魔物使いの日記

サクラの月3日
今日はまだ目的地への道中の為、野宿
魔物使いギルド影響が無い地域だと街ですら宿が取れない事も多いのでもはや慣れたものだ
寝る時はウルフのブランカが体を寄せて来る事が多いので寒い日でも平気なのである


サクラの月5日
昨晩、サキュバスのリリィシアにチャームをかけられた上でかなり搾り取られたので移動が辛かった
一番付き合いが長い、というか魔物使いになる前から散々搾り取ってきているので加減は分かってくれてはいるがそれでもキツイものはキツイ
体調が悪いと背中に乗せてくれるブランカもこういう日は不機嫌になって絶対に乗せてくれないのでどうしようもない


サクラの月7日
依頼である盗賊退治はあっさり終わってしまった
エメラルダ……熊より少し大きいぐらいの若いドラゴンを見て腰を抜かしたり戦意喪失する者が多かったからだ
話してみると気のいい子なのにね


サクラの月9日
依頼者である村の村長に報告に行ったら手厚くもてなしてもらってしまった
美味しい食事に楽しい酒の席
ブランカは村の子供達と遊んでいてお互い楽しそうにしていた、やっぱり普段は大きいだけで犬とあんまり変わらないと思う
エメラルダは村長や村の知識人達と色々話していた、若いと行っても人間によりは長く生きているので何か教えていたのだろう
リリィシアは若い衆に声を掛けられていたにもかかわらず自分にべったりだった、見た目に反して義理堅いとは思うけれどもこの後また搾り取られそうで怖い


サクラの月11日
少しとは言え村でゆっくりさせてもらったので次の依頼のために移動を始めた
魔物退治らしいけれど、分かってくれる相手なら良いなぁと思う
ギルドの面々や教団関係者にはあまり良い顔はされないが、仲魔になってくれなさそうな子でも手をかけるのは心苦しいのだ
やらねばならぬ時はやるし、あまり綺麗事を言うつもりはないがいつか魔物と人間が手を取り合える世界になればいいのに
仲魔達を労いつつ今日は寝るとしよう


サクラの月14日
問題無く次の村に行けると思っていたのだが、そうはいかなかった
そろそろ野宿の準備でもしようかというぐらいのタイミングで勇者様御一行に遭遇してしまった
魔物使いという職業の都合上よくある話なのだが、自分が魔物に捕らわれていると勘違いされて仲魔達に襲いかかってきたのである
大きな怪我もなく退け、勘違いであることに気がつき謝罪と付いた傷も回復魔法で治癒してもらったのでまだ良かった
相手によっては逃げまどう羽目になったり、勘違いしたまま逃げられて後で酷い目にあう事もあるからだ
……地道に魔物使いギルドの知名度も上げていかないとなぁ


サクラの月16日
景色がきれいなのどかな村
まだまだ先だろうけれども隠居することになったらこんな場所で仲魔とのんびり暮らしたいと思う
今日は到着した時点で行動するには遅い時間だったので明日から件の魔物についての聞き込みと調査を始めるつもりだ
宿屋に入れないエメラルダと村の特産品のお酒を飲んだら早めに休もうと思う


サクラの月17日
魔物を連れている故に村人達からの視線が痛かったり、よろしくない態度を取られる事があったものの対象の魔物について必要な情報は集まった
被害としては夜間に果樹が荒らされている事があり、痕跡などから魔物と判断したそうだがそこまで酷くないようで勇者や軍を呼ぶほどでもないので報酬が安くて済むうちのギルドに依頼が降りたそうな
実際の現場を見て見る限り果樹園の外に近い数本だけが折れそうに傾いており果実が雑に齧られた様な跡が付いていた
太い棒のような物が突き刺さったような足跡、何か重たいものにのしかかられたように傾いている果樹、目的の物のみを食べて住処のありそうな森の方へ足跡が続いていることからなんとなくアタリはつけれる
細かい分類までは見てみるまでは分からないがおそらくソルジャービートルだろう
巡回ルートが一定にしかも森林内になりやすい習性の彼らがここまで出てくる理由と被害のあった果樹の少なさが少々疑問だが他の魔物に出くわさなければ特に問題の無い相手である
道具の準備と仲魔のスキンシップだけを怠らず明日行動に移すつもりだ


サクラの月19日
少々想定外の事が起きた
足跡を辿り森の中を探索するとモソモソと果実を食べている少し小柄のシールドビートルが簡単に見つかった
さぁ戦闘に入ろうかと言う所で被害者の子供である小さな男の子がビートルを庇ったのだ
流石に戦闘に巻き込むわけにもいかず、何か事情があるのだろうと思い、ブレスを吐きかけているエメラルダや牙を剥いているブランカをなんとか抑えた
話を聞くところによるとどうやら以前に森に入ったこの子が見つけたこのビートルに家で育てている果物を与えた所、気に入られてシールドビートルとして守るべ
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