微笑を浮かべる者達







今回!ほんのちょっぴり!!グロい表現があったりします!!それでも大丈夫なお客様は

どうぞご堪能くださいまし・・・・

                         by. Cap meshi han-ninmae













彼がここに来て日を数える事1565日になる、四年と105日になるか・・・・
最後に剣を握ろうとした処、柄にドラゴンフライ(トンボ)が乗っていたのでそこから三ヶ月
                                          

「――――――フゥー・・・ス・・・」


吐き出す息が白い、ナイフで斬られる様な痛みが酷く身体を走り去っていく。

確信した、今は冬なのだと


「――――――フゥー・・・ス・・・」


呼吸はここ数年ずっと同じリズムを刻み続けている、寝ているときは解らないが
自分が認識している限りは同じリズムを刻んできた事は間違いないと自負している


「――――――フゥー・・・ス・・・」


ガチャリと鎖が音を立てた、少しばかり窮屈なので身体を揺すったのだが・・・・
その音に冷やりと嫌な汗が伝う


「・・・・・・・・・・」


久方ぶりに呼吸がリズムをやめた、すでに眼前を遮る傷んだ長い前髪の隙間から鎖を窺う


「・・・・・・――――――フゥー・・・ス・・・」


鎖が繋がっていて一安心だった・・・・再び呼吸は元のリズムを取り戻した


「・・・・・・・・寒いですねえ」


不気味なほど静まり返った地下の牢獄で呟くが、誰も答える物は居ない・・・
人は居るには居るが・・・・生憎と向こう様はこちらを人間と見ていないのだから仕方ない


「――――――フゥー・・・ス・・・」


明日は1566日目

再び明日もこうして日を数える日が来るのかと思うと、少々生きる希望が削がれて来る
衛兵達が言うには、こうしてまだ自分が生きている事が異常だという

普通の人間ならば1ヶ月ほどすれば発狂し、このまま死に絶えるのだというが

それを4年も生きているのは中々にしぶとい人間なのだろう、とても自分を褒めたい気分だ














着ている服はズボンだけ、上着も靴下も帽子も何も纏っては居ない黒髪の男が生きている

上半身には無数の傷跡、胸には十字の焼印が施されて、両手首を鎖で繋がれた男

鎖は背後にある巨大な十字架の左右に結ばれていた。



彼の目の前には巨大な扉があり、週に一度その扉が開かれて彼は見世物になる。



「見るのです、この者はかの聖地にて女王を襲い殺した悪魔です。下に恐ろしき悪魔です」


週に一度必ず決まって聞く台詞


「浅ましくもこの者は生きております。何故悪魔が生きているのか?懺悔しているのです」


いつも声が後ろから聞えているのでその男の言葉は聞いた事がない


「神はこの世の罪を許します、それが例え大罪を犯した者でも手を差し伸べられるのです」


生憎と、その神様を見たこともなければ手を差し伸べられた事もない


「ここに縛られた悪魔は神の御心に懺悔を捧げ、罪の告白をしながら毎日を生きています」


懺悔も罪の告白もしていないのだ、自分はもしや罰当たりなのか?


「この悪魔が生きていると言う事は、神はこの悪魔の罪を許された!おお慈悲深き神よ!」


背後の男性がわざとらしく激情を表現して神を崇める


「神は貴方方を許すでしょう、神は罪を許すでしょう、神は等しく我等を許すでしょう」


目の前の人達が一斉に両手を合わせて祈りを捧げる


「祈りましょう・・・我等が偉大なる神の御心に抱かれている事を感謝して・・・謳いましょう」


そしてそこから耳を劈く(つんざく)大合唱が始まるのだ


「・・・・・・・・・・」












彼は騎士だった

家は学者の家系に生を受けて、周囲は皆そこそこに名が馳せた学者に囲まれて育った
誰もが彼は将来学者の道に進むのだろうと考えた、あれだけ本を読み漁るのが好きなら当然だ

しかしどういう転び方をしたのかは知らないが、彼は騎士になった

戦術、剣術、知識・・・・同輩や先達にその才は並ぶ者は居ないと称されるほど有能な騎士であった
志は高く、日々練磨絶やさず、様々な書を読み漁っては知識を蓄えた

そんな彼は何時でも人々の中心に居て、その人当たりの良い人格から様々な人に好かれた


それ故に、敵も多かった


珍しい話ではない。人よりも少しばかり努力して力を少しばかり持った者は特別扱いされる
ほんのちょっとの努力で身につくであろう力を特別と見なす、人とはさもしい物だ

しかし、そんな周囲の眼にもなんのその・・・彼は祖国の為に自分の力を存分にふるって活躍した



ある日、隣国の女王
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