ハヴ・ア・ドリンク・オン・ミー

 俺の身体は俺のものではない。
 俺の肉体は体液の一滴に至るまで、我が愛しき主人、不死の王たるリンカ、高貴なるワイトの所有物である。
 その日も俺はリンカの部屋で下半身裸になり、勃起させたものを弄られていた。
 足が沈み込みそうなほど柔らかい絨毯の上に立ち、愛撫される。今日のリンカはさほど渇いていないらしく、大きなソファーに腰掛け、右手でゆっくり、じっくりと俺の男性器を扱き上げる。
 リラックスした姿勢でリンカは逆手に持った竿を刺激する。ゆっくり、大きく手を動かしたかと思うと、小刻みに早く扱き立ててきたりして、全く油断ならない。
 左手には小さな、しかし気品溢れるティーカップを持ったままである。一般庶民の年収でも贖えないそれは、当然、空ではない。
 五本の指で俺の急所を玩弄しながら、時折彼女はティーカップを口元へ運ぶ。
 中に入っているのは同量の金とほぼ等しい値段を誇る、最高級の紅茶。所有者に負けず劣らず上品な茶は安物のそれとは明らかに異なる、奥ゆかしくも芳しい、他に例えようもない素晴らしい香りを放つ。
 貴婦人がしどけなくソファーに腰掛け、優雅に紅茶を嗜む。片手で男の性器を握ってさえいなければ、いかにも絵になりそうな光景。
 リンカがもし人間であれば、男に手コキを施しながらティーブレイクを取っている景色など、ただ不可解なだけに終わっただろう。
 しかし彼女の魔性、不死なる死者ゆえの青褪めた美しき肌、魔界の月のように輝く深紅の瞳、艶かしくも淫靡なアッシュブロンドの長い髪といった、魔物ならではの退廃的な美貌は全てを制する。
 一見、ただ手を動かしているだけのようにも見えても、リンカはワイト。
 さり気なく中指で裏筋を撫でたり、親指で尿道口を責めたり、指の股でカリ首を苛めたりと、性戯に手を抜くことなど無い。
 手で抜かれそうになって、いよいよ我慢ならなくなって来た俺はみっともなく我慢汁を漏らす。リンカの手と竿の間で粘液が糸を引き始めると、彼女は静かに笑った。

「もう、ダメなのね。……ふふふ。それでは、こちらに」

 口に含んだ紅茶を飲み込み、リンカはカップを俺の方へ寄せてくる。
 手コキを止めないまま、まだ紅茶の残ったカップ内へ亀頭を向けた時、彼女の意図が分かったように思った。
 きっとリンカはそのまま、ティーカップに向けてザーメンを絞りだすのだろうと推測したのだ。
 しかし貴人の行動は凡俗の浅薄な思考をいつも凌駕していく。彼女はただ俺の亀頭をカップ内へ向けただけでなく、そのまま紅茶の中に漬けたのだ。
 淹れてから少し時間が立っていたため、敏感な粘膜に苦痛は走らない。もともとリンカが、熱い紅茶よりはややぬるめのを好むというのもある。
 ほの温かい紅茶の中で射精なんて、普通ならまず味わえない感覚。いったいどれだけスリリングなんだろうと想像するともう堪らない。
 右手の動きが早まり、俺はあっさりと精液を搾り出されてしまう。吹き出たザーメンはティーカップの中へ注がれ、紅茶と混ざりあい、どろりと濁る。
 リンカと出会わなければ、手に入れるどころか目にすることすら叶わなかったであろう高級品に自分の精子を注ぐ、その事に躊躇いを感じる暇も無く絶頂させられてしまった。
 汚い精液を、もったいなくも高価な品で受け止めたリンカはにやにや笑いを消さない。軽くカップを振って紅茶の熱で凝固しかけている精液を紅茶と混ぜ合わせる。どろりと濁ったミルクティーを、そっと嗅いだ。

「……ああ、いい匂い。とっても濃い……最高、ね」

 そのまま、ザーメン混じりの紅茶を一気に飲み干した。
 飲んでいる仕草そのものは、いつも紅茶を嗜んでいる時と変わらない。
 優雅極まる手つきで精子混じりの汚い茶を飲む。子種液を口に含み、しかしすぐには飲み込まない。
 そっとその液体を口の中で転がし、醸造酒の芳香を味わうかのように精子ティーで口をゆすぐ。
 ぐちゃ、ぐちゃいう音は少し品位に欠けるが、匂い立つような卑猥さが全てを押し流す。
 口内を精液塗れにしたリンカは優しく微笑む。俺の出したものが口の中でどう扱われているのか、俺にしっかり伝えたいのだろう。
 口をしっかり閉じたまま、リンカは少しずつ喉を動かし、精液茶を飲み込んでいく。一気に飲むこともできるだろうに、殊更にじっくり味わってくれている。
 頬の膨らみが消え、舌が軽く唇を清めると、リンカは俺の瞳を見据えて言った。

「……ごちそうさまです。今日も美味しかったですよ、あなたの精液……」

 こうして俺は、今日も彼女に屈服した。

 またある日。
 やはりズボンを脱いだ俺はリンカの前に立っていた。
 今回は、ティーカップを携えていない。代わりに赤ん坊の頭ほどもある大きな胸を、下から支えるようにして寄せて来ている。
 彼女が今着て
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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33