亭拉とシルクが砂漠の中継地『ブラジア』を出発し、太陽も頂点を過ぎた頃。
シルク「んっ…ハァ……くっ、うぅ…ふぁっ……ハァ、ハァ…」
二人は歩きながら干し肉をかじっている。
砂漠のど真ん中をテント状に広げた二人用ローブ(歩くキャンプ地 命名 亭拉)を身に纏いゆっくりと進む。
傍目には小型テントが砂漠を横断している非常にシュールな光景であろう。
中には亭拉に巻き付いたシルクと彼女と超重量の旅荷物を担ぎ軽々と歩を進める亭拉が居る。
亭拉はまるでクッキーを食べるように干し肉を噛みちぎるがシルクにはうまく噛みきることが出来ないようだ。
テイラ「うーむ、やっぱりシルクには固すぎたか?」
亭拉も薄々感じてはいたが、いくら身体が弱いと言え魔物娘なんだから干し肉くらい噛みきれるだろうと思ったのだ。
シルク「すみません、でも時間をかければ噛みきれます。」
亭拉に心配かけまいと必死に干し肉に食らいつくが未だに一口も噛みきれていない。
すると亭拉は残った干し肉を一気に食べきるとシルクの干し肉を奪い取る。
シルク「あっ…」
あっけにとられるシルクを他所に干し肉を軽々と噛みきりサクサクと本来鳴る筈の無い音を立てて噛み砕く。
亭拉「んっ」
グイッと正面にシルクを引き寄せると柔らかくなった干し肉をシルクの口に流し込む。
シルク「〜っ///」
頬を染め、言葉を失うシルクに対してさっさと次の干し肉を噛みちぎり咀嚼し始める亭拉。
(何だか赤ちゃんみたいで恥ずかしい…)シルクの心情
(もの○け姫にこんなシーン有ったなぁ…)亭拉の心情
(こんな調子で魔物娘SSとしてやっていけるのだろうか…)誰かさんの心情
…
……
………
昼食を終え、歩きながら今後の方針を話し合う二人。
シルク「先ずはどちらに向かうおつもりですか?」
歩くキャンプ地の中で地図とコンパスを広げた亭拉に向かって尋ねる。
テイラ「予定としては一番近い『中立領 クレバネット』に向かおうと思う、因みにどんな町かわかるか?」
教会の騎士として活動するためには一度教会の支部に立ち寄る必要がある。
魔物連れの亭拉達が安全に教会入りするためには中立領が最も適しているだろう。
シルク「クレバネットですか…」
少し考え込んだ後言葉を続ける。
シルク「別名【砂漠の入り口 クレバネット】、領主の『ギャバジン』様は元豪商の人間で、特別魔物にも教会にも肩入れしない一般的な中立領の領主だそうです。」
シルクはブラジアを訪れる商人に聞いた情報をすらすらと答えていく。
シルク「クレバネットは荒れた土地のため食料は僅かな雑穀と養鶏位しか自給しておらず、貿易を中心に経済活動を行っており町の中には大きな商業地区は勿論の事、冒険者ギルドや教会の支部、親魔物居住区と反魔物居住区が存在するそうです。」
テイラ「なんだかこの世界の縮図みたいな町だな。」
正に亭拉が求めていた理想の町のようだ。
シルク「それはクレバネット領主ギャバジン様が元商人であり『商人たる者仕入れ先を選ばず、買い手も選ばず』と言う考えだからだそうです、そのせいか他の町に比べて治安はあまり宜しくないようですね。」
シルクは最後の一文だけは少し不安そうに語る。
テイラ「その辺はうまくやるさ、何せ俺は『教会の上級聖騎士』だからな。」
そう言ってのベルトに着けた『聖騎士の証』をチャラリと揺らす。
テイラ「教会の支部がある町じゃ教会の騎士においそれと手出しはできんだろう、『教会側』も『魔物側』もな。」
そう言って亭拉は地図とコンパスを鞄にしまう。
…
……
………
すっかり日も暮れて夜空は満天の星空、そして一際存在感を放つ満月が亭拉とシルクを照らす。
亭拉は『歩くキャンプ地』を鞄にしまい、少し大きめのテントを設営すると鍋を携帯用魔導コンロにかけ夕飯の準備をしている。
昼の一件でシルクが干し肉を咬みきれない事がわかったので干し肉と乾燥馬鈴薯(薄くスライスした馬鈴薯を天日で乾燥させた物)を砕いて入れて即席のシチューを作る。
テイラ「ズズッ、うむ、中々旨いな。」
干し肉の熟成された旨味が香辛料で引き締められている。
砕いた乾燥馬鈴薯もトロトロに溶けてポタージュ状になっていて寒い砂漠の夜にはもってこいの一品だ。
皿に盛り付け、仕上げにドライハーブ(バジルのような何か)を散らす。
テイラ「ハムッ、ハフハフッハフッ!」
豪快にシチューを掻き込む亭拉に対しスプーンで一口一口冷ましながら食べるシルク。
シルク「お料理までして頂いて申し訳ありません、私、本を読む以外何もしてこなかったもので…」
食事中、シルクが申し訳無さそうにポツリと漏らす。
テイラ「独り暮らしを十年近くやって来たんだ、これくらいの料理わけないさ。」
一杯目を食べ終え鍋
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録