魔術師の手記

旅立ち前日

少し前、田舎の村の宿屋の息子である僕が魔術師として、農家の娘である幼馴染が勇者として首都に招待された
僕は趣味の一環として魔術の勉強をしていたのだけれど、お客として来ていた国の宮廷魔術師の人の言葉を借りると潜在魔力が勇者様のように高いらしく、それで呼ばれることになったらしい
そしてその魔術師の人は国から派遣された勇者選別隊の一員で、たまたま遊びに来ていた幼馴染が勇者の素質があることを見抜き、彼女も共に行くことになった
僕一人だったら断ったかもしれないが、彼女もいっしょなので行くことにする





3日目

慣れない野宿に二人で苦戦しつつもようやく首都にたどり着いた
国王陛下への謁見の後、例の宮廷魔術師の人から説明を聞いた、魔物に対して中立であるこの国にとって勇者とはいわば国のマスコットのようなものらしい
国内を放浪して問題のある魔物を更生させたり、通りがかった村や街で困っている人を助けたりすることが仕事で、もちろん国からの援助金がもらえる
何かを倒すためだったり、何かを探してきたりするのではないので幾分か気が楽だね
とりあえず今日は疲れたので一日ゆっくり休み、明日仲間を募集したあと出立することになった





4日目

国認定の酒場で仲間を募集してみるとすぐに武者修行中だという戦士(女)が仲間になってくれた
なかなか豪快なのに礼儀正しい人で一緒にいるだけでも楽しめる人柄だ
歓迎会の代わりに軽く飲みながら「あと一人ぐらい欲しい」みたいな内容で談笑していると、すごい実力がありそうなオーラを漂わせている女の人が話しかけてきた
やはり只者じゃないらしく、世界を旅している賢者様(女)だった
彼女も仲間になってくれるようだが、妙に女性率が高い、そして平均的に胸もでかい
幼馴染も村では大きい方だったが、他の二人はもっと大きかった
賢者様≧戦士さん>幼馴染ぐらい
熟練者二人と新参者二人、バランスが良いのか悪いのかわからないパーティーだけど楽しく行こうと思う





5日目

テントはかさばるからと、自分と幼馴染が持ってきた分を売り払ったのはマズかった
自分は外で寝袋を敷いて寝るといったのだが、魔物にさらわれる可能性があるという理由で賢者様の用意したテントで夜を過ごした
幼馴染と一緒のテントに入るのかと思ったが、戦士さんの寝相がものすごく悪いらしく同じく寝相の悪い幼馴染が彼女のテントに入ることになったため、こういうことになった
賢者様の寝相は悪くなかったのだが、夜中にふと目が覚めると僕の顔を胸元に埋めて眠っていたのでものすごく恥ずかしい+もんもんした気分で夜を過ごすことになってしまった




6日目

今日は滝壺の近くにテントを張ったので水浴びをすることができた、周辺には魔物が住んでいないようなので連れて行かれる危険性も低かったし
問題としては、幼馴染の特訓に付き合っていたはずの戦士さんが水浴びの最中に乱入してきたことだろうか
幼馴染が早々にバテたから水浴びに来たそうだけど、貴女が気にしなくてもこっちはそうでもないので時間をずらして来てほしかった
貴女の引き締まった体は賢者様とは違う魅力がありますので





7日目

故郷よりも少し大きいぐらいの村に到着した
どうやらここは親魔物派らしく、魔物の夫婦や、小さな男の子と魔物の女の子が遊んでいる姿も見受けられた
男性が足りないこと以外の困ったことが無いそうなので、まったりと一日を過ごした
幼馴染と故郷のことを思い出しつつもちょっとした丘の上で話し合ってると、村人に恋人同士と勘違いされた
まぁ僕も幼馴染のことは好きだし、あのまま同年代の少ない故郷で過ごしていたならそのうち幼馴染と結婚していただろうし、あながち間違っていないかもしれない





8日目

村を発ってしばらくした後、ダンジョンらしき洞窟を発見
村の人たちが言っていた名前だと深き洞穴らしい
名前の通り結構深いダンジョンで踏破するには数日もかかるらしい
大体は途中で魔物に拉致されるか、魔物化してしまうそうだけど
ここに突入するので今日からしばらく日記が描けないかもしれない





12日目

数多の誘惑とトラップをくぐり抜け、誰一人と欠けることなくダンジョンをクリアすることができた
余程運がよかったのと、賢者様がたくさんの魔物を退けてくれたおかげだろう
ダンジョンの最奥には宝箱があり、ミミックでないことを確認してから開けると、中には一振りの長剣が入っていた
剣を使っているのは幼馴染と戦士さんなので、どちらかのものにしようという話になり、レイピアを使っている幼馴染にとっては普通の長剣は重過ぎる、ということで戦士さんが持つことになった
僕は自前の杖を振り回したりすることがないのでよく分からないが、戦士さん曰くかなり使
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