「あー!もう!、、、魔物娘ってのはどうしてこうヘンな事しか考えない娘ばっかりなんだ!」
予測不能でエッチな事ばかり口走る不思議の国のワーラビット、マーチヘアのミミに、俺は思わず大きな声を出して叫んでいた。
「ふぇ!?変なことだなんて///そんなこと言われましても、、、私たちは自分の気持ちに正直に生きているだけですから
#9829;」
ミミは相変わらず暴走しているような明るい顔で、そう答えた。
しかし、、、その言葉には先程までのおちゃらけた態度と違い、どこかしっかりとした自分の意志が込められている様にも感じた。
「、、、自分の気持ちに?」
「はい
#9829;私たち魔物娘は自分の気持ちに素直に自由に正直に生きているだけなんですよ
#9829;だってぇ〜、、、好きな男の人に、好きって言えない人生なんて嫌じゃないですか
#9829;」
「、、、、、」
「きゃ〜
#9829;私ってば大胆〜
#9829;やだも〜
#9829;恥ずかしい〜
#9829;」
再び暴走を始めるミミだったが、俺は彼女が言っていた事が心に引っ掛かっていた。
「好きな人に、、、好きって言えない、か、、、」
俺はまるでガムを吐き捨てるかのようにボソッとそう呟いた。
「あれ?どーしたんですか?イヨくん?急に静かになってますよ?」
ミミが心配そうに俺の事を除きこんできた。
「いや、、、ちょっと昔の事を思い出してね。」
かすれそうな声で俺は答える。
「ふふん
#9829;なにやら訳有りの様ですね!イヨくん!良かったら私に話してみてください!私でもお話相手くらいにはなりますから!
それにほら!こう言うのって意外と誰かに話すとスッキリするものだってよく言うじゃないですか
#9829;だから私に話してみてください
#9829;」
そんなことを言う彼女の笑顔は、先程までの暴走していただらしない笑顔ではなく、どこか母性を感じさせるような優しい笑顔になっていた。
なれた手つきでオシャレなティーポットで綺麗なティーカップにミルクティーを注ぎ、さらに左手でクッキーの並んだ大きくて真っ白な皿を俺の前に着き出してきた。
一流のウェイターのように熟練された、しなやかで品のあり、無駄の無い美しい動きだ。
「、、、、、俺には、好きな人がいたんだ、、、」
気が付くと俺は、半ば無意識に半ば意図的に自分の過去を彼女に語ろうとしていた。
何故か分からないが、自分の過去を話すことに不思議と抵抗は無かった。
それが魔物娘の能力なのか、それとも彼女自身が持っている魅力から来るものなのか、それは分からない。だが俺はいつのまにか、ミミにどこか心を許してしまっていたらしい。
「家の近所に住む3つ歳上のお姉ちゃんだったんだ。綺麗で優しくて俺の面倒を良く見てくれて、でもどこか抜けていてほっとけない、、、そんな人だった。
俺はそのお姉ちゃんの事がいつの間にか好きになってたんだ。」
「ふんふん
#9829;良いですね
#9829;幼馴染みのお姉ちゃん
#9829;」
「俺は、そんなお姉ちゃんを幸せにしたくて良い仕事に就こうと一生懸命勉強したんだ。何時間も何日も何年も勉強して、働きながら国立の学校へ通って、、、それで今年、やっとの思いで念願の医者になることが出来たんだ。
ところが、、、数年ぶりに再開した彼女には、もう夫も子供もいたんだ。俺が必死で勉強している間に、彼女は結婚していたんだ。」
「ふぇ!?そんな、、、」
「彼女の結婚相手は、家具を作っている小さな工房の作業員で給料も社会的な地位も俺より全然高くない。でも、それでも、彼女は幸せそうだったんだ。
愛する夫と可愛い子供に囲まれて、とっても幸せそうだったんだ。
俺はその時気がついたんだ。彼女を幸せにするのは高い給料でも医者としての社会的地位でもなく、、、近くにいてあげられる男だったんだってことに。」
「、、、、、」
「キミの話を聞いていて思い出したんだ。もしも、、、もっと早く自分の気持ちに素直になっていたら、彼女にもっと早く好きだって言えていたら、彼女は俺の事を待っていてくれたのかなって、、、医者じゃなくても彼女を幸せに出来たのかなって、、、」
「ふんふん、なるほどですね
#9829;」
ミミはまるでその大きい胸を持ち上げるかのように、腕組みをして俺の話に相槌をうっていた。顔もどこか真面目に考え事をしているように見える。
「でも、、、私思うんですよ
#9829;あなたのその行動って言うのは、お姉ちゃんを幸せにしてあげたかったって言う純水な想いから来たものじゃないですか
#9829;
そういう一途な想いってとっても素敵だと思います
#9829;」
まるで全ての過ちを寛容な心で許してくれる聖母の
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