「……クソッ!何処だ!?」
瓦礫の山と化した拠点で何かを探すジャックは苛立ちから悪態をつく。彼が探しているのは『魔王の血』と呼ばれる膨大な魔力を有する紅い宝石の欠片である。元々は一つの宝石であったが、国家の軍事部によって複数に砕かれ、各地域の拠点の一部に振り分けられた。
「……!見つけた!!」
捜索から三十分程が経過した頃、小型の魔力探知機に反応があった。欠片といえど普通の魔力石の何倍ものエネルギーを持っている魔王の血。しかし国は隠蔽する為に魔力の放出をカットするクリアケースで封じ込んでいるので探すのは難しい。唯一の救いは、通常の魔力石とは違う特殊な波長である為、僅かながらに漏れている事があるということである。今回は今までよりも多量(と言っても針の振れが2メモリ大きいだけ)に漏れていたので、短時間の捜索で済んだ。
「これで4つ目。後3つか…」
欠片を回収するとジャックは大きく深呼吸し、空を仰いだ。空には月が煌々と輝いている。高さから言って深夜一時と言ったところか。
「さて…と、どこで野宿するかね」
ジャックはそう呟いてその場を後にした。
拠点跡から歩くこと数分。ジャックの前には墓地が広がっていた。先程は戦闘と欠片探しで気付かなかったが、どうやら拠点はこの墓地の近くに建てられていた様だ。ジャックの額に冷や汗が浮かぶ。
「げっ、墓地…かよ」
ジャックは思わず後退りした。そう、彼は幽霊…お化けが昔から大の苦手なのである。
「……そういや、魔力と魂の結び付きで出来るんだっけか…アレ」
ジャックのいうアレとはまさしくお化けの事である。人間、皮肉な事に嫌いなものほどそれに対して妙に知識があったりする。例えば黒光りした平たい体で、暗く狭い隙間に身を潜め、高速で走り回る昆虫の様に。
「……まさか、コイツの魔力を吸収してたりしねェだろうな?」
先程回収した魔王の血の欠片を見やる。いつにも増して紅々と妖しく輝いている様に感じられる。ジャックは何故かそんな気がした。
「な、んなわけねェよな…。ハハ…」
まるで自分に言い聞かせるように口に出す。ジャックが踵を返し離れようとした瞬間、生温い風がジャックの体を吹き抜けていく。
(…ヤベェ。コイツはマジでヤベェ。嫌な感じがする)
恐る恐る振り返ると、墓地の奥の方でうっすらと青白い光が一瞬ゆらっと見えた気がした。
「………!!」
危険を察知したジャックはその場から逃げるように退散した。
「…ゼェ…ゼェ。マジかよ…。あー全く、嫌なモン見ちまったぜ…」
ジャックは無理矢理呼吸を調えながら額に浮かぶ汗を拭う。
「嫌なモンってなーにー?」
「はぁ?そりゃアレだよ。墓場に出て来るアレだよアレ。………………って待て。誰だ?」
「私?」
「そ、そうだよ。隠れてねェで姿見せやがれ!」
周りを見回しても誰も居ない。もう最悪な状況しか思い浮かばない。
「私はねぇ……」
声の主は楽しそうにもったいぶった言い方をする。
「じゃじゃーん!ゴーストのプリムでーす!ブイッ☆」
ウインクした目元でVサインをして決めポーズ☆と言わんばかりに姿を現した。ジャックの腹から突き抜けて。
「…………!!」
ジャックは腹から顔を見せる半透明な少女に声にならない悲鳴を上げた。
「コワイ?ねぇコワイ?キャハハハ☆」
ゴーストの少女―プリム―は無邪気に笑いながらジャックの周りをくるくると浮遊する。するとジャックはわなわなと震えながらブツブツと何かを呟き始めた。
「こ……」
「こ?」
「こっち来んじゃねェー!」
恐怖で錯乱したジャックはケーニッヒをブンブンと振り回して暴れ始める。
「きゃ〜、こわーい!斬り殺されちゃう〜!」
プリムはというとそれをかわしながらジャックをからかっていた。もちろん斬撃を受けたとしても実体がないのですり抜けるわけだが。
「クソッ!お化けなんか……お化けなんか…………大ッッッッ嫌いだァァァーーーッ!」
ジャックは大声で叫び、フルパワーでケーニッヒを地面に向かって振り下ろした。すると轟音と共に地面が抉れ巨大なクレーターが出来上がった。
「ゼェ…ハァ…ゼェ…ハァ…!」
「すごいすごーい☆」
そのクレーターを見ながら彼女は拍手する。そしてジャックを見やりある決意をした。
「んー、強くてカッコ良いいけど、おちゃめでカワイイところもあって…うん、合格!」
「はぁ?…な、何だよ?合格って……」
「今日からアナタは私のお兄様よ。よろしくね、お兄様。チュッ♪」
スッと近寄りジャックの頬にキスをするプリム。もちろん触れられるわけが無いので実際には動作だけなのだが。
「……………」
しかし、ジャックにはショックが大きすぎたのか、ケーニッヒを手放
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