シャリルがこの街に住むようになってから数週間経ったある日、事件は起こった。警備隊の駐屯地に盗賊団が現れたとの報告が舞い込み、しばらくして訓練を行っていた彼女にも出動命令が下った。最初は苦戦していた警備隊ではあったが、シャリルが到着してからは形勢が一気に逆転、盗賊団は次々と捕らえられていった。リーダー格の男一人が乱戦の最中隙を見て逃げ出した様だったが、彼女はそれを見逃してはいなかった。隊員たちに後を任せると、高速で飛行しながら後を追いかけた。
「待て!この街で悪事を働く奴は私が許さない!大人しく縛につけ!」
「チッ、追いついて着やがったか…!捕まって堪るか、クソッ!」
必死で逃げる男は彼女に向かって発砲するが、シャリルはひらりとかわしながら追い詰める。
「無駄だ、そんなヘタクソな腕じゃ当たりもしない!」
「チキショウ…!ってうわあぁ!?」
彼女を警戒しながら走っていた為、男は石に躓き体勢を崩して地面に倒れこむ。
「今だッ!」
その隙を突いてシャリルが急降下する。これで勝負がついたと思われた。
「っ痛ぅ…!クソ、こうなりゃヤケだ!」
しかし男はたまたま近くを通りがかった少女を掻っ攫って、頭に銃口を押さえつけた。
「なっ!?貴様ッ…!」
シャリルは急停止し、そのまま降り立つことを余儀無くされた。下手に動いては少女の命に係わる。
「形勢逆転だな。…おっと、動くんじゃねぇぞ?コイツの命がどうなっても良いのか?」
「ひっ…!」
少女はあまりの恐怖に涙目になり、体を強張らせる。男のあまりにも卑怯な行動に怒りを露にするシャリル。
「この下衆め…!」
「何とでも言え。じゃあズラからせてもらうぜ」
男は銃口を突きつけたまま、まるで少女を盾にするかのようにして逃げ出そうとする。
「……そいつは出来ねぇ相談だな」
「何!?誰dぐはぁッ…!」
男の背後から別の男の声がしたかと思うと、突然男は横から顔を殴られよろめき、その衝撃で少女を抱えていた腕を緩める。その隙を突いて背後にいた男―ヴァイス―は少女を救い出した。
「貴方!」
「騒がしいと思って来てみれば…こんな小さな子を盾にするとは、情けねぇ男だ」
「テメェ…何モンだ…!」
「お前さんの様なヤツに名乗る名前なんて持ち合わせちゃいねぇよ」
「な…なんだと!舐めやがって!」
男は怒り狂って彼に銃口を向けるが、彼は瞬時にその銃を蹴り飛ばし、己の持つ銃を男に向ける。
「相手に銃を向けるって事は、それなりの覚悟があったんだよな?」
「か、覚悟って…な、何だよそれ…!?」
男は両手を上げながら徐々に後退りしていく。その姿にヴァイスは深くため息をついた。
「……お前さんには銃を持つ資格がない。そして…」
ゆっくり銃を下ろすと、男の顔側面を思い切り蹴り飛ばした。男は声を出す暇もなく、まるで石が水切りするかの様に体が跳ね、数メートル先まで吹き飛んで倒れた。
「銃を向ける価値もな」
帽子を被り直して、倒れている男に向かってそう呟いた。
「さっすが貴方!カッコイイ〜!!///」
決着が付くや否や、シャリルは自分の仕事も忘れて彼に抱きついた。しかもこの騒ぎで集まっていた人の目も憚らずに。
「シャリル、抱きつくのは構わんが時と場合を考えろ。お前さんの仕事はまだ終わってないだろ?ヤツが失神してる間に拘束して連れて行け。俺もこの子を連れて一緒に行ってやるから」
「…はーい」
少々不貞腐れながらも、シャリルは気絶している男を拘束し始める。
「全く、スマートに仕事をこなすまでまだまだ道は遠いな。……嬢ちゃん、大丈夫だったか?」
「ふ…ふぇええええぇぇん!こわかったよぉ〜!!」
ヴァイスは少女の目線に合わせてしゃがんで頭を撫でた。すると少女は安心して緊張が解けたのか、泣き出してしまった。
「よしよし、もう安心だからな」
ヴァイスは抱きかかえて背中をぽんぽんと叩きながら少女をあやす。その様子をシャリルは「良いなー…」と呟きながら指を咥えて見ていた。それに気付いたヴァイスは彼女に「仕事が済んだらな」というと、彼女の表情はぱあっと明るくなった。
「ご苦労様です、シャリル殿!」
駐屯地へ戻ると隊員達が彼女に敬礼する。
「あぁ。盗賊団のリーダーはこの通り捕縛してきた」
「流石はシャリル殿。先程他のメンバーも全て牢に収容を完了させました」
「ご苦労様。この男も牢に放り込んでおいてくれ」
「はっ、了解しました!」
そう言って隊員の一人に男を預けると、シャリルは司令部へヴァイス達を案内する。この時ヴァイスは、彼女の働きっぷりを見て感心し、すっかり馴染んでいることに安堵した。
司令室の前に到着し、シャリルは軽くノックをする。
「失礼します。シャリ
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