純愛→帽子屋

やぁやぁ、ようこそお客様、紅茶を一杯どうかな。
ん?道に迷った?ならば尚のこと、少し休憩していくといい。
喉の渇きにはこの紅茶を、勿論ミルクも砂糖もタップリある。好きなだけ入れるといいよ。
疲れなら甘いものがいいだろう。ケーキもクッキーも、よければ羊羹や饅頭だって準備出来るよ。好きなものを言いたまえ。
君がどこに帰りたいかは、お茶を楽しみながらゆっくり聞くよ?
さ、どうぞお客様、こちらの椅子へ。
こちらのお茶は僕の厳選だからね、気に入ったら……フフ、何時でも淹れてあげよう。
さ、こちらのタルトはいかが?
イチゴの酸味と甘みで蕩けるような味わいさ。
あぁ、僕が食べさせてあげよう。恥ずかしがらずに口を開けたまえ。どうぞ、あーん。
どうだい?美味しいだろう?僕が腕によりかけたのさ、君の為に…なんてね。
ん?近い?
あぁ、君の頬がどうにも素敵に思えてね。
……嫌かい?
触ってもいいかい?フフ、では遠慮なく。
あぁ、やっぱりね。素晴らしいよ、ずっと撫でていたいくらいだ。
恥ずかしがる君の顔も実にいい。
よければ頭も撫でさせてくれないかい?
え?もう撫でてる?それはすまないね。辞めないけどね。
フフフ、可愛いな君は。この程度で顔を赤らめるなんて。
おや?顔が赤いのはそれだけでは無いようだね?
恥ずかしがる必要は無いさ。こんなに密着して、服の上からでも分かるだろう?
Jだ。何が…とは言わないけど。
あぁ、それに付けていないよ。勿論、何がとは言わないけどね。
息も荒くなってきた。ん?いやなに、君の太ももは頬に負けない位触り心地がいいと思ってね。
柔らかいようでちゃんと鍛えている、男らしくて素敵だよ。
それに、ここはこんなに大きく……ッ!辞めたまえ!
駄目だ!そんな……ッ!
あぁ、血が……。
分かった、離れる!離れるからっ……!
とにかく、手の甲に刺さったフォークを迂闊に抜くんじゃない。少なくとも僕が戻って来るまではそのまま支えておくんだ。
いいね!?絶対だよ!

―――――

まずはこれを飲みたまえ。
媚薬や催淫剤の効果を打ち消す薬だ。……本当だよ、僕の良心に誓う。
さ、飲んで。……ごめんよ、苦いだろう?
それから、傷の手当てをしよう。
清潔な水で洗い流して……ガーゼを当てて……包帯は…こんなモノか。
全く、自制の為とは言え自傷行為をするなんて愚かだよ君は。
いや、違うね……ごめんよ、僕のせいだ。
君が謝るのはお門違いだよ、完全に僕の落ち度だ。浮かれていたんだ。
君や、君の住む社会では女性を襲うなんて恥ずべき行為だというのを忘れていたよ。
からかっていた訳では、無いんだ。本気の誘惑だったんだ。
……白状するよ。
そう、僕は魔物だ。マッドハッターの名を聞いたことはあるかい?
そうか、知っているのか……。
少し前にね……一目見て、君だと思ったんだ。
君が、いいと思ったんだ。
だから、知り合いに頼んでこの世界に君を迷い込ませた。
勿論、この場所に来るように誘導したよ。
お茶もお菓子も、嘘偽りなく君の為に……違う、君を誘惑する為に準備したんだ。
本当なら、もっともっと媚薬に、僕の胞子に溺れてからゆっくりじっくり誘う筈だったんだ。
性急にことに及ぼうとして……そして、君は……。
そして、君は僕が思っていたよりも遥かに素晴らしく、高潔だった。
僕の身を案じて、自身を傷付けてまで欲情を抑え付けてくれた。
僕は決して君を傷付けたかった訳じゃないんだ。でも、結果的にそうなってしまって……軽率だったよ。
本当に……ごめん。もうしないよ。勿論、もう君には関わらない。
償い……なんて、厚かましいね。
……そこの扉を進むんだ、そうすれば元の場所に帰ることが出来る。
さようなら。
……………どうしたんだい?
え?……また来てもいいかなんて。そんな……。
いや、僕は……嬉しい…けれど……。
いいのかい?本当に?
あぁ!勿論さ!飛び切りのお茶とお菓子を用意して待っているよ!
あ、いや、うん、今度は媚薬も胞子も無しだね。








電話番号?
確かに事前連絡があればその日にピンポイントに準備すればいいね。
え?今まで?当然、毎日準備して待っているよ。
そうか、申し訳ないか……いや、考えれば当然だね。
それに、電話連絡だなんて恋人のようだね、胸が高鳴るよ。触ってみるかい?なんならそのまま揉みしだいたって構わないよ。
……無視は良くないんじゃないかな?
でも、残念ながら僕は携帯を持っていないよ。
固定電話も無い。
当然子機も無い。
でも手こ……先回りなんてズルいじゃないか。
とにもかくにも、君との電話は魅力的だけれど、我慢するよ。
先立つものが無いのだから仕方が無い。
……え?
一緒にケータイショップに?
そのまま食事も?
何なら遊びにも?
そのままホテルに?あ、それはダメ
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