恐怖の人食い蜥蜴!密林に血に飢えた牙を追え!!

「起きろ!寝床から起きろブタ野郎!」

「何だよ…」

「今何時だ?」

バフォメットが寝ている生徒達を起こしにかかる。

「10分で荷物をまとめろ、身支度の出来た者から整列!」

事は一刻を争う、少々手荒いがさっさと起こさなければならない。
眠い目を擦りながらも、身支度を整えた生徒達が寝床を片付け、整列する。

「点呼を忘れるな」

早々に1人脱落してしまっているので、人数確認は重要事項だ。
どうやらちゃんと29人いるようだ。まずは一安心。

「せんせー!この人起きませーん!」

「またか!」

問題発生。
アカオニが目を覚まさない。

「額に肉って書いてやれ」

「嫌ですよ自分でやってください」

下手なことをすると何をされるかわからない。
生徒達がやらぬなら先生が手本を見せるしかない。
どこから取り出したか羽ペンを右手にもったバフォメットがアカオニに覆いかぶさった。

「お仕置きじゃ」

「何書くんです?」

「大きい丸と小さい丸を描いてじゃな、縦に線を…」

「わー!それ駄目!絶対駄目です!」

「それリアルに殺し合いに発展しますから!」

「で、周りにチョンチョンと…」

「話聞けよ!」

「思考が完全にガキだよアンタ!」

「これじゃからお子様は困るんじゃよ〜わしがそんな中坊みたいな事をすると思うか?」

「やっぱり冗談ですよね…」

「やるんじゃよ!」

「やるな!」

「止めろ!皆こいつを止めろ!」

生徒達が必死に止めに入る。
だがバフォメットの動きはそれでも止まらなかった。

「いやじゃー!描くんじゃ!」

「すっげえ力だ!」

「うう…お、重い…」

ようやく目を覚ましたアカオニが目にしたのは、自分に馬乗りになるバフォメット達の姿。
その後何とか誤魔化そうとしたバフォメットだが、結局はバレてしまった。
今度は逆に自分が拳骨を食らうハメになり、涙目になりながらも必死で耐えていた。

「幼女を殴りおって…」

「うっせぇ!自業自得だろ!」

「タンコブ出来てますよ」

「触るな!痛い痛い!」

とにかく、これで全員揃った。
そうなるといよいよ出発の時間だ。

「それより、何でもうすぐ攻撃するってわかったんだ?」

バフォメットが皆を起こしたのには理由があった。
もうすぐ城方が討って出る、その様子を見学する為だ。

「暗くてわかり辛いがあれを見よ」

バフォメットが指を刺したのは城の方角。

「だから何だよ」

「よく見ろ、煙があがっとるじゃろう?」

言われてよく見てみれば、確かに城のほうから煙が上がっているのが見える。

「炊き出しか…」

帰還した軍勢の為に食事を用意しているのだろうか。
煙の量も多い。

「更にじゃ、旗などが忙しなく動き回っている」

暗闇の中でも、バフォメットはしっかりと動きを把握している。

「…見えねぇ」

常人ではとてもそれを視認する事は出来ないであろう。

「よし、では動くぞ」

バフォメットを先頭に、今度は扇方のような隊列を取る。
身を低く屈め、ゆっくりとではあるが前進を開始した。

「この暗さじゃ、ちゃんとワシに着いて来るんじゃぞ」

「本当に真っ暗だ…」

生徒達はバフォメットを見失わないよう、その後を追う。
目印になるのは、そのバフォメットの頭から生えている茶色い2本の角。
そしてその傍らを行くアカオニの赤い体くらいだった。
それでも、少し離れてしまえばすぐに見失ってしまう。
後ろの方を歩く生徒達はもう必死である。

森の近くから移動を開始したバフォメット一行は、大きく戦場となる場所を迂回する。
そして、山城の正門に近い位置へと向かう。
出撃する城方の軍勢を、後ろから追うような形を取ろうとしているのだ。
城の総延長は400m程だ。
この城は、尾根の上に二つの頂点部分があり、尾根筋を利用して築かれている。
この頂部の標高はほぼ同じなので、どちらが主郭(本丸)か見分けがつき難い。
アカオニの話では、尾根筋のほぼ真ん中にある方の頂部が主郭だと言う。
だが主郭に置かれていたのは櫓が一つのみだった。
左右の曲輪の方が、広く建物などが多く存在していたらしい。
こんな場所に、1000人以上の軍勢が篭っているのだ。

「先生、曲輪って何ですか?」

「曲輪とは、城の中にある区画を分かつ区域の事じゃ」

曲輪は、防御陣地や建造物を立てる敷地、兵士たちの駐屯する施設としての役割を持つ。
城の中ではもっとも重要な施設と言える。

「近づいて見ると…なんじゃこの城は」

「妙な城だろ?」

「単純な構造でも無い、非常に手の込んだ作りじゃな」

このような場所に、こんな本格的な城があったとは、バフォメットも予想外であった。

「見るべきものは多いのう、こりゃ楽しみじゃ」

「やっぱり自分が一番楽
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