「………………はぅ………」
「なんじゃ?調教師ボン・ボーン、元気がないのぅ」
「……………なんや、ヴァルちゃんかいな……………」
「ヴァルちゃんは止めんか、我はサバト教団教祖種族バフォメットじゃぞ!ヴァル様と呼ばんか!」
「ウチは正確にはサバト教団の魔物娘や無いから別にええやろ?説教しに来たんか?それとも悩みを聞いてくれるために来たんか?」
「残念ながら後者じゃな。いつも馬鹿みたいなに五月蝿い馬鹿が落ち込んどるっぽいからのぅ。心配してきてやったんじゃ。ありがとぅ思え。」
「あぁ?」
「あ?」
「………………………はぁ………もうそろな、またウチのもとから捕虜が一人旅立つんや……………
調教が終わってしもーたんや…………」
「なんじゃ?良いことではないか?」
「うーん、いやエエことなんやけどなぁ………………この瞬間はいつも…………なんというか寂しいんや…………
あれや、息子の独り立ちを見送る母親のような気分やねん………………なんつーかこう、嬉しいような〜悲しいような〜っちゅーあれや……………」
「なるほどのぅ!
くくっ!お前さん今回の捕虜の男についてはけっこう気にいっとったようじゃしのぅ!
たしかリー・デッソンと言ったかのう?」
「せやな………リーさんや…………」
「好きじゃったのか?」
「………………………ウチの気持ちは関係あらへん。ウチは悪魔でも調教師やねん。」
「そもそもお前さんは悪魔じゃろ。」
「うっさいわ!くだらん水指すなや!とにかくな!ウチは調教師なんや!捕虜の男を調教するだけや!それ以上の関係にはなってはあかんねん。」
「…………………なんでじゃ?我らは魔物娘じゃろ?気に入った男がいたのなら別に誰であろうと自分のものにしてしまえば良いじゃろ?」
「いや!それじゃあかんねん!調教師は調教をするだけや!自分の私情で男を好き勝手にするのは調教師のすることやあらへん!」
「なーにを大層な事を抜かしておるんじゃ!好き勝手に自由に生きないで何が魔物娘じゃ!
なにも縛られず!好き勝手に!自由に!愛のままに我が儘に生きるのが我等魔物娘じゃ!そなたはその本旨を忘れたか!」
「それが出来へん弱い娘達のためにウチという調教師がおるねん!
そもそもウチはなにも縛られず!好き勝手に!自由に生きとるわ!この仕事も好きやし誇りをもって取り組んどるや!」
「その仕事の為にお前さんの愛が犠牲になるのはおかしいじゃろ!我等は魔物娘じゃぞ!」
「うっさいわ!そんなこと分かっとるわ!いずれウチも素敵な男と出会って愛し合うわ!ヴァルちゃんこそ教団の教祖だかなんだか知らんけど!選り好みせんととっとと夫を見つければええやろ!」
「余計なお世話じゃ!そもそも我は先の街の襲撃でついに愛しいお兄ちゃんを手にいれたのばかりじゃ!」
「それはおめでとう!」
「ありがとう!」
「せやけどな!これはウチの問題なんや!調教師でもないヴァルちゃんに言われとうないわ!この山羊女!」
「ほほぅ!言ったのぉ!言ってしまったのぉ!我に対してその様な口を利くとはのぅ!覚悟するんじゃなぁケツの青い小娘が!」
「青くて当たり前やろ!ウチの肌は青いんや!」
「一瞬で消炭にしてやるのじゃあ!!!」
「かかってきいや!そっちこそ身ぐるみ剥いで成吉思汗にしたるでぇ!」
「成吉思汗は羊じゃ!」
「ヴァル様!ボン様!大変です!」
「なんじゃあ!?騒々しい!!」
(お二人よりは騒々しくないと思いますけど…………)
「捕虜、リー・デッソンが牢獄内で大暴れしています!ものすごい暴れぶりで今にも鉄格子を壊して外に飛び出してしまいそうな勢いで暴れています!」
「なんやて!?」
「なんじゃと!?」
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