ワーキャットですか?デュラハンさん!

 とある街の一つの通り。
 二人の冒険者風の男性とビクビクと震える一人のオークがいた。
 オークは男性二人に壁まで追いやられ、そのムッチリした体を視姦されている。
 二人組の一人は背が高く、もう一人は背の低い。
 一見すると凸凹コンビという言葉が連想するだろう。
 絡まれているオークはお使いの途中であったのか、白と土色の地味な色のウェイトレス姿で、右腕には卵や野菜などの食材が入った籠をぶら下げている。
 服は前開きで谷間が見え、スカートは膝よりも短く、ギリギリミニスカートとならない程であった。
 へにゃ、と折れてしまった大きな耳と、手入れがされているのであろう、サラサラなピンク色をしたショートヘアの髪。
 涙が溜まった潤んだ緑色の目を二人組に向けていた。
 胸は大きく、コルセットの役割をしている腰周りのエプロンを体に密着させる布のおかげで腰周りは細く見え、弾力のありそうなお尻は少し大きめだ。
 簡単にいうと、ボン、キュ、ボンである。
 背の高い男はつまつま先立ちをしハイアングルで、背の低い男は更に背を丸めローアングルでオークをねっとりと見ていた。

「ほほ〜ぅ、これはこれは。 なんともけしからん乳ですな?」
「まったくですな。 こちらの揉みごたえがありそうなお尻も目の毒です。 あ、今日のパンツはピンクですかそうですか」

 直接触ってはいないが視姦を受け真っ赤になるオーク。
 怯えてるのか、小さく震える体を両腕で抑えるが、かえって胸の大きさと弾力性を強調してしまっている。
 動けない。
 相手が怖くて動けない訳ではない、恥ずかしすぎて動けないのだ。

「や、やめてくださいぃ。 どうしてこんな恥ずかしいこと、するんですかぁ?」
「へへっ、それはだな?」
「オークちゃんの体がムッチムチでエッロエロで、今すぐにでもしゃぶりつくたいほどいい体しているからさぁ!」
「えぇ!? いい体、ですかぁ!?」

 いきなり褒められたオークはさらに顔を赤くした。
 このような状況でなければ素直に喜んでいたかもしれない。
 しかし目の前にいるのは怯えた女性を視姦し、舐めわすように見てくる二人組である。

 本来、魔物娘は少しでも気がある相手にそのような目を向かられた場合は逆に襲い掛かるのだが、今回は不意打ちのうえ恥ずかしさが性欲よりも強かったため動けない。
 両手をワキワキさせながら、更に食い入るように見つめる二人。
 もう少しで指が触れそうなところまで手を伸ばし、触れそうになる瞬間に手を引っ込める。
 それを繰り返され、触れられていないのに体が敏感になってきてしまう。
 まるで焦らされているようだ。

「そうさぁ! オークちゃんみたいな出るとこ出て、引っ込んでるとこが引っ込んでるムッチムチな女は中々いないぜぇ!!」
「俺たちはなぁ、そんなオークちゃんのことがぁ、だぁ〜い好きなんだぁ!」
「えっ、えぇ〜!?」

 いきなりの告白で更に混乱してしまうオーク。
 私を襲ってきたのもこの体に魅力があったから?
 コンプレックスであったムチムチした体を褒められ、少しだが自分に自信が持てるようになってきた。
 恥ずかしさと緊張が少しほぐれて来たオークは、あわよくば二人のどちらかを夫にしたいと思い始める。
 しかしまずはお礼を言わなくては。
 褒めてくれたこの二人にお礼を言いたい。

「あ、あの。 ……ありが」



「キャー! 痴漢よぉ〜〜!!」



 大通りからこちらを見ていたユニコーンが大声を上げた。
 両手を口まで持っていき、大声を張り上げている。

「あ、あれは童貞ハンターと有名なユニコーンさん!」
「チィ!俺達の童貞臭を嗅ぎつけてやってきたかっ! もう少しだったのにと思う反面、ここまで追って来てくれるのが少し嬉しい! なに、この感情!?(ビクンッ!ビクンッ!」


 この街では、魔物娘が18歳以上の男性を襲うのは認められているが、逆に男性が魔物娘を襲うのは禁止されている。
 これには男性よりも魔物娘の方が反対したが、野性的に襲われるよりも告白される方が嬉しいでしょ?そうでしょ?などと市長が説得して納得してもらった。
 なので、もし魔物娘に手を出してしまった男性は、市役所で婚約届けを出すか、留置所でお説教を受けることになっているのだ。


「スタァァァップ!」


「やべっ、憲兵のデュラハンさんだ!」
「ちょっ、マジか! 逃げろ逃げろ!」


 この街の痴漢(男に限る)を取り締まっているのはデュラハンだ。
 今日も街の変態(紳士)どもから魔物娘を助け出している。
 二人組は緩めたベルトとズボンのチャックを締め、慌てて裏路地へと逃げていった。
 さらには裏路地や大通りからいくつもの「チィッ!」と言う声と、路地裏の奥の方から「あらいい男」という声聞こえた
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