亭拉が町に着いてから一週間。
ブラジャー製作の技術指導や行商人との商談、長との補給物資の交渉等で瞬く間に時間が過ぎて行った。
その間この町についてわかったことと言えば…
・町の規模以上に貿易の拠点として賑わっている事
・人間の男性とラミアの他に少数だが人間の女性、他の魔物もいる事
・人間と魔物との関係は良好で(親魔物領と言うものだろう)人間同士、人間と魔物との夫婦が半々位いる事
・商隊の中には海を越えた東洋の島国(ジパングというらしい)から来ているものもいる事
・南の方からコーヒーが入って来る事(ここ重要)
今、亭拉は日陰に座り煎れたてのコーヒーを堪能している。
(長に言って補給物資に麻袋一杯のコーヒー豆とコーヒーセットを追加してもらおう、無理なら実力行使だ)
等と考えていると一人のハーピー(黒っぽい奴)に話しかけられた。
黒鳥「あの〜、あなたがこの町に『ぶらじあ』を伝えた冒険者さんですか〜?」
こちらを探るような目付きの鳥が言うには自分は新聞記者で新聞の配達や勧誘、取材等を行っているらしい…Bだな。
テイラ「何か用か?近々町を出るから新聞ならとらんぞ。」
黒鳥「あら〜それは残念、でも今回は取材の件でお声をかけたんですよ〜」
どうやら早速ブラジャーの事で取材に来たらしい。
テイラ「職業柄魔物の新聞に載るわけにはいかないんで諦めてくれ。」
そう言うと今は腰のベルトにチェーンを通し、ベルトとズボンの間に挟んでいた教会の証を見せる。
黒鳥「ゲーッ、教会!?」
さすがに驚いたのか後ろに飛び退いて距離を取り、怯えた目でこっちを伺ってくる。
町のなかでも別に隠しているわけではないがやはり初めて見た者は人間、魔物問わずかなり怯える。
何らかの理由で教会から離反し、親魔物領に住む『元教会』も少なくないらしいがそれでも魔物達の中では証だけでも十分な恐怖の対象なんだろう。
なんとも言えない居心地の悪さから取り合えずこちらから声をかける。
テイラ「あー、お前は人間に危害を加えたことはあるか?」
そう言うと残像が見えるくらいの勢いで首を横に振る黒いハーピー。
テイラ「確かに教会に所属しているが無差別に魔物の殲滅をしてる訳じゃない、取材も『親魔物領に居た教会の人間』じゃなく『異世界から来た人間』としてなら受けなくもな「マヂですか!?」お、おう…」
亭拉が言いきる前にずずいっと近づき胸元から細い木炭に紙を巻いたもの(この世界の鉛筆だろう)と手帳を出す、ていうか顔が近い鼻息かけるな。
…
……
………
黒鳥「いやぁ〜、ありがとうございましたぁ〜、それと例の件よろしくお願い致します〜。」
取材が始まってから終始笑顔の黒いハーピー、切り替え早ぇなおい。
手帳と鉛筆を胸と乳隠し(ブラジャーではない)に押し込もうとしているがうまくいかないらしい。
(そう言えばこの前練習がてらに作ったポーチが有ったっけ)
そう思って四次元鞄をまさぐるとベルトで腰に巻くタイプのポーチを引っ張り出す。
テイラ「ほら、これ使いな。」
急にポーチを差し出され、キョトンとしたまま動かなかったのでその細い腰に着けてやる。
「わわっ」と顔を赤らめ多少驚きながらもおとなしくポーチをつけられる黒いハーピー。
足の邪魔にならないようポーチは脇側でいいだろう。
黒鳥「お?おおぅ!」
腕をあげたり腰を捻ったりその場で軽く跳んでポーチの感触をたしかめる。
反応から見て気に入ってもらえたようだ。
黒鳥「いや〜ありがとうございます〜、実は取材手帳を入れる場所がなくって仕方なく胸のなかに入れてたですよ〜♪」
胸の前で手のひらを合わせ体をくねらせる。
喜んでもらえてなによりだ。
黒鳥「ホントは私も『ぶらじあ』が欲しかったんですが、あれはピッタリしすぎで手帳が入らないんで正直諦めてたんですよ〜♪」
今度は乳隠しを指で摘まみビヨンビヨンと引っ張って見せる、ピンクの輪っかが見え隠れしてるが黙っておこう。
黒鳥「あ、これはお礼です」
そう言って手帳を入れていたのとは反対側の胸から一枚の金属製のカードを出す。
コイツ、もしかしたらBも無いのかもしれん。
見慣れない文字の書かれた銀色のカード、所謂【ルーン文字】という奴だろう。
黒鳥「そのカードを持っていれば最寄りの配達員が新聞をお届けに参ります、ただ反魔物領に居るときは配達できませんので領外に出た際に纏めてお届けする形になります。」
例の件、くれぐれもよろしくお願いしますね〜♪と言いながらブラジャー販売所まで走っていく黒いハーピー、飛べよ。
テイラ「しかし良くしゃべる鳥だったな、あの種族はみんなあぁなんだろうか?」
知識を検索しようと思ったが面倒臭くなったので止める。
すっかり冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干し補給物資
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録