ジャムが部屋から出て行ってからは特に何もすることなくボーっとしている
既に気持ちの整理も済んでおり、彼女からの申し出は他の余計なこと抜きで、自分の意志で受けるつもりである
とはいえ彼女が呼び出しに来なければどうすることもできず、やることもないのでこうしてぼんやりとしているのだ
椅子を窓の方へ向け、景色を堪能していると、部屋の扉がコンコンとノックされた
ジャムが呼びに来たのだろうか、夕飯の準備が済むにはまだ早そうな気がするのだが
「……どうぞ」
疑問に思いつつも音の主を迎え入れると、部屋に入ってきたのはメイド服に身を纏ったジャムではなく、紅い鱗を纏ったアーサーであった
部屋に入ってくるなり彼女は何かに気がついたようにキョロキョロと周囲を見ながらクンクンと匂いを嗅ぎだした
「どうだろう、私の城は気に入ってくれたかな?、尤も君にジャムの匂いが少し付いている辺り堪能はしてると思うが」
ブッと思わず吹き出してしまう
流石は魔物娘というところだろうか、そういうところには感が鋭いらしい
……背筋に冷たいものが走る、彼女が大切にしていると思われる家族の一人に唾を付けるような真似をしたのだから
「はっはっは、何、私の家族に手を出したのは気にしなくていいぞ、そうなるように仕向けたのだからな、というかむしろ君が手を出された方だろう」
しかし俺の不安を彼女は明るく笑い飛ばした
先ほど何処かへ行ってしまったのは用事があったわけではなく、こちらに気を使ってくれていたのだろうか
「あぁ、こういうことを話しに来たのではなかったな、夕飯まではまだまだかかりそうな様子だったから我が城自慢のお風呂へ案内してやろう、こっちだ」
ふと浮かんだ疑問を解決することなく彼女は扉を開けて部屋の外へと出て行く
王族が住んでいたのであれば当然だと思わないでもないが、ここにはお風呂があるのか、今は街を出た直後なのでそれほど汚れてはいないが、旅の途中は水浴びですらいつできるのか分からないので積極的に入りたい
待ってはくれると思うけれど、知らない場所で、尚且つこんなにも大きな城の中で彼女を見失うと目的地に着ける気がしないので気持ち急ぎ目に後を追う
「大きさはもちろん、地下にある天然の温泉が汲み上がってきている仕組みを少し弄って魔物娘の魔力が加わるように変えたんだ、効能は精力増強だ、今の君にはピッタリだろう」
そう言って俺の下腹部を尻尾でなぞってくる
ゾクゾクとした刺激が登ってきて危うく勃ちそうになるが、なんとかこらえられた
歩みを止め、にやりと笑みを浮かべたアーサーがこちらを一瞥するが再び前へ進んでいく
「君ならばジャムの主になるついでに私の宝物に加えても良さそうだな……いや、忘れてくれ」
不穏な言葉が聞こえた気がするが、彼女の言うとおりに聞かなかったことにしよう
しばらくアーサーの後をついていくと他の部屋に比べて少し大きな扉の前へたどり着き、彼女は中へと入っていく
同じく中に入ると、むわっとした湿気と部屋の外に比べて幾分か暖かい空気に出迎えられた
周囲を見るとずらりと並べられた棚に大きめのかごが等間隔で置かれ、壁にはシンクと鏡が取り付けられ、奥にあるガラス製の扉が曇っていることからここは脱衣所なのだろう
「脱衣所はジパングの銭湯を参考にして作られたらしい、利用者が多い場合はこうして個人毎の籠で自分のものかどうかがわかるのは便利だな」
確かに彼女の言うとおり、個人事に自分の場所が割り当てられていれば誰かの物が混ざったりすることはないだろう
全ての籠に3種類ほどの寝間着を用意してあるのは地味に嬉しい
ほうほうと関心しているとアーサーは唐突に自分の大きな胸を隠しているチューブトップを脱ぎ去り、籠に放り込んだ
とっさのことで反応出来ず、思わずぷるんと揺れるその果実に目を奪われてしまうがバッと顔をそむける
「……?なにを急に顔を背けるのだ、ここは混浴温泉なのだから私が脱いでも問題はないぞ、さぁ、お風呂に入るのだから君も脱ぐのだ」
案内してくれるだけだと思っていたので彼女が入ると思っていなかったし、ここが混浴だと知らなかったし、彼女にはもう少し恥じらいを持ってほしいと感じる
彼女はそんな自分の様子を気にせず、手でさっと払って股間部分を隠している大きな鱗を消し、ツルツルでピッチリ閉じられている女性象徴を外気へ晒す
……というかこんなものとかを見せられた手前、服……というか下着を脱ぐのを躊躇ってしまう状態になってしまっている
「別に私をおかずにするのは構わないが、その調子ではいつまでたっても入れないぞ、覚悟を決めて脱ぐと良い」
そういうことに敏感な魔物であるアーサーは当然俺の状態には感づいていた様で釘を刺されてしまった
……致し方なしか
そそく
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