数年前
魔界国家レスカティエがまだレスカティエ教国だった頃
レスカティエ教国がたったひとりの強大な魔物娘に堕落させられる前
そんな数年前の話
とある村にひとりの少女がいた。
彼女の名前はポーラ
ポーラは貧しい村の生まれでありながら勇者としての天賦の才をもっていた。
その勇者としての才能を認められたポーラは、レスカティエ教国へと招かれそこで勇者としての洗礼を受け本物の勇者になった。
良き仲間にも恵まれたこともあり、気がつけば彼女はレスカティエ国民に認められた存在になっていた。
しかし貧しい村の出身であり、教団の教えに染まりきっていなかったポーラは、時おり自分のやっていることに悩むこともあった。
レスカティエの勇者として魔物たちと戦っていく中で、ポーラは人間と魔物娘たちが共存し、お互いをささえあいながら、愛し合って暮らしている姿を幾度となく目にしていたのだ。
彼女はそんな光景を目の当たりにし、何度も疑問を抱き、自問自答しながらも、勇者としての使命感や貧しい村を助けられるだけの報酬、仲間たちのささえもあって勇者を続けていた。
様々なことに悩みながらも、端から見れば順風満帆と呼べるポーラの人生
そんな彼女の人生に予想だにしない転機が訪れた。
親友であり共に戦い、レスカティエに貢献してきた仲間が、魔物娘だという疑いをかけられ処刑されようとしていたのだ。
ポーラは叫んだ。
共に魔物と戦ってきたアイツが魔物な訳がない!
もし仮に魔物だとしてもアイツがレスカティエの為に今まで貢献した実績は計り知れない!
今すぐに処刑を止めてくれ!
精一杯叫んだ。
喉から血が出るほど叫び続けた。
自分も極刑にされることも恐れずに国の上層部まで乗り込んだ。
しかし彼女の刑が変わることはなかった。
ポーラは自分の無力さを知った。
何が勇者か!何が3銃士か!結局親友ひとり守ることのできない無力な女じゃないか!と
自分が今まで何をして来たのか、なんのために戦ってきたのか、彼女は分からなくなった。
迷い、悩み、悔やみ、何時間もの間涙を流しながら嘆くポーラの前に、奴は現れた
レスカティエ教国を魔界国家レスカティエへと堕落させた強大な魔物娘が、ポーラの前に現れた
今までに出会ったどんな生物よりも圧倒的な存在感、息をすることも忘れてしまいそうな絶望的な恐怖、それでいてこの世のどんなものよりも美しく儚く尊いとさえ感じさせるほどの美貌
そして何よりも彼女から感じた敵対している筈の人間への深い深い慈愛と大きな大きな母性
そんな魔物娘と対面し、彼女は問いかけた。
人間とはなんだ!?
魔物とはなんなんだ!?
私はいったいなにを信じれば良いんだ!?
私はいったいどうしたら良いんだ!?
ポーラの問いかけに魔物娘は、まるで母親のように優しく答えた。
あなたのやりたいことをやれば良い
あなたが今1番今やりたいことを、あなたが今1番やるべきだと思うことをやれば良い
そうすればきっと答えが見えてくる
魔物娘の言葉を聞いたポーラは決心した。
親友が捕らわれている牢獄を目指して突き進んだ。
現れた数多くの敵を、気がつけば生えていた頭の角で全員ぶっ飛ばし、身体の底から無限に溢れでてくる力で牢獄の壁をぶち抜いた。
そして彼女は同じく駆けつけた仲間たちと共に親友を救いだした。
自身も魔物娘へと堕落したポーラはそのまま魔物娘として今日まで生きてきた。
そして時を戻し、今この瞬間
彼女の人生に再び転機が訪れた。
「イレイヴ
#9829;
#65039;好きだ
#9829;
#65039;」
「ポーラ!!!俺も大好きだ!愛してる!」
こうして逃走の意思を無くしたイレイヴは、ゲームから脱落した。
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