「今日の地獄はなんと!いつもの牢獄を飛び出し小洒落たバーからお送りするなんとも悪魔的な第4の地獄!その名も!叫喚地獄や!」
「なんで今日は小洒落たバーなんかに来たんだ?」
今日のリーは手枷と椅子への拘束を外され、その代わりに首輪をつけられていた。そして鎖で繋がれ調教師であるボンに引っ張られていた。
「それはなー!今日の地獄の叫喚地獄っちゅうのが酒に関する悪事を行ったモンが陥る地獄と言われているからなんやで!せやから今日は小洒落たバーに来たっちゅうワケなんや!」
ぺたんこな胸を張って、得意げにボンが説明した。
「ふーんなるほどね…………それで叫喚っていうくらいだから泣き叫んだりする地獄なのか?」
「その通り!察しの早い男の子で助かるよ!ただし泣き叫ぶのは君じゃ無いんだけどね!」
リーへの返答は、ボンからではなくカウンターの向こうから返ってきた。
そこにいたのは何やら奇っ怪な緑色のシルクハットに全身を緑色の奇妙なスーツで決めた美形の男性、、、いや、男装をした美しい魔物娘だった。
凛凛しい顔つきやスマートで紳士的な洗練された身のこなしをしていながら、男物のスーツでは隠すことができない魅力的な身体の凹凸や、全身から溢れだす魅惑の色香が、女性であることを激しく官能的に強調していた。
「やぁやぁ初めまして!君がリーくんだね!ボンちゃんからお話は聞いてるよ!
ボクはこのバーのマスターさ!種族はマッドハッターっていうんだ!チャームポイントはこのシルクハットさ!可愛らしくハットちゃんって呼んでね!」
バーのマスターを名乗った魔物娘であるマッドハッターのハットちゃんは、相変わらずの気品溢れる身のこなしで一礼をした。
「はぁ、ハットちゃんねぇ………………………それよりも泣き叫ぶのは俺じゃないってどういうことだ?」
「それはね!きっと追々わかるよ!」
「ええかリーさん!リーさんにはこのバーに来る魔物娘の話し相手になってもらうんや!それが今日の地獄の内容やで!」
「…………………はぁ?」
リーはハットちゃんやボンが言っている意味がよくわからず、首輪のついた首を傾げた。
カランコロンカラン
そして次の瞬間、バーのドアを開く音が店内に響き渡った。
「早速来たで!一人目の刺客や!」
「刺客!?」
バーに入ってきたのは、青い髪に小さな角を生やし、黒縁眼鏡をかけ白地に黒の水玉模様の服とブカブカのオーバーオールを身にまとった、胸の物凄く大きい乳牛の魔物娘だった。
おおよそ170cmくらいの身長に、1mを優に越える程の大きな大きなバストを揺らしながら歩いてきてカウンター席にしずかに座った。
(うぉ!す、すげぇでかい胸だな………いくら魔物娘でもこんなにでかい胸してるのなんてそういないぞ………服を見るに牛、乳牛の魔物娘なのか?牛だから!?牛だからこんなに爆乳なのか!?
……………コイツの話し相手をすれば良いってことか?)
リーがそんなことを考えていると乳牛の魔物娘はマスターに向かって喋りだした。
「…………………し、失礼します。
あ、あの……………ま、マスター………………か、カルーアミルクを…………カルーア抜きでお願いします。」
(それただのミルクじゃねぇかよ!)
リーは心の中でつっこみを入れた。
「……………ムムム!
いやいやリーさん!なにおっぱいばっかり見とんねん!ほれほれほれ!早速お悩み相談せんかアホ!」
ボンが少し怒ったように頬を膨らませながら、リーの首輪に繋がった鎖を引っ張って言った。
「いてて、そんなに引っ張るなよ…………………
お、おい!そこの牛娘!なにか悩みごとか?」
戸惑いながらもリーは乳牛の魔物娘に声をかけた。
「あ……………はい!
あの…………………わたし、チチって言います。」
「ああ、俺はリーだ。よろしく。」
「…………り、リーさん……………ゴクゴクッ!
じ、実は私……………し、失恋してしまったんです!」
ハットちゃんからもらったミルクの入ったグラスを握りしめながら、チチは言った。
(うわっ!一発目から重たっ!ってゆーか魔物娘でも失恋なんてすんのかよ!!!)
「あの………さ、最近私の牧場に来てくださった、し、飼育係さんがいたんですが…………」
ゴクッ!!
「……そ、その飼育係さんのことを……………す、好きになってしまったんです!私…………」
ゴクッ!!
「……で、でも!飼育係さんは!…………ぼ、牧場の……………他のホルスタウロスの娘と………け、けけけ!結婚してしまって………………!」
ゴクッ!!
「………………………もぉぅわぁぁぁぁぁあああん!!!」
ゴクゴクゴクッ!!ガシャン!
「マスタァー!もぉういっぱぁい!!!カ
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