さぁて、今日も今日とて釣り日和
他にする事もないのでさっさと川に向かおう
………働いていないワケではなく、それが自分の仕事なんです……多分……
釣り道具を担ぎ、森を歩く
一応川には着いてはいるのだが、上流の方が量と質が良いのでいつも適当なところまで上っている
今日はいつもと違ってもっともっと上ってみようかな
向こう岸に行けばもう少し上りやすそうだ
ちょうど、川の間に向こう岸に渡れやすそうに石が並んでいるので、それを使って渡ることにしよう
一つ目と二つ目はひょいひょいと簡単に渡れたが、三つ目に足を乗せたときに足が滑って転びそうになった
なんとか持ちこたえて、次の石に飛びうつったけど
その時、俺は気がつかなかった
自分が踏んだのは石ではなかったことと、歩いている俺を見ている視線に
おそらく源泉だと思われる泉に辿りついた
今まで来たことはなかったが、魚が泳いでいる姿がちらほら見えるので、結構釣れるだろう
適当な石に腰を降ろし、釣り糸を垂らす
やっぱり釣りはこういう静かなところでするのがいいね
あまりにものどかだったので半分意識なくなっているような状態で釣竿をにぎっていると、急に引っ張られるような感じがした
来た、と思い竿を思いっきり引っ張る
今までにないくらい引きが強いので、もしかしたらここのヌシかもしれない
もしそうだったのならこのまま釣り上げて、村の皆と食べる事にしよう
さぁ…だんだんと引きが弱くなってきた
一気に……釣り上げるっ!……
ザパァ スタッ
川から釣り上げたものは魚ではなく人の形をしていて、俺の後ろに着地をした
後ろ姿で分かる、こいつは人間じゃない
川から出てきた、という時点でその可能性は消えるが
魚の尾ひれのような尻尾、水かきの付いている魚のような異形の手足
この二つの点でも彼女が魔物だという事が分かる
一応、うちの村は魔物に関しては寛容なので、特に偏見はないが、釣り上げてしまうとは少し悪い事をしてしまった
彼女はゆっくりとこちらに向くとびしょびしょになっている髪の毛に釣り針が絡まっている
そして不機嫌そうな視線を俺に浴びせ
「………許さない」
そう呟いた
どうやら怒らせてしまったようだ
これは一方的に俺が悪い
と、とりあえず彼女の髪に絡まっている釣り針を取ってあげよう
「俺が悪かった、とりあえずアンタも痛いだろうからその針を取ってやるな」
そう言って、彼女の髪の毛に絡まってしまっている釣り針を取り始める
自分では取りにくいのだろうか、それとも俺にやらせているのか、彼女は自分で取ろうとはしない
そして、俺が彼女に刺さらないように注意しながら針を取っている間、先ほどとまったく同じ不機嫌そうな目でこちらを睨んでいる
少し苦戦しながら彼女から針を取ると
「………絶対に許さない」
「………いきなり頭を踏まれた、棲家の魚を取ろうとした、釣り針を髪に引っ掛けた」
最初の一つは身に覚えが無いが、とにかく俺が完全に悪い
かなり怒っているようなので、どうやったら許してもらえるか、とりあえず土下座をしながら考える
こんなことでは許してもらえないのは分かっているが、とりあえずは謝罪の意を相手に伝えるためにやっている
俺は彼女にゴミを見るような目で睨まれながら、悩んでいると
ザパァ スタッ
増えた
新しい方は、俺の右側に回り、同じように俺を睨みつけてきた
彼女は最初に現れた方とは違い、体に纏っている鱗が赤く、胸が2カップ分ほど大きい
「………私もお前を許さない」
「………私が取ろうとした魚を釣った、私の妹を踏みつけた」
お姉さんでしたか
……結構好みだな
横目に姉の方を土下座しながら横目で視姦していると
ザパァ スタッ
また増えた
今度は俺の左側に回り込んで、睨みつけてくる
鱗は白色で、逆にペッタンコ、というか幼い感じである
「………………」
何か喋れよ
多分こいつはこの二人の妹であろう、ロリだし
にしても、どうしようこの状況
無言で睨まれている威圧感がヤバイ
土下座の体勢のまま三人を窺っていると
「「「………反省の色が無さそうだから償ってもらう」」」
三人同時に綺麗にハモって言った
償うって何をすれば良いんだよ……
ていうか、末っ子喋ったな
そんなことを思っていると、サハギン姉妹は俺に近づいてくる
何か、とてつもなくヤバい気がする
しかし、後ろは泉、残りは三人娘に封鎖されている
仮に後ろに飛び込んだとしても、相手が相手なので余計にマズイ気がする
そうこうしている内に段々と近づいてきて
俺が、顔
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