「なかなかみつかんねぇな〜パルシェって娘の髪飾り」
ハジメとイレイヴはスマートフォンに送られてきた地図を頼りに、レスカティエ貧困街の西側でパルシェの髪飾りを探していた。
「まぁ髪飾りなんてそんな大きなものでもないしな、それに貧困街って結構入り組んだ場所とか多いからどこか見落としてるのかもしれないな……………」
地面とにらめっこしながらハジメが呟いた。
「きっとそこら辺にあるんだろ!おーい!髪飾りちゃーん!パルシェの髪飾りちゃーん!隠れてないで出て来ておくれー!」
イレイヴが周囲に大きな声を出した。
「おい!イレイヴ!大声を出したらハンターに気がつかれるだろ!」
「あ!そっか!すまねぇな!」
ハジメとイレイヴがそんな会話をした直後だった。
「!!…………誰か来る!イレイヴ!隠れるぞ!」
ハジメがいち早く何者かの気配を察知し、イレイヴに声をかけた。
「………………いや!ハジメはひとりで隠れててくれ!俺がハンターを引き付ける!」
「イレイヴ!?」
「元はと言えば大声を出した俺のミスだしな!それにこの辺にパルシェの髪飾りがあるのは間違いないだろ?
俺がなるべく遠くに引き付けるからハジメは髪飾りを絶対に見つけるんだ!そしてミッションを絶対にクリアするんだ!」
グッと力強く拳を出しながら、イレイヴは言った。
「………………わかった!捕まるなよ!イレイヴ!」
それに対して、ハジメも拳を出しながら言った。
「おう!まかせとけ!じゃ!行ってくる!
………………うわー!しまった!ハンターに見つかった!くっそ!逃げなければ!
にー!げー!なー!けー!れー!ばー!」
そう言うとイレイヴは、わざとらしく声をあげながら人の気配がした方に向かって走っていった。
「おらっ!ハンターのやろう!このイレイヴ様に追い付いてこられるもんなら…………追い付いて…………みやが………あ………」
しかししばらくして、イレイヴは動きを止めた。
「どうしたイレイヴ!?なんで止まってる!?……………あ、キミは…………」
「なんか大声だしているゲーム参加者がいるなと思ったら、お前たちだったのか!
ふふっ!このゲームはみんななるべく慎重にものごとを運ぼうとするものなのにな〜!なんだかずいぶん賑やかにしてるじゃないか!」
イレイヴの目の前、そこには1stミッションで出会ったこのゲームのお助けキャラであるホルスタウロスの魔物娘のポーラがいた。
「ポーラ……………またあったな!」
後頭部を掻きながら、イレイヴが言った。
「イレイヴ!…………………さっきぶりだけど元気そうじゃないか!顔色もだいぶ良くなってるな!へへっ!良かった良かった!」
「ああ……………そりゃあもちろんポーラのミルクのお陰だぜ!
美味かったもんなぁ、ポーラのミルク…………………」
「あ、ああ…………そんなに美味かったのか?」
「ああ、そんなに美味かったよ……………………」
「…………………」
「…………………」
「…………………」
(…………………なんか気まずい………)
ハジメは心の中で呟いた。
「……………あ!そうだ!またミルク飲むか!?
ミルク!ミルクあるぞ!私のミルクだ!…………ほら!イレイヴ…………の、飲むか?」
そう言ってポーラは、自分のミルクの入ったビンをイレイヴに差し出した。
「………………いただこう…………」
ゴクゴクゴクッ
イレイヴはポーラのミルクの入ったビンを手に取ると、そのまま慎重にゆっくりと飲み干した。
ジー
「…………………………ど、どうだ?美味いか!?」
イレイヴのことを力強い目線で凝視していたポーラが問いかけた。
「……………………ああ、美味い!美味いぞ!ポーラ…………」
「そ、そうか!…………………そんなに美味しいか
#9829;
#65039;それはよかった……………」
「ポーラのミルクは………………最高だな……………全身から力が沸き上がってくるみたいだ………………」
「…………………そ、そんなにか
#9829;
#65039;………………」
「………………………」
「………………………」
「………………………」
(なんか話せよ!ふたりとも!)
ハジメが心のなかで呟いた。
スゥー!
ハァー!
「……………よし!
な、なぁ!イレイヴ!どうだ!?美味いだろ!?私のミルクは美味しいだろう!?
もしも!もしもだけど!……………その、もしもさ…………イレイヴ!お前がどうしてもって言うんならさ……………そのさ、もっともっと私のミルクを飲ましてあげないこともさ……………ないんだよ?」
深呼吸をした後でポーラがゆっくりとゆっくりと、言葉を詰まらせながら、喋り始めた。
「…………………ん?」
「いや!そ
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