あぁ、ついに結婚式だ……
できちゃった婚ばりの勢いで結婚することになったけれども、彼女が来たのも唐突だし結婚するのも唐突でいいんじゃないかな、なんておもっていたりする
着慣れない服を着て、新婦であるクランを待つ
式の本番までクランは恥ずかしいからといってドレス姿を見せてくれなかったので楽しみだ
実はプロポーズをして(された?)からまだ一週間も経っていない
式場に関しては、叔父さんが僕がクランと出会ってすぐにいつでも僕達の式が開けるようにキープしていたらしい
神官の人は近くに住んでいるクランの妹(堕天はまだしていないらしい)がしてくれるそうだ
僕は元々知り合いが少ないし、クランもこちらに来てからまだ日が浅いので知り合いは少ない(それでも僕よりは多いそうだ)らしい
なので招待する予定だった人たちはみんな口をそろえて『善は急げというじゃないか』と言い、今日に式が開かれることになった
……指輪を作ってくれたドワーフは『マジで結婚する事になったのか』と大爆笑していたので、とりあえず彼女の夫に虜の果実を食べさせておいた
「ジャノさん……どうですか…?」
いつの間にやらクランが僕のそばに立っていた
クランのドレス姿は……とても綺麗だ……
もはや神々しくも見える
見る人が見たら『いつものワンピースを長くしただけじゃね?』というかもしれないが、逆にそれが美しい
まるで芸術作品のようなクランの姿に僕は思わず見惚れていた
「………あぁ……とてもよく似合っているよ……」
「ふふ、見惚れてたんですねわかります」
そう言ってくすくすと笑うしぐさもまたきれいだった
……こんな綺麗な女性を嫁にできるなんてなんて僕は幸せ者なんだろう
クランに出会う前はこんな気持ちになるとは思わなかったな……
「クラン……僕は今、とても幸せな気分だよ……」
「私もですよ……」
そう言ってキスをしそうになって……
「おっと、誓いの前にキスをしてしまうところでしたね」
彼女がさっと僕から体を離す
すこし寂しいけど、まぁ仕方が無いのかな?
『それでは新郎新婦のご入場です』
クランの妹の声がでクランと一緒に歩き出す
来てくれている人数の割にはとても大きな拍手で迎えられ、ゆっくりと歩く
ちらりと見えたが、叔父さんが大号泣してくれているようだ
親の代わりになってくれていた人なので、とても嬉しい
数少ない友人たちも祝福してくれているようだ
クランの友人だと思わしき人たちがクランのウエディング姿を褒めたりする声も聞こえてくる
みんなが祝福してくれる嬉しさをかみ締めながら進み、クランの妹の前で止まる
『えと、それでは始めますよ』
彼女が次の言葉を発しようとしたその時、彼女の後ろにあった女神の像が動き出した
式場全体がざわつき、僕とクラン、もちろんその妹も目を丸くしている
《驚かせてごめんねぇ、私は下界に降りることが出来ないからこんな姿で現れるしかなかったのよぉ》
《私はこの新婦であるクランと神官をやってる子の母親よ、ここからは私が進行をさせてもらうわね》
《ダリアちゃんお仕事取っちゃうけど許してね☆》
……確かにクランから聞いていた通りめちゃくちゃな性格をしている
しかし、愛の女神直々に式を行ってもらえる夫婦なんてそういないだろう
『……お母様がそういうのなら仕方がありません、お願いします』
「……僕としても別に構わないよ」
「私も大丈夫です」
《へー、クランから聞いたとおりなかなかかっこいいじゃない》
《直接会うのは初めてね、ジャノくん》
《あなたはクランに幸せにしてもらったのだから、今度はあなたが彼女を幸せにしてあげてちょうだい》
《母親としてはこれだけ言っておくわね、次は式を進めるからしゃんとしなさい》
彼女に言われ、クランと僕は彼女が登場する前のような形にもどった
《えと、めんどくさいから細かいとこはとばすわね》
………それで大丈夫なのか愛の女神様
《新郎ジャノは新婦クランを妻と迎え、永遠に愛することを誓うか?》
「誓います」
《新婦クランは新郎ジャノを夫とし、支え続けることを誓うか?》
「誓います」
《では誓いのキスを》
……かなり大雑把だった気がするけどまぁいいや
体を一歩前に進めクランの近くに寄る
クランも同じように近づいてくる
そして唇に軽いキスをした
《えー、それだけなのー、どうせなら本番中にするやつみたいに口の中に舌突っ込んで貪っちゃいなさいよ〜》
お義母さん自重してください
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