僕の師匠

僕の師匠は錬金術師です
多くの物や薬を作り出して生計を立てています
だけどちょっぴり気難しくて、あまり他人と関わろうとしないので取引やら材料の調達は僕が担当していますね
僕が弟子入りする前は……依頼のことを忘れてしまっていたり、今ある材料の在庫も把握していない状態だったようです

師匠はバフォメットですが、さっき言った通り気難しくて眷属のファミリアも居なければ自分のサバトも持っていません
仲のいい友人は何人かは居るみたいですけれども、滅多に顔を見ないですね

何故そんな彼女が僕を弟子にとったか、簡単な話です
その時に彼女の気分が良かったっていうのもありますけれど、彼女も魔物娘だからですよ

他人との交流は面倒だし、自分は錬金術の知識を広げていたい、だけどまぁ人肌が恋しくなったり精が無性に欲しくなる時が少なからずあったようです
そんな中、若い男の僕が「ずっと貴女にあこがれていました、弟子にしてください」と訪ねた所「別に構わんが身体で代償を払ってもらうぞ」の二つ返事ですよ
当時の僕は「身体で払う……家事や手伝いでもすればいいのかな?」なんてのんきなことを考えて快諾してしまったのでそのまま襲われちゃいましたね
いやぁ、家事や仕事の手伝いも結局していますが

元々僕が錬金術師になろうと思ったのは、幼い頃に師匠が昔知り合いを通じて出した錬金術に関する本を読んだからです

「様々な物には可能性がある、それを確かめていくのが錬金術じゃ」

本の内容は当時の自分には難しいことばかりでしたが、冒頭に書いてあった彼女の言葉に惹かれ、その道を志したのです
何度も、何年も読み返して少しボロボロになってしまいましたが、今でも僕の大切な宝物の一冊ですね
そこからは他にも何冊も本を読んで……色々な実験を試して……そろそろ親元を出て自分で稼がなきゃなと考える歳になった時、知り合いの商人から「お前が大事している本を書いたバフォメット、俺の取引先の知り合いみたいだが、会ってみるか?」と言われました

今までの僕の人生の道を引いた方であり、知識の源でもある方に会えるなんてと大喜びでしたね
その時は会うだけでも、あの本を書いてくれたお礼を言うだけでもと思っていましたが
その取引先に自分が彼女に会いたがっていると言う事を伝えてもらうまで、彼女の居場所を教えてもらうまでの間に大好きな錬金術に手がつかなくなるぐらい色々な事を考えました
そして出た結論は「彼女の弟子になりたい、彼女の元で知識を広げていきたい」と言うものでした
迷惑だろうけれど、断られても承諾されるまで食い下がろうという覚悟を決めて家を出ましたがすんなりと受け入れてしまいましたね

僕の師匠はとても優秀な錬金術師ではありますが、魔物娘ですね
栗色の髪はとても綺麗ですし、童顔にかけている眼鏡はとても似合ってて、幼い体にダボダボに着ている白衣はとても魅力的です
休憩しているときや、僕が書類を作っている時なんかは急に「抱かせろ」の一言だけ言って僕に襲い掛かってくる時が多々あります
飲み物や食事に出来た薬を盛ったり、僕を完成したマジックアイテムの実験台にして自分を襲わせるなんて事も日常茶飯氏です
普段は「わしのことはなんと呼んでいても構わん」と言うから師匠と呼んでいますが、彼女に抱かれている、一服盛られて彼女に襲いかかっている時は名前で呼ばれたがるとっても可愛い方です

僕の師匠は面倒くさがり屋です
何かを調合している時、僕にものを教えている時はドキドキしてしまうときもあるぐらい真剣な表情を浮かべてモフモフな手を精密に動かしたり的確な指示を出してくれますが、それ以外の時はとても面倒くさがり屋です
僕が整理しないと書斎や研究室はグチャグチャになってしまいますし、お風呂に入ることやご飯を食べることだって忘れてしまうこともあります
お風呂に入る時は服を脱がせてあげますし、ご飯は僕が食べさせてあげる事も多くて、動くのが面倒だからって僕に抱っこをねだる時なんかもありますね

それでも師匠は僕の憧れの方です
海のように深い知識と可愛らしい容姿を兼ね備え、やる時以外はやらないバフォメット
「代償(身体)を払ってもらっている分はキチンと教えてやる」とぶっきらぼうに言っているけれど、何か合った時はすぐに心配してくれるぐらいには愛情を向けてきてくれているのも分かっています
だからこそ僕の自慢の師匠です





まったく、好き放題いいおって……どうしようもない愛弟子じゃの
17/04/16 19:36更新 / 錆鐚鎌足
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