ここはとある学校内の教室。
決して大きくない、中くらいの規模だろうか。
そんな中に、ちらほらと、学生の姿があった。
数にしておよそ三十人程だろうか。
既に授業開始を知らせる鐘が鳴り、生徒達は静かに教卓に立つべき人物の入室を待っていた。
「今日は一体何の授業だろう」
「先生、最近はっちゃけてるからなぁ…」
前列に腰掛ける生徒達が、そう呟いた。
この場に向かっているであろうその教師は、人間では無く魔物であった。
その経歴を見ても、彼女の異質さが伺えるであろう。
「まあ、わざわざ教科書全員に無料で配るくらいだから、相当機嫌がいいんだろうな」
「男でも出来たのかな…ん?」
少々下世話な会話を交わしていた生徒が、ふと気付いた。
「地震!?…いや、違う」
最初に感じたのは小さな揺れだった。
遅れて気付いた、これは地鳴りだろうか、それが遠くから聞こえてきた。
一瞬地震かと身構えたが、そうでは無かった以上、逃げる必要も無いだろう。
感覚を研ぎ澄ませると、その地鳴りがこの教室方向に向かってきているのがわかる。
他の生徒も異変に気付いたのだろう、お互い顔を見合わせたり、立ち上がって身構える者も居る。
「来るぞ!」
生徒たちの目が、教室の扉に集中した。
乱暴に扉が開かれ、そこから飛び出しきたものを見て生徒たちは目を疑った。
「うお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!戦じゃあああああああああああ!!」
勢い良く飛び出してきた人物、一見すると少女のような容姿である。
しかし、頭から生えた二本の大きな角など、良く見ればその違いがよくわかる。
誰であろうその人物は、この学校の教員であり、この授業の担当者でもある。
バフォメットであった。
「ハァ…と言うわけでじゃな…ハァハァ…ゲホッ…今日のじゅぎょゴホッ…ハァハァ…」
「す、凄く消耗している…」
一通り暴れまわっていたのだが、どうやら疲れたのだろうか。
壇上に昇り、椅子に腰掛けると教卓からギリギリ首が見えるような状態である。
それが普段通りではあるのだが…
バフォメットが肩で息している様子が、生徒からも良く見えた。
「ちょっと…テンション…上げすぎ…ハァハァ…た…」
まだ呼吸が整わない状況で、必死に言葉を搾り出している。
「何でそんな普段やらないような事を…」
「いや…ちょっと…趣向を変えようかと思ったんじゃが…体が…」
思ったほど体がついて行かなかった、そう言ってバフォメットは机に突っ伏してしまった。
あまりに突然な事態に、生徒たちはぽかんとした顔でその様子を見守るしかなかった。
「…よし、落ち着いた!」
「あ、復活した」
時間にして数分だろうか、勢いよく顔を上げたバフォメットがそう叫んだ。
流石に魔物である、回復する時間も人とは大違い…
「いや、あんまり変わらないだろう…」
人並みであった。
「よし、じゃあ授業を始めるぞ〜!」
テンションの高さは相変わらずであるが、ようやく授業開始である。
「さて、では諸君。ジパングと言えば、何を連想するかな?」
「急に何ですか?」
「いいから答えんか」
突然の質問に面食らった生徒達であるが、何とか頭を働かせて答える。
「え〜っと…サムライとか?」
「うんうん、実にそれっぽい」
「ニンジャ!」
「おお〜いいのう、それっぽい」
「スシ!」
「うむ、食文化な」
「ゲイシャ!」
「うん…うんまあアリじゃろ」
「セップク!」
「う…ううん?」
「サラシクビ!」
「いや、それは別に…」
「せんせー、一つ質問いいですか?」
「ん?何じゃ?」
「タイラノ○サカドってデュラハンなんですか?」
「………」
ノーコメントである。
後半の回答は微妙な所だが、大体イメージするものは皆似通っていた。
「さて、では改めて今日のテーマはこれじゃ」
『ジパングにおける軍事システムについて』
今回のテーマは遠い異国の地ジパングの戦い模様についての授業、とバフォメットは言う。
ジパングについての文献は数あれど、軍事的な観点から見た資料はいまだに少ない。
「まあ基本的な流れ、と言う物を知って貰えればと思ってな」
完全に趣味の道を突き進んでいる、それでいいのかと突っ込まれれば何も言えない。
とにかく、バフォメットの授業が開始され、生徒達も渋々それに従う。
「さてさて、まずジパングでの戦いについてじゃが、軍隊を動かすにはまず評定を行う」
「ヒョウジョウ?」
「要するに会議じゃよ、皆で集まって話し合うんじゃ」
そもそも戦争のきっかけ、とは言うが…その殆どは些細なものだ。
まずは国境紛争などの安全保障問題。
次に国内の食糧問題解決の為。
前者は縄張り争い、後者は平たく言え
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