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草木も生えない岩山の
大きく裂けた洞穴の 更に奥
竜の顎のような鍾乳洞で 絡み合う男女
わだかまる闇の隙間を発光性のキノコが引き裂き
漏れる喘ぎを清水のせせらぎが優しく包む
会話も忘れ むさぼりあい
眠りを忘れ 求め合う
あの日 女が無事に戻っていたなら
それでも幸せに暮らしたと思う
だから これは
幸せとか そういうことではない
欲しい女が目の前にいて
欲しい男がそばにいて
他に 何もいらない
一つになってしまった 私達には
それが 当たり前なんだから
―――――――fin―――――――
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