5日後
「やったー!やっと完成じゃー!!」
「「「「「おめでとうございます!!」」」」」
ヘレナと仲直りして5日後。
オレが練習に参加せず、裏で別の事を進めていたとき。
ヘレナの部屋ではなく、喧嘩していたとき寝泊りしていた部屋にまでその声は響いた。
「…できた、のか。」
オレはペンを置き、書いていた紙をまとめて机の引き出しの奥へしまう。
念のために鍵をかけて。
…魔法使えばこんなもの意味もないんだろうけど。
部屋を出てヘレナたちのいる広間へと足を運んだ。
「おぉ!ユウタ!とうとう『ダンシング・サバト』ができたぞ!」
広間に行けばヘレナがとても嬉しそうな表情を浮かべて迎え入れてくれた。
他の魔女っ子達も同じように嬉しそうにしている。
「そっか。やったじゃんよ。」
「うむ!ここまで頑張ってこれたのも皆魔女達のおかげであり、そしてユウタ。ぬしのおかげじゃ!」
おっと、こいつはずいぶんと丸くなったな。
喧嘩する以前なら「ここまで一人でよく頑張ってきたものじゃ!」なんてことを言っただろうけど。
随分、成長してくれたな…。
「そっか。それじゃ見せてくれよ。今まで別の作業してたから見てないんだ。」
「だめじゃ。」
…あれ?あっさり拒否ですか?何で?
「先に入信者を虜にしてからじゃ。ぬしにはその後で見せてやる。」
「…何で?オレよか新たな入信者達が先か?」
「このダンスで大勢の信者を虜にできればぬしにも通用するはずじゃからな!確実に虜にしてやるから待っておれ!」
…ははは。随分と大きく出たもんだ。
オレを虜に、ね。
まったく可愛らしい考えだな。
「そんじゃ、期待してるぜ。ヘレナ。」
オレはヘレナの頭を撫でる。
いつ撫でても柔らかく暖かな頭だ。
「ほへ〜。」
「あー!ヘレナ様だけずるい!」
「私もしてくださいよ!ユウタ様!」
「私も!私も!」
もはや見慣れた光景にオレは頭を抱えつつも全員の頭をなでまわすのだった。
さてと…皆行ったな。
今、ここの洞窟には誰もいない。
ヘレナは近くの街まで行ってくるなんていっていた。
ここから歩いてもそうかからない近いところらしいが一応長居してくるらしい。
二週間。
その間この洞窟はオレ一人。
盗賊なんてものもこの世界にいるらしいがここへ入るには入り口の魔法をどうにかしないと入れないらしく、ここは安全だということだ。
それは良かった。
これから作業に熱中できる。
邪魔するものがないのなら作業もはかどるだろう。
オレは右手を見る。
焼けた、ひどい火傷を負った右手の平。
治療してくれた魔女っ子には涙目になりながらも包帯を巻いてくれた。
既に自由に動かすには問題ないその手。
「…虜、ね。」
オレは呟き、右手を握り締めながら洞窟の奥へと向かっていった。
すでにデザインは決まったんだ。
あとは形にするだけ。
今夜からは徹夜になるかもしれない。
きっちり二週間後。
ヘレナたちが帰ってきた。
それも、嬉しそうな表情を浮かべながら。
後ろの魔女っ子達も同じように嬉しそうな顔をしている。
「ユウタぁー!」
ヘレナはオレに走り寄ってきた。
小さな体が地面から離れ、オレの胸へ飛び込んでくる。
オレはその体を何とか受け止めた。
…胸に突き刺さった角の痛みに絶えながら。
「おう、お帰り。」
「ユウタ!やったのじゃ!やったのじゃぞ!入信者が100人どころか600人超えたのじゃ!」
「すげーな!頑張ったかいがあったな!」
「それだけではないぞ!なんと街に来ておった者から依頼を受けての!今度は世界を舞台に踊らんかと誘いを受けたのじゃ!」
「おお!そいつはやったじゃねぇか!」
「これもユウタ!ぬしのおかげじゃ!」
そう言ってヘレナはオレの胸板に顔をスリスリ擦り付けてきた。
…角が地味に痛い。
だが腕の中で嬉しそうに微笑むヘレナを見ていたらそんなことどうでもよくなった。
ヘレナはオレの胸から顔を離し、魔女っ子達に向かって言う。
「それではよいか!みなのもの!これからユウタを虜にするために踊るぞー!」
「「「「「おおーー!!!」」」」」
「…今からか?」
ヘレナの小さな体を地面へ下ろし、言った。
「今からじゃ!」
「体は平気なのかよ?疲れてんだろ?」
「疲れなぞユウタの顔を見れば吹っ飛んだわ!」
「…ははは。」
まったく、子供は元気がいいな。
洞窟内広間
いつもヘレナたちが踊っていたステージの上で皆はそれぞれの立ち位置につく。
「それではユウタ、しかと見ておけ!コレがわしらが協力して作り上げた『ダンシング・サバト』じゃ!!ミュージック、スタート!」
そのセリフとともに流れ出す明るく、楽しげな音楽。
…つか、その音楽どうやって流した?
あ、魔女っ子の一人が杖を頑張って振るってる…。
…あの子が音楽役か。大変そうに。
音楽とともに動き出すヘ
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