のどかな日常

ここは親魔国『ミスティア』にある街の孤児院『ひまわり園』。戦争で親を亡くした子ども達があるひとりの男と共に暮らしている。

「おーら、起きろテメェら。朝飯の時間だぞー」

目つきの悪い青年がフライパンとおたまを手に部屋に入ってくる。そこには小さな子ども達が10人、一緒になって眠っていた。男はフライパンの底をおたまで叩く。

「う〜…あとごふん〜…」

「うるさ〜い…」

「あたまにひびく〜…」

子ども達は耳を押さえながらもぞもぞと毛布の中へ潜っていく。

「ほーら起きろ!早くしねーとテメェらの飯、俺が全部食っちまうぞ」

「だ、だめー!ごはん食べる〜!」

「おなかすいたー」

「今日のあさごはんなに〜?」

朝食が無くなるかもという危機に子ども達は毛布から這いだしてくる。皆それぞれ変わった姿―魔物―であった。

「今日の朝飯はジパング風に白米・焼き魚・味噌汁・漬け物だ」

「私つけものきらーい」

「好き嫌いするな。大きくなれないぞ?ちょっとずつでも良いから頑張って食え。それでも無理なら俺が食う」

「うー、わかったぁ」

駄々をこねる子を諭すと、着替えてから早く来いよと伝え、男は部屋のドアを閉めた。

先にダイニングルームへ戻ってきて子ども達を待つ。しばらくして一人目がやってきた。

「おにいちゃん、おはよーございますっ!」

元気に挨拶してきたのはアリスの少女。水色をベースとしたひらひらのエプロンドレスが特徴である。そして、男がこのひまわり園を開くきっかけとなった子である。

「はい、おはようさん。お前が一番目だなリリア。けど、おにいちゃんじゃなくて『コウマ先生』だ。わかったか?」

「はいっ、おにいちゃんせんせー!」

「いや、だから……あー、まぁいいや。とりあえず食器をトレイに乗せて持って来い。入れてやるから」

「はーい」

リリアは自分の席に置いてある食器一式をトレイに乗せて持ってくる。コウマはそれを受け取ると、手早く料理を乗せていく。

「飯の量はこのくらいか?」

ご飯をよそってその量を見せる。

「うーん、多いから少し減らして?」

「はいよ。こんなもんか?」

ご飯の量を少し減らして再び見せる。

「うん。ありがとう、おにいちゃん」

「落とさないように気をつけて戻れよ?」

「はーい」

リリアがゆっくり自分の席へと戻っていくのを確認したところで、わいわいと賑やかに他の子ども達が入ってきた。

「遅いぞテメェら。ほら、順番に食器持って来い」

『はーい』

揃って返事をする子ども達。だが、コウマは一人居ない事に気付いた。

「……ん?セシルがいねぇ。おい、誰か知らねぇか?」

「まだ寝てたよー?セシルちゃんヴァンパイアだから朝は苦手みたい」

「やれやれ。仕方ねぇ」

コウマはそう言うと床に手を当てる。すると魔法陣が展開される。ゆっくりと手を離して立ち上がると、魔法陣から青いオーラを纏った大きなシャチが顔を出した。

「スパイク、ちょっとセシルを連れてきてくれ」

スパイクと呼ばれたシャチは頭を縦に動かして頷くと、まるで海の中に居るように床を泳いでいく。

「じゃあセシルはスパイクに任せて、先に配るぞ」












全員分の配膳が済んだ頃、スパイクが戻ってきた。

「どうだ?セシルは起きたか?」

その言葉にスパイクは口をガバッと開けるとその中にセシルが居た。しかも未だ寝ている。コウマは喰われてるのに眠っているセシルの眠りの深さというか、神経の図太さに呆れつつ思った。コイツは大物になるなと。

「おーいセシル。朝飯の時間だから起きろー?」

コウマはぺちぺちと頬を叩いて起こす。

「う〜ん…。ふわぁ…あら、先生。おはようございます」

「はい、おはようさん。もう朝飯の時間だ。皆腹空かせて待ってるぞ」

「わかりましたわ…」

未だ寝ぼけまなこを擦りながら何とか自分の席につく。朝食は危なっかしいとの理由でコウマが持って行った。

「それじゃあ、いただきます」

『いただきます!』

コウマの号令に元気良く応える子ども達。そして思い思いに食べ始めた。

「残さず食えよー?まぁ、どうしても食えなくなったら俺やスパイクが食うから」

『はーい』

「ねーねーセンセっセンセっ!」

「んあ?」

セイレーンの少女が手を上げて話を聞いてくれとアピールする。

「どうしたルキノ?ってお前口元にご飯粒ついてんぞ…」

「おおう!」

ルキノと呼ばれたセイレーンの少女は慌ててご飯粒をとって食べる。

「で、何だ?」

「るーちゃん前々から気になってたんだけど、スパイ君って手がないのにどーやってご飯食べてるの?」

顔のみを外に出しているスパイクを指差して訊ねる。

「俺は人の手みたいに動くお前の翼の方が気に
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