「・・・・・・・・マスター」
「なんじゃ?」
ベルベレットは口にピーナッツほどの大きさの魔石を運ぼうとしている・・・
一見すれば美しいエメラルドのような宝石だが、しかし妖艶な光が内部で蠢いている。
精と魔力を混ぜ合わせ凝縮して、結晶化させた非常に濃度の魔力補給剤である
基本的にはこれは非常事態や魔物一人が長旅をするときに使われる、人間の食料でいえば
乾パンのようなもの
「・・・・まだ、大丈夫なのですか?その魔石で・・・・」
「・・・・・フッ・・・」
ベルベレットは小さく笑った後、魔石を口に含みコクンと飲み込んだ。
「生まれ落ちて今までこれで済ませてきたのじゃ・・・・大丈夫も何も無い」
答えになっていない
ベルベレットもそれを分かっているのか、椅子からおもむろに立ち上がると
ふわりと空中に浮いて、そのまま高度を上昇させていく
「・・・・・・・・・・」
カメリアが主の姿を眼で追う・・・・
部屋の直径、凡そ100m・・・・高さは現在進行形で伸びている(目指せスカイツリー)
円柱状の形を想像すればいいが、それは塔の内部を丸々くりぬいたような空間
そんな空間の壁は本棚になっている
絵画など飾るスペースは一切無く、ただただ本を収納するだけの本棚となっている壁
それが螺旋を描いてずっと上まで続いているのだ
ベルベレットはずっとずっと上まで登っていく
「・・・・・・・・」
最上段付近の本棚に本を返し・・・・ベルベレットは静かに溜息をつく
「たまには・・・・従者の言葉に耳を傾けたらどうだ?」
「傾けずとも、何を言いたいのかわかってしまうのが辛い所じゃのぉ」
ベルベレットの背後・・・・彼女は自分の背後にいる人物に振り向いた
「一体何時までこんな生活を続ける?不健康だぞ」
「年中男とヤりまくっておるのも、不健康な生活だと思うのじゃよ」
「お前の場合、それが一日もないと言うのが不健康なんだ」
こういわれると弱い。
自分は魔物中でも特に逸脱していると言っていい。何せ、人間で言う所の食事である性交を
人間で言う所の点滴で済ませているようなものだ
更にバフォメットと言う種族で「貞操概念」に拘る点を見ても、また「異常」である
ベルベレットは押し黙り、逃げるようにして再び本棚に向った
「貞操に拘るなとは言わん、昨今はそう言った観念が希薄になりつつあるからな。
ならばそういった「兄上」を見つけるべきだろう?」
「よく言う、自分とてまだ定まった兄も居らんじゃろうに」
「私は自分のサバトがあるから良い、喰うものには困らん」
「(他の女の男をつまみ食いして、そこまで大きな顔をされる言われも無いが・・・・)」
「ふぅ・・・・・こういうのも何回目か・・・・いい加減」
「・・・・・・・・そろそろサバトの時間ではないかえ?」
「おっと・・・・もうそんな時間か・・・・」
「・・・・・・・・」
「ん?」
「? なんじゃ?」
「・・・・・いや、気のせいかはしらんが・・・・お前、なにやら元気そうだな?」
「?」
「自覚が無いか・・・・まあいい、私は行くぞ」
ベルベレットの背後にいた人物は下降を始めた・・・・ベルベレットは書籍を選ぶ仕草をしながら
大きく溜息を吐き出した
「・・・・・兄上、なあ・・・・」
自分の男・・・伴侶となるべき男
イメージとしてパッと出てこない、好きなタイプの男性はどんなタイプ?と聞かれれば・・・
それはもちろん頼りがいがあって甘えさせてくれる「お兄ちゃん」タイプであると断言できる
しかし・・・・・いざそういう男は探してみても中々居ないもの・・・・
ベルベレットが観察対象にしてきた者達の中にそう言った男も居たことにはいたが。
声をかけようとも思わなかったし、別段ときめきのような物も感じられなかった
「ふむ・・・・」
しかしまあ・・・・最近そんな感情を、ある相手に抱いているというのも・・・・
「血の迷い・・・」
ベルベレットは一冊の本をとった、本の表紙に描かれている題名は次の通り
[観察対象 2985号 デイヴ・マートン]
ベルベレットと話をしていた人物はカメリアのすぐ横に舞い降りた・・・・
カメリアはその人物に一礼をする
「これよりサバトだ、お前も来るか?」
「いえ・・・」
「主も主なら従者も従者だな・・・・ん?」
ふと、ベルベレットの机の上にある物に気づく。
恐らくベルベレットが書いた観察記録の書類だろうか・・・・そこには小さく丁寧な字で
事の次第が事細かく記録されている。
その人物は机の上にある観察記録を手にとって、ペラペラと流し読みしはじめた
「・・・・・・・おい
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