「もう朝か…」
もう太陽が頭上に姿を見せていた。
鳥の囀りや、草木が風に揺れる音が時折耳に入る。
気持の良い目覚め。
「頭いてぇ…」
…のハズだったが、まだ酔いが残っている。
それだけアカオニの酒は強烈だった。
辺りを見渡せば、死屍累々と言う表現が相応しい。
そこら中に、酔い潰れた仲間達が折り重なって倒れている。
「酷い有様だ」
こんな姿を誰かに見られたらどうなる事か。
流石にハメを外し過ぎた。
少しはしゃぐ程度なら笑って許してくだるだろうが…
こういう展開が一番嫌いなのは、勿論あの人だ。
「お〜い、起きろ」
足元に転がっている奴に声を掛けるが、反応が無い。
頬を叩いたり抓ったり、鼻を摘んだり口を塞いだりしたが、やはり反応が無い。
「いや、死ぬからそれ」
背後から声を掛けられた。
振り返ってみると、見知った顔がある。
どうやら起きたようだ。
「おはよう」
「何がおはようだお前…さっき蹴っただろ?」
そう言って脇腹を擦っている。
「ああすまんすまん」
さっき移動する時に足をぶつけてしまったようだ。
それで目を覚ましたんだろう。
「ところで、肝心の人が見当たらないんだが」
「そう言えばアカオニさん居ないな…」
この惨状の元凶たるアカオニが居なかった。
同じようにどこかで酔い潰れているのかと辺りを見渡したが、やはり居ない。
晩酌に付き合わされた奴は見つけたが、案の定酔い潰れている。
「まさか見捨てられた…?」
その可能性は大いにある。
あの自分たちに拒絶された時の寂しそうな顔ときたら。
思い出しただけで罪悪感に苛まれる。
「思い出してみれば、別に俺達に何か危害を加えたわけでもないよなぁ」
「先生と馬鹿やってたから、知らず知らず同じ扱いしてたんだな…」
はっきり言うが先生はどんな扱いでも良い。
本人がそれを気にしている素振りも無いし、元よりあの性格だ。
3歩進めばさっき覚えていた事を忘れてしまうような人だし。
だがアカオニは違う。
粗野な言動が目立つが、そういう人に限って実は寂しがり屋だったりする。
ああいうタイプはこっちが優しくすれば案外すぐデレたりするものだ。
「途中から脱線してるぞ」
「…ハッ!?ついいつもと同じような事を考えてしまった」
「だからモテないんだよお前」
しかし困った。アカオニが居なくなったとしたら、自分たちはこの場から動くことが出来ない。
それにバフォメットも、まだここに戻ってきてはいない。
「どうするよ?とりあえず全員起こすか?」
「その前に周りだけでも探そうぜ、もしかしたらまだその辺に居るかも知れない」
見つけたら、とりあえず謝ってでも戻ってきて貰う。
見つけられなかったら、その時はその時だ。
草の根を掻き分けながら、注意深く辺りを探す。
どこかに寝転がっている可能性もあるので、足元などを重点的に探している。
あまり遠くには行けない。
ので自分たちが居る場所を中心に、くるくる回るようにしてアカオニを探す。
しかし見つからない。やはりもう遠くへ行ってしまったのだろうか。
今度は二手に分かれて、お互い逆方向から回り込むようにして歩き出す。
何週かすれば、相手が見逃した場所でもカバー出来ると言うわけだ。
「アカオニさんや〜い」
「どこ行ったんですか〜」
今度は呼んでみる。
だがやはり返事が返ってくる事は無い。
そもそも、自分たちに嫌気がさしていなくなったのであれば、聞こえていても返答するハズもない。
「う〜ん…」
それからまたしばらく辺りを探してみるが、結局見つからなかった。
気がつくと、自分たちが居た場所から結構離れてしまった。
一旦戻ろう、そう思って反対方向にいるもう一人に声を掛けようとした所。
「うん?何やってんだあいつ」
こちらと目が合ったもう一人の生徒が、妙な行動を取る。
口元に、人差し指を押し付けるような仕草を取った。
「静かにしろって意味か?」
更に今度は、頭を低くしてこっちに来い。
といった動作を取る。
どうやら何か発見したみたいだ。
「何だ何だ…」
不可解な行動に頭を傾げつつも、言われた通りの行動を取る。
声を出さないと言う事は、こちらの存在に気付かれたら困る相手なのだろうか。
と言う事は、何か危険なものか。
まさか落ち武者や盗賊の類か?或いは獰猛な野生動物か。
はたまた魔物だろうか。
いや、むしろ魔物であればこのように姿を隠す必要は無いだろう。
居なくなったアカオニの行方を知っているかもしれない。
ジパングに居る魔物は、いきなり襲い掛かってくるような種類は少ない、と前に習った。
それこそ、危険なのはアカオニくらいなものだ。
そうこうしている内に、もう一人の元へと辿り着いた。
相手?に気付かれぬように小声で話す
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