後編

「んっ。」
「ちゅっ。」
触れるだけのキス。
さきほどした私からの一方的なものではなく、二人でともに重ねる唇。
お互いの気持ちが重なっているからでしょうか。
それはさっきよりも甘く。
さっきよりも心地よく。
まるで蕩けるような感覚でした。
「んん…なんだか…少し恥ずかしいですね…。」
「あはは、そうだね。」
私達はともに小さく笑いあいました。
さっきしたのとは違うキス。
とても良くて、とても甘くて、そして少しばかりの気恥ずかしさを感じます。
それでも…。
「嫌ではありません…。」
「そうだね…。」
体の内側から炎で焼かれるかのような熱さ。
でも、それが嫌ではありません。
とても、心地いい。
そっと手を伸ばしユウタ君の手をとれば、彼は私の手を握ってくれました。
優しく包むように。
指を絡めて存在を確かめるように。
互いに伝わりあう温もり。
絡めあった指から流れる心地よさ。
とても安らぎます。
もっと触れ合うようにユウタ君の体に私の体を巻きつければ、彼は笑って受け入れてくれました。
「いいよ。」
その一言さえとても嬉しくなってしまいそうです。
ユウタ君の行為のひとつひとつが。
彼の言葉の一言一言が。
私の気持ちを昂ぶらせ、私の感情を高揚させます。
全てが優しく。全てが心地よい。
一人だった私には絶対に感じることはできなかった感覚。
あの私には抱けなかった気持ち。
これが、幸せというものなのでしょうね。
彼の頬を、首を、肩を、脇を、撫でながら手を下へと移動させていきました。
そのまま背へ手を回して、ユウタ君の頬にそっと唇をおとします。
「んっ。」
くすぐったそうに身をよじるユウタ君。
嫌ではないと意思表示するかのように私の背に腕を回して抱きしめてくれました。
今度は鼻先にキスを。
瞼に、額に口付けを。
愛おしい存在であるユウタ君に私の証を残したい。
私のものであってほしい。
同時に、ユウタ君のものでありたい。
そんな想いとともに唇を付けて―止まりました。
ユウタ君の額。
痛々しいガーゼが付けられています。
昼間、私を助けようとその身を挺して救ってくれたときにできた傷。
私はそのガーゼの上から魔力を込めてキスをします。
一瞬、傷が光りました。
光が収まるころにはもう―
「…ん?痛くない…?」
ユウタ君はガーゼの上から傷に触れました。
「?傷が…ない?」
「はい。あまりにも痛々しくて…治してしまいました。」
「…すご。」
ユウタ君は私の顔を見て驚き、そして微笑みます。
「魔法って奴かな?」
「はい。治癒魔法です。」
「本当にすごい。オレのなんかただのキスにしかならないのに…。」
そう言って私の唇に重ねてきました。
甘い感触。
優しい快感。
ユウタ君はただのキスにしかならないといいましたが…これは。
「ユウタ君のキスは…魔法以上です…。」
「え?何で?」
「だって…その…。」

されただけでとても気持ちが良くなってしまうのですから…。

そう言うとユウタ君は照れたように頬を掻きました。
「そう言われると…照れる…。」
「本当のことなのですからね。」
「えーっと…うん。」
そうして笑い合って、またキスをします。
甘い感覚は私の意識を蕩けさせ。
甘美な感触は私の想いをより強くさせます。
そしてその想いは体のほうにも現れ始めました。
私の、女性として最も敏感な部分。
そこがユウタ君の男の部分と触れ合うように体が自然に動きます。
「んんっ♪」
「んわっ…!」
互いに漏れ出す甘い声。
一瞬触れただけですぐに離れましたがそれでも残る熱いユウタ君の体温。
彼の体から視線を下げていけばそれはありました。
さっき脱がせたときに少しだけ見た彼の男の部分とは似ても似つかないもの。
大きく反れてグロテスクなそれ。
先端は先ほど私のものと触れ合ったときに付いた粘液が月明かりに光っていました。
妖艶に光るそれ。
これが…ユウタ君のもの…っ!
始めて見ましたが…グロテスクで…いやらしくて…とても―
愛おしい…っ!!
ユウタ君のものを見ただけで私の体の奥が疼きます。
魔物としての本能が私を支配しようとします。
彼が欲しいと。
ユウタ君の全てが欲しいと…!
今更ここまで来て抗えるわけもなく。
私は彼の体を押し倒しました。
「おわっ!?」
ベッドに倒れこんだユウタ君。
驚いた顔で私を見ています。
今の私はいったいどんな表情をしているのでしょうか…。
おそらく私自身が見たことのないような表情をしているのでしょう。
ユウタ君が欲しいという欲望に塗れたいやらしい顔を…。
「ユウタ君…もう、止まりません…。その…いいですか…?」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
ユウタ君は慌てたように手を振り私の行動を止めました。
何でしょうか…やはり私とするのは…嫌なのでしょうか…?
やはり人外
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