対岸の茂みに隠れてから約5分くらい経過しただろうか、ジパングのものと思われる、白い上着と赤いロングスカートの様な服装で、頭に獣耳のついた長い銀髪の女が現れた。尻尾は確認出来ただけでも3本は確認できる。その様子を茂みの隙間から見る3人。女はどうやら何かを探している様だ。
「フィリア、あれはどっち?」
「うーん、遠くからじゃわかんない。だから気をつけるしかないかも…」
「よし…俺がコンタクトを取る。お前さん達はここに居ろ。シャリル、フィリアを頼むぞ」
銃に弾丸と魔力石を装填し、戦闘時に備える。
「ええ。気をつけてね」
「お兄ちゃん、無理はしないでね?」
「あぁ」
ヴァイスはフィリアの頭を軽く撫でると、移動を開始した。あくまでも自然を装い、橋を渡って近付いていく。その様子を2人は見守った。
「お前さん…こんな川辺で何してるんだ?」
橋を渡り女の背後まで来ると、ヴァイスはそのまま話しかける。すると彼女は背を向けたまま、静かに答えた。
「いえ、特に…」
「昨夜ここで行商人が何者かに襲われた。知っているか?」
「そうなんですか?物騒ですね」
「証言によると、ここで倒れていた人を介抱している時に襲われ食料品を奪われたらしい。その際に服を燃やされたみたいでな。青白い光が見えたと言っていたんだが、その焼け跡から恐らく炎だろうということになった」
「…………それで?」
「それでこの事件の容疑者として、色々な魔物が浮かび上がった。バフォメット、魔女、エキドナ、妖狐、稲荷等だ」
「理由はこうだ。まず1つ目は青白い炎。炎の魔法を扱う魔物は沢山いるが、これは高度な魔法となる為、扱える者は限られてくる。そして2つ目、襲われた後介抱していた人が突然いなくなったそうだ。そこにはただ流木があっただけ。恐らく幻を見せられたんだろう。その流木は丁度そこにあるヤツだ」
そう言って先程持ち上げて調べた流木を指差す。
「どうしてあの流木がそれだと断定出来るんです?」
「確かに流木は他にもいくつもある。コレだけじゃ証拠にはならない。……が、そこからあるものが発見された」
「あるもの……?」
ヴァイスは先程見つけた長い銀色の毛を取り出す。
「そう、それが3つ目。コレが決定的な証拠となった。この独特の色の変化と毛の長さ…。見た感じ恐らくお前さんの尻尾の毛だろう。幻を見せるための媒体として使ったんだろうな。後はお前さんの種族が妖狐か稲荷かという区別だったが、近付いただけでどっちかすぐに分かった。自分から放たれる力を隠そうともしないからな。お前さん、妖狐だな?」
「…確かに私は妖狐です。そしてそれが私の毛だとしましょう。ですがまだ証拠が不十分ですよ?」
「犯人は必ず犯行現場に再び訪れる。万が一自分が犯人だという証拠が残っていたら困るからな。それが今だったってワケだ」
「……フフ、なかなか侮れませんね。そうです、私が昨夜幻術にかけて襲いました」
「何故そんな事をした?」
「決まっているじゃありませんか。魔物として、欲しいものは奪うのは当然のこと。そうでしょう?」
「……反省の色は無さそうだな」
ヴァイスはため息をついて、帽子を被り直した。
「反省?戯言を…。私はいずれ神となる存在。反省などする必要がありません」
妖狐の手に青白い炎が浮かび上がる。
「神だと…?笑わせるな。お前さんの様な罪を罪だと思わないヤツが、神に成れるわけがない。罪を認めて出直しな」
ヴァイスも銃を構える。それが戦闘の合図となった。放たれる炎と魔力弾。互いのエネルギーがぶつかり爆発が起こる。ヴァイスは帽子を押さえながらバックステップで間合いを広げる。一瞬遅れて粉塵の中から炎のが次々と飛んでくる。ヴァイスはそれらを全て撃ち落としていく。次々と上がる爆炎の中から、妖狐が一気に間合いを詰めてきた。そのまま接近戦へと雪崩れ込む。流れるような拳と蹴りの応酬を彼は紙一重でかわしていく。反撃可能ではあったが、相手の動きを見極めるためにもかわすことに専念した。何故なら、万が一妖術に掛かった際に防戦一方にならない様にするためである。
「すばしっこいですねッ…!」
「なかなか良い動きだ。…だがその程度では俺は倒せん」
「なら、これならどうです…!」
妖狐は火の玉を複数出してヴァイス目掛けて放ちながら後退する。ヴァイスはそれを撃ち落として相殺、回避しながら相手の出方を見た。すると妖狐は何か紙の様なものを取り出し、己の尻尾の毛を抜いて呪文の様な言葉を紡ぎ始める。
「何をする気だ…?」
ヴァイスは己の得意とする間合いに移動すると隙を見せない様に身構える。詠唱が終わると妖狐はニヤリと笑みを浮かべながら毛と紙を纏めて燃やして落とす。すると煙が上がり彼女の隣に
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