最終淫魔電車

 高校の授業がいつに無く早く終わった日。一年生の折戸 啓示は、家に帰る為地下鉄に乗っていた。
 まだ夕方とも言えない中途半端な時間のせいか、乗客の数は少ない。同じ車両に、セーラー服を着た綺麗な女子高生が一人乗っている切りだ。
 歴史ある私立高校に通っているのだろうか、その少女が着ている制服は濃紺を基調として、胸元に赤いリボンを飾ったクラシックなデザインのものだった。
 見慣れない、清楚かつ典雅な装いは啓示の目を引いたが、服装よりもそれを着ている人間の方がより美しい。
 さらっさらの、シルクのような黒髪ロング。膝より少し上くらいの、控え目なスカート丈。適度に肉の付いた、健康的なふくらはぎを覆う白いハイソックス。
 それら、いかにも真面目な女学生と言った装いとは対照的な、そこらの女優やグラビアアイドルなど物の数としない豊かさを誇る爆乳は背徳的なまでに魅力的で、盛り上がった制服の作るシワすら男を魅了してやまない。
 長い睫毛と、大きめでぱっちり開いた目はどこか活動的で、制服の印象とは裏腹な彼女の容貌は、非礼を承知でいつまでもじっと眺めていたくなる、素晴らしい造形美だった。
 どこの高校に通っているのかは分からないが、その大人びたセクシィな雰囲気から、たぶん自分より上の学年だろうと啓示は考えた。
 そんな風にちらちら観察されているのも気付いていないのか、暇そうなその美少女は手持ちぶさたにしている。地下鉄の車窓には蛍光灯が等間隔に影を流して行くばかりで、見ていて面白いものなど何も無い。
 その時、今まで膝を揃えてお行儀良くしていた少女が、不意に脚を動かした。啓示の他には誰も乗っていない地下鉄の車両、気が緩んだか、脚を組んだのだ。
 両足が僅かに開かれ、その奥に白っぽい何かが垣間見えた時、啓示の心拍数は急上昇した。
 組まれた脚によってもう見えなくなってしまっているが、先程一瞬だけ眼に映ったあの白い何かは、下着ではないだろうか。
 興奮を悟られないよう、視線を気取られないよう、顔を俯けながら上目遣いで彼女の様子を伺う。しばらくそうしていると再び少女は脚を組み替えた。
 一回目の時よりも脚が大きく動き、その為スカートの奥もよく見えた。暗がりではっきりとは観察出来なかったが、装飾の少ない、綺麗な白いパンティーが確かに見えた。
 美少女の下着を眼に出来た興奮と、覗き見の罪悪感が男子高校生の脳内を満たした。みじろぎもせず、もうこれ以上見まい、覗きなんて卑劣な事はもうすまいと、啓示は顔を上げた。
 靴下とスカートで隠され、膝回りのわずかな部分しか晒していない少女の脚はそれでも十分に見て取れるほど均整が取れており、色も抜けるように白く、美しかった。
 一旦そのなまめかしい脚を眼にしてしまうと脚やソックスのみならず、彼女の履いている革製のローファーや綺麗に折り目が付けられたプリーツスカートまでもひどくいやらしく見えてきて、やりたい盛りの青年は大いに動揺させられた。
 このまま脚ばかり見てると何だか変態的な事を考えてしまいそうで恐くなった啓示は、再び顔を下に向けた。と、同時に少女がまた脚を組み直し、隠された箇所がもう一度視界に入ってきた。
 綺麗なおみあしに欲情させられかけていたところに不意打ちのようなパンチラで、啓示は息が止まりそうな思いをした。
 覗き見がばれるかもしれないリスクも忘れ、白い薄布を一目拝もうと眼に力を込めるその姿を、浅ましいと笑える男性はこの世にいまい。
 脚が閉じられ、もうどう頑張ってもパンツなど見えようもない状態に移ってしばらく。さすがに危険を感じ始めた啓示は、次の駅で降りる事を決心した。今度また脚を組まれたら、その時こそ覗きがばれそうな気がしたからだ。
 綺麗なお姉さんのパンツが見られないのは惜しいが、痴漢で捕まるよりはマシだ。やけに長いこと駅に止まっていないような気がするが、もうそろそろ着いても良い頃だろう。そう彼が考えた瞬間。
 今まで啓示に関心を払っていなかったはずの少女が、不意に立ち上がった。そのまま薄笑いを浮かべて、驚愕に動きを止めた啓示を見下ろす。

「ねえ、君。さっきからずっと、私のパンツ見てたでしょう」
「いっ……!? み、見てませんよ! し、失礼な」

 言い逃れる台詞も噛み噛みで、まるで説得力が無い。勝ち誇った顔でいる美少女も、そんな言葉、まるで信じてはいない。

「へぇ……じゃあ、このカタイのは、一体なんなのかな?」
「!?」

 座席に、啓示と向かい合って座り、腿を跨ぐ体勢を取った彼女は、制ズボンのファスナーを下げて、パンチラに興奮しきった若い肉棒を引きずり出す。先走りまで垂らした男性器を押さえられては言い逃れ出来ない、等と思う前に。

「ちょ、ちょっと何やってるんですか! こんなところで……
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