闇だった。
目の前は黒一色で何も見えない。
まるであのときのようだった。
オレがこの世界に来て海に落ちて死にかけた、あの時。
ただ、違うとこがある。
あの時はあっさりと死ぬことを理解して意識を沈めたが…今は違う。
意識が浮かび上がる。
変な感覚と共に。
なんていうんだろうか…今まで感じたことのない感覚。
気持ちが良く心地よい。
温かくて、とても安らぐ。
そんな感覚。
それになんだか…変だ。
主に下半身が。
水着だったので異様な開放感は納得できる。
はずなのだが…出来ない。
はいているはずの水着がないような、そんな感覚なのだ。
…え?何で?オレ水着脱いだっけ?
さらにはなんというか…恍惚感を感じる。
温かなものに包まれているような…。
温かなものに撫でられているような…。
感じたことのない感覚だった。
それを確かめようと体を起こそうとするも体に力が上手く入らない。
寝起きは大体こうだからな。
もう少し時間がたてば意識もハッキリして体も動かせるようになるはず。
そうすれば今オレはどうなっているのかがわかる。
背中に感じる冷たい床。
床と表現するのは少し難しいかもしれない。
平らじゃない、少しばかりゴツゴツしている地面とでも言うところだろう。
何から何までおかしい。
オレは今どうなってる?
そこで瞼を開いた。
ぼやけた視界にまず入ってきたのは天井。
孤児院の天井ではない。
洞窟のような岩のゴツゴツとした天井。
徐々に意識がハッキリしてきて視界もいつものように戻る。
ハッキリと見えるようになる。
そこは個室のようなところだった。
人が五六人なら余裕で寝られるほどの部屋。
部屋というよりも空間という言葉が似合うだろう。
周りを見渡して最後に下半身を見る。
違和感を感じる下半身を。
目を向ければそこには―
「すっごい硬いよ♪」
「これが…ユウタお兄ちゃんの…!」
ニーナとナタリーがオレのものを見ていた。
見ていたというか…熟視というか…ガン見していた。
水着はいつの間にか脱がされておりオレは裸。
その裸の、下腹部のオレのものを二人して見ていた。
興味深そうに。
まじまじと。
その視線の先にあるオレのものは既に大きくなっていた。
原因はニーナ。
小さい手が器用にオレのものを刺激している。
感じたことのない刺激。
それは未曾有の快楽。
小さく温かな手が稚拙な愛撫をしてオレを―って。
「何やってるんだお前ら…。」
「あ、ユウ兄起きたの?」
「ユウタお兄ちゃん?」
二人してオレを見るのだがその顔が赤い。
ナタリーのほうはゼリー質なので変化がよくわかりにくいけど隣のニーナに至ってはかなり赤い。
羞恥による赤さのような、興奮による赤さのような…。
よくわからないがとにかく頬を赤く染めてオレを見ていた。
「…何してるんだよ?」
もう一度同じことを聞く。
だって…ねぇ。
起きてみれば
そこに妹的な存在の二人の子供がオレのものを見ているんだから…。
さらに言えばニーナはオレのものを撫でているんだから。
驚愕なんてものじゃないぞ。
寝起きのドッキリなんて目じゃないぞ。
オレの質問にニーナとナタリーは顔を見合わせた。
「何って…ねぇ?」
「うん。」
うん、じゃねえよ。
わかんねえよ。
二人だけで納得するなよ。
オレは体を起こして二人を止めようとする。
「…あのなぁ二人とも。人の下半身を見て何したいのかわかんねーけどこうゆうことはしちゃいけないんだよ。」
「何でなの?ユウタお兄ちゃん。」
「そうゆうことは大人になって、ちゃんと好きな人ができてからするこ―」
そこで止まった。
体が、止まった。
違和感を感じたことによって。
それは腕。
力が入らない。
力を入れても腕が震えて動かない。
それだけじゃない。
足。
感覚が消えている。
まるで麻酔でも使ったかのように一切の感覚がない。
さっきは意識が朦朧とする寝起きだから気づかなかった。
この異常さに。
「ぐっ…!?」
動くのは首だけ。
その首を動かしてニーナとナタリーを見た。
いや、ナタリーの腰の部分を見た。
海月のような傘の部分を。
その近くにあるオレの足を。
見れば、あった。
赤く腫れているところが。
「っ!」
ちょうど腿のところに一つ。
まるで海月に刺されたかのような腫れ方。
それがなんだか知っている。
シー・スライムの麻痺毒を注入した跡。
海月のような彼女たちの持つ相手の動きを止めるための毒だ。
「ナタリー…っ!何しやがる…!」
「えっへっへ〜♪」
得意げに笑うナタリー。
本当にコイツはいったい何をするつもりなんだ…!?
ナタリーはオレの顔のほうへと移動してくる。
隣のニーナも同じように。
寝かされたオレの体に抱きついて顔を寄せてきた。
胸板に触れる二人の肌。
柔らかく温かなニーナの体。
ひんやりとしたゼリー質
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