結局あの後はもう1発だけ絞られた
アーサーの配慮もあってなんとかのぼせずに済んだのだ
あの場に居たのがサンだけであれば夕食の場には出ることは出来ないと思う
服は籠の中に置いておけば後でジャムが洗濯してくれるそうなので予め籠に入っていた寝間着に着替えて部屋へ戻ってきた
魔物娘相手なので魔力によるフォローは入っているが、既に3発も絞られたので体力の消耗は結構あるので今はベッドに寝転んでぐったりしている
「オルファ様、失礼致します」
コンコンとノックの後にジャムが入ってくる
夕食の準備が出来たのだろうか
「夕食の準備が済みましたのでお呼びに参りました、あら、既に温泉に入られたのですね」
寝巻き姿な俺を確認すると彼女は口元を抑えしまったと言った表情になる
何か不都合でもあったのだろうか
「私(わたくし)が背中を流しつつ後ろから手でヌいて差し上げようと思っていたのですが……おや?……オルファ様、サンちゃんと……少しだけですがアーサー様の匂いがついてますね」
ふと何かに気がついたかのようにピクリと体を揺らし、ベッドの前に跪いてスンスンと鼻を鳴らして顔を近づけてきた
自分ではわからないけれど、魔物娘はそういうのには鋭いらしい
というかこっちが動けばキスしてしまいそうなほどに顔が近い
「私だけのご主人様が一番良かったのですが……まぁ良いです、私は貴方の側に居させてもらえればそれで幸せなのですから……ちゅっ」
目の前でニコリと微笑んだかと思うとそのまま顔を近づけて軽いキスをされた
不意打ちに思わず目をパチクリとさせて動揺しているとジャムは口元を抑えてクスクスと笑った
「うふふ、可愛いですね、それでは参りましょうか」
そう言うと彼女はスッと立ち上がり、歩き出す
鼻歌を歌いながらジャムはそのまま出て行ってしまう
まだまだ構造がわからないこの城では嬉しそうに揺れる尻尾を道標に俺もついていかなければ迷ってしまうだろう
用意されていた食事は俺の予想を上回り、城で出てくるにもふさわしいと思える豪華さだった
魔界豚と思われる肉のステーキにまといの野菜をふんだんに使ったサラダ等教団の人たちが見たらショック死してしまうんじゃないかと思うほどに魔界産の食材ばかり使われている
「いやはやジャムがここまで張り切るとはな!遠慮せずに食らうと良いぞ!」
自慢気なアーサーは山盛りになったローストビーフに食らいついている
その隣ではサンが大きな鮭にはむはむと齧りついている
ジャムはそんな二人の様子に満足そうに笑みを浮かべて配膳をしつつも自分の分を行儀よく食べている
自分も美味しい料理に舌鼓を打ちつつも、ふと1つの疑問が浮かぶ
大人数が食事を取れそうな大きなテーブルには料理が並べられつつも三人以外に魔物娘の姿は無い
玄関で見た絵画には彼女達を除いても20人以上は居たはずなのに
頭に疑問符を浮かべつつ食事を続けているとジャムが近くに来て耳元でそっと囁いてきた
「実は……私とサンちゃん以外の家族は旅に出たりお嫁に行ったり新婚旅行中で今は他に居ないのです……」
耳に彼女の吐息がかかってドキドキしつつも納得する
ちらりと横目で見るアーサーは上機嫌な様子でフォークに刺したステーキをサンに手渡している、家族を大切にしているようだけど、寂しくないのだろうか?
いや、彼女のことだからそういう性格ではないだろう
出会ってまだ時間が経っていないというか今日出会ったばかりだが、明るい彼女からはそんな暗い部分は想像しにくい
「私達以外の子達がもてなすことは出来ないのが申し訳ありませんが、どうぞ楽しんでください」
ジャムはスッと俺の側から離れ、空になった皿を下げて新たにローストビーフの入った皿を配膳する
もてなし自体は三人から十分すぎるほど受けているので謝られることではないと思うので今は彼女達に甘えるのが筋だろう
「君はちゃんと食べているか?ジャムの料理は格別だからな沢山食べると良い」
そう言っていつの間にか俺の席まで来ていたアーサーが熱々のグラタンが入った深皿を目の前に置く
人間ならばまだ触れるだけでやけどしてしまいそうな程に湯気が出ているグラタン皿を素手で運んでくるのを見て流石はドラゴンだと思わず苦笑いが浮かんだ
明かりを消した客室は静寂が支配していてとても心地いい
ベッドはとてもふかふかで枕の高さもちょうど良くぼんやりとしたまどろみに飲み込まれている
冒険者としての癖なのかこういう安全な場所でもどうにも眠りが浅い
ガタガタとした地形でもなく、石畳の上ではないので体は十分に休息が取れるのでまぁ良いだろう
ここに到着したばかりの時は1泊か2泊させてもらってから出ようと思っていたけれど、彼女達と居るのが楽しいし、離れたくないとも思
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