おまけ その2

「隊長!」

「おや、マクファーソン君じゃないか」

近くの現場に到着した。
そこには既に隊長率いる部隊が先に到着していた。

「直接来たのかい?」

「ええ、家から近かったんで…」

既に周りには大勢の人だかりが出来ていた。
その人混みを掻き分けて、隊長の元まで近づく。
詳細を聞くと、この場所の被害者は女性だとか。

「また娼婦ですか?」

「似たようなものかな」

港町の近くであれば、そういう系統の店も自然と多くなる。
なので、話を聞く限りでは特に不自然な点は無い。

「他の被害者はどうなんです?」

「残りは老人と中年の女、それから3人目だけど…これがちょっと面倒な事になってね」

「どういう事ですか?」

「3人目に殺されたのが、どうやら市民隊の奴だったみたいなんだよ」

「あらーそれはまた…」

市民隊とは、先程述べたように市民が集まった私設武装集団…と言っていいんだろうか。
この都市には、3個の市民体が存在している。
市民隊に参加出来るのは、装備を自弁し部隊運用の諸経費を負担できる裕福な連中のみ。
特に将校クラスとなれば都市貴族と言われるような家柄でないと許されない。

「この地域ならコック大尉の中隊ですか?」

「そう、コックさんの所の部隊だって、馬鹿だねぇ夜警中に身内がやられるなんて」

「隊長…」

「私だってこれから小銃手組合まで行かなきゃならないんだからさ」

「呼ばれたんですか?」

「うん」

小銃組合…クロフェニールスドゥーレンの事だ。
市民隊に入るには、この組合に加入しなければならない。
最近新しい本部が出来たようで、どうやらそこまで呼ばれているらしい。
隊長殿も災難だな。

「本当にそう思ってるのかい?」

「ええ、勿論でさぁ」

「嘘臭いなぁ…」

市民とは言え貴族様の巣窟みたいな所だし。
でかい顔をするくらいなら、もっとちゃんと夜警すりゃいいのに。
と、そんな事を思っても口には出さない。
その後、やれやれと言った表情で組合本部に向かう隊長を見送ってから、俺も仕事に…

「あ、ヨランド。お前も仕事しなくていいのか?」

その前にだ、問題は連れのコイツ。
流石に2日連続で仕事を放りだしたままじゃヤバイんじゃないか?

「気になる事があるんだが、もう一度学校に行くぞ」

「え?」

「いいから来い」

そう言うと、強引に俺の手を掴み歩き出した。

「ちょっと、おい?待てよ!」

俺の静止に耳を傾ける事無く、黙々と足を進める。
デュラハンの力に適うハズも無く、抵抗虚しくそれに引き摺られて行った。
お仕事しなくちゃならないんですけどね、知り合いに見られたら何て思われるだろう。

「またここか…」

連れて来られた先は、昨日お邪魔したバフォメットが務める学校。
もう用事は無いと思うんだが、一体何を思ってこんな所に連れてきやがったのかしら。
まさか、お前は小学生からやり直せ。って遠回しに馬鹿にされてるんだろうか?

「入るぞ」

「だから勝手に入ったら怒られるって言ってるよね俺」

「黙ってついてこい」

「はい」

押しに弱いなぁ俺。
黙ってヨランドの背中を追う。
そうしてやって来たのは、職員室では無く2階の図書室の前。

「本でも欲しいのか?」

「いや、欲しいのは人の方だ」

「人!?」

図書室の中に居たのは、意外な事に見知った顔。

「あら?誰かと思えば…」

「アンタは…」

昨日バフォメットの住所を聞いたエキドナがそこに居た。

「何?今度は私でも捕まえに来たの?」

こちらの姿を認めると、掛けていた眼鏡を外し、受付から身を乗り出して来た。
歓迎されているような感じではない、ちょっと睨んで無い?この人。

「少し話があるんだが…良いか?」

「話?」

お目当てはこの人だったのか。
また道でも聞くのかね。

「今度は魔王軍?」

「いや、これは私的な事だが」

「とりあえず適当に座って、お茶でも淹れてくるわ」

そう言うと、エキドナが受付の裏に姿を消した。

「すまんな」

「え?え?」

こっちの与り知らぬ所で話が進んでいる。
だからと言って、俺にはどうする事も出来ない。
本当に俺話の本筋に絡めてるんだろうか?たまに心配になってくる。
そんな事を思いつつ、ヨランドの隣に腰掛けてエキドナが戻ってくるのを待つ。

「なあ、一体何の用があんのさ」

「黙ってろ」

「はい」

これである。
何なのもう、俺居る意味あんの?もう帰っていいよね?
台詞があるモブその1ぐらいじゃん今の立ち位置。
そんな感じに絶望していると、エキドナが再び現れた。
両手でトレイを持ち、それを机の上に置く。

「で、何の用?」

エキドナが器用に向かいの椅子に腰掛ける。

「うむ、実はな…」

ヨランドがようやく目的を話始
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