「今日からお前にはここで働いて貰うからな。」
そう言って俺はとある村の牧場に連れてこられた。
寂れた村だった。
見渡しても木で作られた今にも崩れそうなおんぼろの家がポツポツ建ってるだけ、あとはカボチャ畑くらいしか無い村だ。
田舎、という言葉すらこの村では贅沢に聞こえる。
「何もないところだな、、、」
吐き出すように呟いた。
「お前は奴隷としてここに働きに来たんだ。収容所でザーメンタンクになってないだけましと思え。」
オーバーオールのおっさんはこちらを見ながらそう毒をはいた。
このおっさんの足下には5匹?5人?の羊のような魔物娘、ワーシープ娘がまるで猫のようにすり寄っている。
まぁおっさんが言うことは、、、確かにそれもそうかと思う。
「それに住めば都だ。俺もここに来た最初はそんなことを思っていたが今ではこの通りの幸せ一家だ。」
このおっさんは魔物娘、ワーシープ娘と結婚しているんだろう。
それに恐らくこいつらはこのおっさんの娘じゃない。嫁なんだろう。いわゆる重婚というかハーレム状態なんだろう。
よくまぁ人間の姿に似ているとはいえ、こんな毛むくじゃらで角まで生えた奴を嫁になんて出来るもんだ。
こいつらはまだましかもしれないが、魔物娘の中には鱗まみれだったり、既に死んでいたり、虫だったりするやつまでいると言う話だ。
そんな奴の仲間と結婚できるなんて俺には理解できないね。
それに奴隷の時にわかったが魔物娘どもは年がら年中セックスの事しか考えないアホな種族だ。
その事は、一時的に捕虜になってたときにイヤと言うほど経験した。
そんなやつのために働くなんて俺には正気には思えない。
「、、、、、」
しかし、最後まで抵抗したやつはバカだよな。
誰がどう見てもあんな街の兵力では抗えないくらいの大群、陥落は時間の問題じゃないか。下らないプライド守って収容所で悲惨な目に会うよりも奴隷としてテキトーに生き残る方が全然いいじゃないか。
しっかし牧場の仕事なんてかったるいな、まぁてきとーにやってサボるか。
隙を見て脱出すればそれで良い。
「じゃあ来て早々だがお前には今からワーシープ娘の毛刈りをやってもらう。」
そう言うとおっさんはオーバーオールのポケットの中からバリカンを取り出し、俺に手渡してくる。
見た目のわりにずっしりと重い。さわった感触もプラスチックや俺の知ってる金属には感じられなかった。
恐らくこの世界独自の物なんだろう。
「ワーシープ娘の体毛には心地よい睡眠を促す魔力が込められており、それに包まれているワーシープ娘たちは常に眠たくぼーっとしている。
それで作られた寝具は心地よい睡眠を促す物として知られているのだ。実は人間界にも流通してるぞ。」
おっさんはひとりのワーシープ娘の頭をなでなでしながらそう説明した。
「そうだったのか、知らなかった。」
意外なところでこいつらも役に立ってるんだな。と俺は感心した。
「何事も実戦だ。とりあえずやってみろ。任せたぞ。
俺はカボチャの収穫があるからここを離れるけど、わかんねぇ事があったらあっちのカボチャ畑へこい。
じゃーな。いくぞ!お前たち!」
「めぇ〜
#9829;」「めぇ〜
#9829;」
そう言うとおっさんは、妻なのであろうワーシープ達を連れて楽しそうにカボチャ畑の方に向かっていった。
「さて、、、どうするかな、、、」
今後の事をどうするか考えた。
見渡したところワーシープは確かにそこら辺にいる。
がこいつらは寝てるんだか寝てないんだかよく分からないくらいぼーっとしてる。
つまり監視の目はないに等しい。逃げ出すのは簡単だ。
しかし簡単に逃げられるものなのだろうか、、、
答えはNOだ。
水はどうする?食料はどうする?寝るときはどうする?
それに俺は魔界の事をなにも知らなさすぎる。
どっちに行けば街があるのか、襲われた時にはどうすれば良いのか、そもそも北や南はどっちなのか、そもそも北や南と言うものがあるのかすら怪しい。
せいぜい魔物娘がセックスの事しか考えない奴らだってことくらいしか知らない
ここは、魔界の事が分かるまで大人しく真面目に働くのが正解だろう。
なぁに、、、大丈夫だろう。時間はいくらでもありそうだし。
そんなこんなでワーシープ娘の体毛を刈る事にした。
ちょうど少し離れたところに1匹?1人?どっちでも良いが、眠たそうにうとうとしているワーシープがいる。
俺は眠たそうにうとうとしているワーシープに近づき、バリカンを構える。
さて、ワーシープと言う魔物娘について今一度おさらいしておこう。
ワーシープ娘とは羊のように身体がモフモフの体毛で覆われている魔物娘である。
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