「お兄ちゃ〜ん、一緒に遊ぼっ!」
俺の部屋に突然、幼女が乱入してくる。俺の事をお兄ちゃんと呼ぶものの、この娘は別に俺の妹ではない。近所に住むミウという娘である。
このミウの両親と俺の両親が親友同士だったらしく、その縁でミウが俺のところに遊びに来たのがきっかけで仲良くなった。そして、たまたま就職先がミウの近所だったので、その近くに部屋を借りた俺のところにミウが遊びに来るようになったのである。今もこうして、ミウの両親が仕事で家を空けている時に、よく転がり込んでくる。
「あ〜っ! またお兄ちゃん部屋散らかしてる〜」
ミウは俺の部屋の惨状を見て、声をあげる。ミウは結構しっかりしている為、こうやって無精者の俺の部屋をよく掃除する事がある。遊びに来たのにいつの間にか目的が変わる事も多々あるのだ。
こうやって頻繁に掃除しに来るところなんか、まるで幼馴染みたいだと思うが、俺はミウと恋人関係になるつもりは無い。
(まさか、幼女に手は出せねえよ)
俺は自分にそう言い聞かせる。恋人になれる訳がないと思いつつ、それでも思わずミウを盗み見てしまう。それくらい、ミウは美少女ぶりを発揮していた。
二つ結びの艶やかな黒髪、整った顔立ちに愛くるしい瞳、笑うと覗かせる八重歯。胸はまだふくらみかけといった様子だが、手足はすらりとして健康的である。
そして、活発でよく笑う彼女を表すかのように、ぱたぱた動く翼に、ピコピコ揺れる尻尾――。
(――ん? 翼に尻尾?)
何かおかしいものが見え、俺は目を疑う。何でミウに翼と尻尾があるのか、訳が分からない。俺は目をこすり、再び彼女を見る。今度は、翼と尻尾は見えなかった。おそらく、さっきのは見間違いだろう。
「ははっ、相当疲れてるな俺」
まさか、純真無垢なミウが小悪魔なんて事は無いだろう。まあ、あんな小悪魔なら大歓迎なのだが。
馬鹿な事は考えないでおこう、と俺は思い直してミウから視線を外した。
*****
「ふぅぅ〜、やっと終わったぁ」
部屋の掃除を終え、ミウが一息つく。結構な長時間労働で、少し疲れた様子である。
「いつもゴメンな。風呂沸かしておいたけど、入るか?」
「うん、入るぅ」
風呂と聞いた瞬間、ミウは元気よく風呂場へと駆けていく。可愛いなと思いつつ、俺はそのミウの後姿を見送る。すると、一度は脱衣所に行ったミウが、ひょこっと顔を覗かせる。
「お兄ちゃん、一緒に入る?」
「なっ! 馬鹿っ、そんな事出来るかっ!」
みっともなく慌てふためく俺をよそに、ミウは笑いながら風呂へと向かっていった。やっぱり、ミウは小悪魔である。まあ、あんな幼女に翻弄される俺も俺だが。
しかし、いつからだろうか。俺がミウを意識するようになったのは。ずっと彼女が居なかったせいなのか、ミウを時折そういう目で見てしまう自分に気付いていた。しかし、俺はもう成人をとっくに迎えた大人である。いたいけな少女に手を出して、手が後ろに回るような事は避けたい。それに、ミウに手を出せばミウやその両親の信頼をも裏切る事になる。
それでも、後の事を犠牲にするだけの魅力が、ミウにはあった。俺が一人で悶々としていると、風呂場からミウの声が響いてくる。
『お兄ちゃ〜ん、石鹸がないよぉ』
考えうる限り、良くない事態である。ミウの事を考えていたときにこの状況。なんという運命の皮肉だろうか。
「今、持って行く」
俺は出来るだけ心を落ち着かせ、風呂場へ石鹸を持って行く。そして、出来るだけミウの裸を見ないように、ドアの隙間から石鹸を差し出す。
すると、不意に俺の右手首が掴まれ、グイッと中に引っ張り込まれる。それを予期していなかった俺は、あっけなく風呂場に引きずり込まれた。
「えへへ、お兄ちゃん。一緒に入ろっ」
ミウが笑顔で俺の手を引いてくる。当然、ミウは裸であった。彼女の鎖骨とかふくらみかけの胸、まだ生えていない秘所やぷにぷにしていそうな白い太ももが目に入り、俺は思わず頬を紅潮させて目を逸らした。
「ちょっ、ふざけんなっ! 一緒に入れる訳ねえだろっ!」
「どうして? お兄ちゃんも大掃除で汗かいたから、一緒に入ろうよぉ……あっ! それとも……」
ミウのハダカ、コーフンしちゃう? とミウは俺の視線の前に回り込んで囁いてくる。俺はそのミウの艶を含んだ視線にドキッとなる。
「掃除してる時から、ミウの事、見てたでしょ? 気付いてたよ」
「うっ! そ、それは……」
「ねえ、ミウの事、好き?」
潤んだ瞳で俺を見つめるミウ。ただ見つめられているだけだというのに、その視線に俺はだんだん理性が剥ぎ取られていく。
「馬鹿な事言うな。俺は出るぞ」
これ以上はヤバイ。そう思った俺は逃げるように風呂場から出
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