俺は雨なんて嫌いだ
雨が降ると『あの時』を思い出す上に『あの時』の夢まで見ちまう
まったく忌々しい
俺の名前はエルムズ=グラム
今でこそそれなりに立派な館に住んでるが田舎の村の出身者だ
基本的にはギルドから出される依頼をこなして暮らしている
この館は親魔物派の貴族の依頼をこなしたときに報酬でもらったものだ
使ってないからってもらった時は驚いたが
そこまで大きくないとはいえそれでも結構な大きさの館を一人で管理するのは難しいから何人かの使用人を雇ってみたが
全員が魔物のサキュバスの上、全員が俺が知っているやつだし、さらにはしょっちゅう俺を誘惑しようとしてきやがる
「ご主人様、コーヒーを淹れてきました」
「おう、ありがとう」
このメイド服を着た俺にコーヒーを淹れてくれたサキュバスは、俺が使用人を募集したときに最初に来たやつで知っていたやつAである
名前はセリス=サリアル
基本的に俺の言うことは聞いてくれるしこいつの淹れるコーヒーはうまいが、たまにコーヒーに媚薬を混ぜたりするのが残念なやつだ
「今回は変なものは混ぜてないみたいだな・・・相変わらずうまい」
「変なものじゃありませんよ、バフォ様印の媚薬ですよ」
「変なものだろうが、そんなもん混ぜんなよ・・・」
「だってご主人様私を抱いてくれないんですもの、それぐらいはしてもいいじゃないですか」
「おまえがどう考えようが俺は今のところはおまえを抱くつもりはねぇよ」
頬を膨らませて怒る姿が少しかわいいなと思ったのは内緒だ
こいつと知り合ったのも仕事の関係で、反魔物派の街で捕まってしまった魔物を助け出す依頼をやった時、処刑される寸前で助けてやったのが最初の出会いだ
その時の俺はセリス曰く「ヒーローみたいですごくかっこよかったです」だそうだ
その時からなぜかは知らないがセリスにご主人様って呼ばれている
「そういえばご主人様、スーちゃんが呼んでましたよ」
「そうか、じゃあいってくるぜ、コーヒーうまかったぞ」
「ご主人様はなんだかんだいっても優しいですね」
セリスがなにか言ってたみたいだがよく聞こえなかった
まぁあいつのことだからたいしたことじゃないだろう
自室から出た俺はそう思いながらリビングに向かうと中ではセリスとは別のサキュバスが掃除をしていた
「スカー、俺を呼んでたらしいがなにか用か?」
「いえちょっと、お湯が入ったから知らせようと思っただけよ」
「おおそうか、じゃあさっそく入らしてもらうぜ」
「背中流してあげましょうか?」
「そう言って昨日背中を洗いながら尻尾で俺を掘ろうとしたくせに」
「あら?そうだったかしら」
俺がスカーと呼んだ胸などが強調されるようになっているセラスより扇情的なメイド服を着たサキュバスは仕事はちゃんとするが、一番俺を誘惑してくるのでやっかいだ
名前はスカーレット=アルシア
こいつとは、仕事を終わらせた後いつも通りに酒場で静かに酒を飲んでいたらこいつが酔っ払いにからまれていて、その酔っ払いがあまりにもうるさかったので、助けてやったのが最初だ
それ以来よく会うようになったがまさか使用人になるとは俺は思わなかった
「大丈夫ですか?」
「ん?なにがだ?」
「いえ・・・・なんでもないわ・・・」
「まぁ、つーことで入らせてもらうぜ」
まったく優しいやつだ
リビングから離れて脱衣所で服をすべて脱いだ後それなりに大きい(といっても一般の家の何倍もある)浴場に入る
湯船から外の景色を楽しめるように大きなガラスがあるが、今の俺にとってはただひたすらに気に食わない
雨が降っている外を映している窓をそんな風に思いながら体を洗い終えると誰かが入ってきた
スカーが入ってきてまた俺を掘ろうとしたのかと思ってぞっとしたが別のやつだった
「あれ?主様が入ってたんですか?」
「おまえ・・・脱衣所の服を見ればわかるだろう・・・」
「そんなことより主様、買い物に行ってびしょびしょに濡れてしまったからその逞しい物で暖めてくれませんか?」
「体ぐらいなら洗ってやるが、暖まりたいならそこに湯船があるから入ってろ」
この他のやつより小振りの胸ですこしジパング風な喋り方をするサキュバス値切り交渉術はすごいが少しぬけてるところがかわいいやつだ
名前はクサナギ・レン
名前や喋り方からわかるがジパング出身だ、こいつの父親が元は冒険者で、大陸を旅していた時に母親に出会って、ジパングに戻った時あたりに妊娠して、そのままジパングで育てられたらしい
こいつ
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