番効率が良いのはアレですよ」
「アレって?」
アレとは何なのかわからずシャリルは聞き返す。
「貴女ならわかるでしょう?魔物にとって一番魔力を得られるものが何か」
「あー…そういう事ね」
先程までの真面目な表情は何処へやら、急ににこにこと微笑みながら咲夜はシャリルに言い、それを理解したシャリルもまたにこにこと微笑みだした。そして二人揃ってヴァイスへと視線を向ける。その視線を受けたヴァイスには、嫌な予感が走った。
「……おい、お前さん達何だその目は?まさか…」
「そう、そのまさかです♪」
「お、俺はやらんぞ?今日は疲れたからさっさと風呂入って寝たいんだ」
「「え〜っ!?」」
ヴァイスの抗議に揃って不満の声を上げる。
「やかましい。お前さん達、俺をバケモノか何かと勘違いしてないか?とにかく、今日はお前さん達もゆっくり休め」
ヴァイスは立ち上がるとリビングを出ようとする。
「どこ行くの?」
「風呂だ。言い忘れたが…入ってきたら今後しばらくはお預けだから覚悟しとけよ?」
最後にトドメの言葉を残して自室に戻っていった。
「釘刺されちゃったわね。今日は諦めるしかないかしら…」
「フフフ、まだ諦めるのは早いですよ?」
「え?どうするつもり?」
「任せて下さい、我に必勝の策有りです♪」
ヴァイスは風呂から戻ってくると、足早に寝室へと向かった。それを確認したシャリル達は風呂を済ませたりしてヴァイスが寝静まるのを待った。ヴァイスが寝室へ入ってから一時間が経った頃、咲夜が立ち上がりゆっくりて音を立てずに彼が寝ている寝室へと向かい始める。どうやら策を決行するらしい。シャリルも音を立てずに後に続いた。こっそりとドアを開けて中の様子を窺うと、微かだが寝息が聞こえてきた。どうやら完全に寝ている様だった。それを確認した咲夜は例の鈴を取り出し、腕のみを部屋に入れて鳴らし始める。
「これで彼の動きは封じました。後は寝込みを襲うだけです。起きても体は自由に動きませんからやりたい放題ですよ♪」
「なるほどね。その術はこういう事にも使えるのね」
「じゃあお楽しみと行きましょうか♪」
「ふふ、一度は私から攻めて見たかったのよね♪」
二人はそのまま寝室へ侵入した。
(んん…何だ?下半身がスースーするな…。それに、何か妙な感触が…)
ヴァイスは微睡みの中自分の身に何が起きているのか調べる為に起き上がろうとするが、体が一切動かない。
(な、何だ?金縛りか?)
異変に気付き、一気に意識が覚醒する。そして目のみを動かし、未だに違和
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録