「ここが、お前さんの新しい家だ。早速だが、一仕事頼むが良いか?」
「うん。フィリアがんばります!」
「よし、良い返事だ。じゃあシャリル、疲れてるところすまんが二人でホールの掃除をやってくれ。俺は酒の在庫を確認して持ってくる」
「はい、貴方」
そう言うとヴァイスは奥の酒蔵へと入っていった。
「じゃあフィリア、二人で頑張りましょう」
「うん」
二人は箒と塵取り、布巾を使って掃除を開始した。しばらくして、フィリアがシャリルに声を掛けた。
「ねぇ、お姉ちゃん。ここはお酒を飲むところなの?」
「うん。そうだよ。フィリアにはまだお酒は早いかな。だからフィリアにはお兄ちゃんがジュースを用意してくれるよ」
「うん。お料理とかは出すの?」
「そうね、私とお兄ちゃんとでお酒のおつまみを作るくらいかな?」
「んー、じゃあフィリアお料理作っても良い?」
「フィリアお料理出来るの?」
「うん。たっくさん作れるよ」
「そうねぇ。じゃあ後でお兄ちゃんに相談してみようか?」
「うん!」
二人が掃除を終えた頃、ヴァイスは酒瓶を詰めた荷台をカウンターへと持ってきた。
「ねぇお兄ちゃん」
「…フィリア。お兄ちゃんはやめろと…、まぁいい。どうした?掃除はちゃんと出来たか?」
「うん。お姉ちゃんと一緒にぴっかぴかにしたよ!」
「そうか、ご苦労さん。それでどうしたんだ?」
「あのね、フィリアお料理作ってお店に出したいんだけど、いい?」
「料理?何でまた」
「多分お店のお手伝いがしたいんだと思うの」
「お料理作って、みんなにおいしいって言って食べてもらうの!」
「なるほどな。なら…ちょっと今から何か作ってみてくれないか?何でも良い、お前さんの得意なものをひとつ作ってくれ。ちょっと遅いがそれを昼飯にしよう」
「うん、わかった!お兄ちゃんもきっとおいしいって言ってくれるよ!」
「自信満々だな。シャリル、フィリアを調理場へ連れてってやってくれ」
彼は念のために足場の代わりに椅子をシャリルに渡す。フィリアの身長ではあの調理場の台は高すぎると思ったからであった。
「はい、貴方。じゃあフィリア、行こうか」
「うん。待っててね、お兄ちゃん!」
「あぁ」
二人が調理場へ向かってからしばらくすると、良い香りが奥から流れてきた。ヴァイスは、これは期待できるかもな。と呟きながら完成を待った。
「お待たせしましたー。フィリア特製、ふわふわ玉子のオムライス。完成だよー!」
オムライスが三つ乗った台車を押しながら二人はホールに戻ってきた。
「ほう…、なかなか良い香りだ。形も綺麗で美味そうだ」
「すごいのよ?私も思わず感心しちゃったわ」
テーブルに次々とオムライスが並べられていく。アツアツの湯気が食欲をそそる。
「はいどうぞ、お兄ちゃん。召し上がれ!」
「じゃ、遠慮なく頂こう」
ヴァイスはスプーンで掬って一口食べた。中のチキンライスはあっさりした味付けにされていて鶏肉もちゃんと火が通っている。それを被う玉子も丁度良い半熟加減がふわっとした食感を醸し出していた。
「どう?おいしい?」
「……美味い。味付けといい玉子の食感といい文句無しだ。やるじゃないかフィリア」
「ということは…?」
「あぁ、新しいメニューとして取り入れよう」
「えへへ、やったぁ!」
「ふふ、良かったねフィリア。……うん、おいしい!」
「なら食べ終わったら買い物だな。沢山食材を買い込まないとな」
「ね、フィリア。他にはどんなものが作れるの?」
「んーとねー、ハンバーグでしょ?カレーライスに、パスタに、グラタン、ムニエルに…んー、とにかくいっぱい作れるよ!」
「何だか子供が好きそうなのが多いが…サラダやスープも作れるのか?」
「うん。デザートだって作れるよ〜。パフェとかケーキとか!」
「そこまで行くと酒場というよりはまるでレストランだな。まぁフィリアの負担も考えて、ある程度絞っていこうか」
「そうね、私も一緒に料理するからきっと大丈夫よ」
こうして三人で話し合った結果、パスタ、煮込みハンバーグ、オムライス、白身魚のムニエル、ポテトサラダ、海鮮サラダ、オニオンスープ、コーンスープ、フルーツを使った五種類のアイスをメニューに載せることにした。これでも二人だけで作るとなると大変なので、各限定20食という注意書きを一緒に記しておいた。
「じゃあこれから買い物へ行くが、結構買い込む事になりそうだな…。シャリル、頼めるか?」
「任せて。じゃあ先に外に出て周りに注意を促しておくね」
「俺は大きめの荷車を用意する。フィリアは袋や太めの紐なんかを用意してくれ」
「はーい。……ねぇお兄ちゃん?」
「何だ?」
「お姉ちゃんはどうしてみんなに
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