「ひゃぁっ!」
椅子に座っていた状態から彼女の体を抱き上げた。
膝裏に腕をまわし、背を抱き上げた姿はお姫様抱っこ。
その行為によるものか彼女は顔を真っ赤にさせている。
腕から伝わる彼女の体重はかなり軽い。
中身が詰まっているのか、また幻影ではないのかと思えるほどに。
しかし、伝わる温かさは本物で、彼女がここにいるという事実を表していた。
そのままベッドまで運び、彼女の体を横たえさせる。
体を起こそうとしたらぐっと、彼女に抱きしめられた。
「うん?どうかした?」
「だ、め…です」
ふるふる震える彼女はオレの服を掴んだまま離さない。
オレが起き上がらないように抱きしめたままだ。
「私が、ユウタさんを、慰め、ますから…ですから、ユウタさんが、したら、ダメ、です…っ」
そういった彼女はぐっと腕に力を込めてくる。
どうやらオレをベッドに倒すつもりらしい。
いくら人間ではないとは言え少女、そんな彼女の腕力で倒せるほどオレの体も軽くない。
それでも頑張って倒そうとする彼女の姿が微笑ましく思えた。
「よっと」
特に抗うこともなくオレは彼女のなすままに倒された。
ベッドに二人、並んで転がる。
「ん、しょ…」
そうすると彼女はオレの上に覆いかぶさった。
既に顔は茹蛸のように真っ赤であり、オレの胸についた手なんて震えている。
恥ずかしいのか、怖いのか、それとも興奮しているのか。
このまま先ができるのか、服を脱いだら気絶するんじゃないかなんて思えて心配だ。
だからせめて、彼女が落ち着くように。
そっと頬に手を添えた。
「あぅ…っ」
恥ずかしそうに身を捩るも視線は外さずにこちらを見つめている。
迷いなく、真っ直ぐと。
その視線からわかるのは彼女はやめる気はまったくないということだ。
頑張り屋さんなんだな、この女の子は。
頬を撫でると気持ちよさそうに目を細める。
可愛い。
ただ単純に思えた。
しかし、ここで大切なことに気づく。
「…君、名前は?」
ここまで来て、キスまでしてなんだけどオレは彼女の名前を知らない。
彼女がオレの名前を知っていることに疑問はない。
この街では黒髪黒目といえばオレしかいないのだから嫌でも目立つ。
名前だって誰かに聞けばすぐにわかるほどだ。
「…エ」
ぼそりと、彼女は言った。
「クロエ…」
静かな部屋に小さく響いた言葉。
それが、彼女の名前。
「そっか、クロエっていうんだ」
呼んであげると彼女は恥ずかしそうに微笑み頷く。
その顔を見ると胸が高鳴りどこか温かな気持ちになれた。
「クロエ、ありがとう」
「い、いえ…っ」
ふるふる顔を振り、体を倒してくるクロエ。
先ほど離れたばかりの顔が再び接近する。
熱い吐息が顔にかかりどこかくすぐったく感じられた。
「んぅ…♪」
控えめにクロエの唇が押し付けられる。
それは先ほどと変わらぬ柔らかな感触で、どこか甘みを感じさせる口付け。
深く情熱的なものではない、初心で乙女なキス。
稚拙なものであるがそれでもクロエは懸命に唇に吸い付いてくる。
オレからも合わせ、啄ばむように重ねあった。
「んっ♪ふ、ぅっ♪んんんっ♪」
徐々に押し付ける力が強くなり動きもまた大きくなる。
そして激しさを増していく。
「ちゅぅ、ん♪………ふぅ、うんっ♪」
「っ!」
ぬるりとした柔らかなものが唇の隙間を縫って潜り込んできた。
一生懸命に伸ばされたそれはオレの口内に侵入すると舌をくすぐるように舐めてくる。
触れ合うたびに広がる甘みはじわじわと頭の中まで染み込みそうなほど。
もっと欲しいと思え、オレからも舌を動かして撫でるように舐める。
「ふひゅっ♪」
わずかにあいた唇の隙間から漏れ出す声が興奮を誘う。
微笑ましくも、可愛らしく、それでいて官能的。
その甘さがもっと欲しくて、その声がもっと聞きたくて積極的に深くまで交わりあう。
「ひゅ♪…う、ん、ん♪ちゅる、ちゅ♪……む、んんっ♪」
長く長い間クロエと互いにキスを楽しみ、名残惜しげに離れた。
二人の間に銀色のアーチがかかりぷつんと切れる。
そしてついた跡をクロエは舐め取った。
自分自身についたものと、オレの口についたものを。
「ん、ちゅるっ♪」
まるで子猫に舐められているようでくすぐったい。
こうしているとお父さんの実家にいた黒猫を思い出すな。
しかし舐めているのは猫ではなく少女。
オレに想いを寄せてくれた大切な女の子。
その事実だけでも自身が昂ぶるのがわかった。
舐め終えたクロエはすりすりとクロエは自身の大切な部分をオレのものにこすり付ける。
黒のワンピースで隠れて見えないが服越しに体温と柔らかさを感じた。
「んん…♪」
ゆっくりと、前後に腰を滑らせる。
布越しに伝わるその感触、それからオレの上に跨ったクロエの恍惚とした表情。
自分より年下の少女がこうも色っぽい顔をするというの
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録